教え子の就労②

 2008-04-30
前回の教え子の話の続編です。

小学校の時のこの子は、朝起きられずに家で寝ていたことがあったので、私は何度か家に訪れてふとんから引きずり出して学校に連れて行ったことがありました。

集団場面が苦手で、朝礼や運動会、何かの式があるときなどは、いつも別室かちょっと離れたところにいることの多い子でした。

理科が好きで、物の燃え方の実験などを準備してやると熱心に取り組んだり、その方面での知識もどこからともなく仕入れているタイプのお子さんでした。

やはり相手の気持ちを察するようなタイプではなく、よけいなことを言って、よくみんなから非難もされていました。

それにもう一人、似たようなタイプのお子さんが同じクラスにいたので、二人でいっしょになって、言葉が悪いかも知れませんが、好き放題しているような感じの子でした。

その友達は中学から、通常学級に行きました。二人が別な中学に行ったこともあり、その子は、中学からは通常学級でそれなりに勉強していました。ある高校へ入学もできましたfが。、結局1年くらいでやめ、今はお父さんといっしょに内装の仕事をしていると聞きました。

この子はというと、中学の特別支援学級もほとんど行けず、高校もすぐにやめてしまい、なかなか大変なコースに行っているので、どれほど態度がくずれているのだろうと思っていたら、意外なほどに礼儀正しく、きちんとした受け答えで対応ができていたので、これには正直驚きました。

その中学校は、当該地域の特別支援教育のセンター的な学校で、先生も信頼できる方と信じていましたから、ソーシャルスキルトレーニングなど、学校でも社会性を育てるための技はいくらでもあったはずです。そういった意味でも、この割烹での実社会のやりかたから、私たちは多くのことを学ばなくてはならないと思っています。

この二人は今のところ、学校は行けないけど、くじけそうになりながらも、仕事なら何とかがんばって行こうとしている感じです。

この子は親方から、これまでに教わった料理の手順を、レポート用紙数枚にまとめてくるように言われているようです。

しかし、字を書くことが極端に苦手なお子さんで、仕方なく、家の古いパソコンを引っ張り出してきて、相当な時間をかけて、レポートをまとめたようです。

「やっとできた」と思った瞬間、そのパソコン(ちなみにそれはウインドウズ98だそうです)がフリーズして強制終了、結局苦労して作ったデータの半分が消えてなくなり、ショックでやる気を無くしたというのです。

彼を知っているだけに、そのことが目に浮かぶようで、悲しい気分になりました。

数年ぶりあった彼とは、それからつりをいっしょにしながら9時間いっしょに過ごしました。大した釣果はありませんでしたが。彼は小さいながらも真鯛を一匹釣りあげました。この鯛は、小さいけれども何だか、神様のプレゼントであるような気になりました。

その共に過ごした時間の中で、これまで割烹でがんばったことが、どれほど彼を成長させたか、心ない差別や偏見のなかで、よくぞ自分を見失わずにがんばってきたことか、そして、たとえ多少の回り道をしても、決してそんなことは恥ずべきことではないことなどを、私なりの言い方で彼に伝えたつもりです。

「パソコンは先生の貸してやろう。明日半日つきあってやるから、親方にレポートだけは、絶対に出そう。」
「もう、いいっす、先生。実は親方に、ワープロじゃなくて、手で書けと言われていたので、やってみます。」
「それ、苦手だろ、大丈夫か?」
「でも、先生にそこまで手数はかけられないんで」
「そうか、なら、がんばれよ。来月、レポートだけは書き上げて、すっきりして、今度は笠岡までキスを釣りに行こう。楽しみにしてるからな。」

わかりました、と言って彼は帰っていきました。

その後ろ姿を見て、何とも言えない気分になりました。

「先生、レポート、書けました」

来月、そんなメールが届くことを心から願っています。



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コメント
ちゃんと相手の気持ちを汲み取り事ができていますよね。書くことが苦手な子が私の周りにもたくさんいます。親方は『書くこと』より『なしとげること』この仕事への思いを見たいのでしょうね。来月メールが届くといいな~って思います。ファイト!ですね。
【2008/04/30 11:16】 | cyoki #- | [edit]
その親方の気持ちがあるから、そしてそのことを自分なりに感じ取っているからこそ、2年も続けることができたのだと思います。お母さんは、「ここはたまたま私がハローワークで見つけたところだから・・」とおっしゃっていましたが、人生は偶然の積み重ね。偶然だからこそ輝くこともたくさんあるのではないかと思います。うまく展開していくことを願わずにはいられません。
【2008/04/30 12:48】 | SHINOBU #- | [edit]












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