FC2ブログ
 

教え子のその後(半端な気持ちじゃ付き合えない)

 2008-04-27
私は以前、情緒障害児短期治療施設の派遣学級というところへ3年ほど勤務した経験があります。

小さい頃の私は家庭に恵まれなかったので、養護施設にいたことのある子どもたちとの出会いは、その後の人生に大変大きなインパクトを与えました。

高校の時だったでしょうか?ある時、ふとしたことから決心したのですが、「一人くらい、子どものさびしい気持ちを受け止める先生がいても、いいんじゃないか?」というのが、私が教員を志した最初の動機でした。

今から思えば、当時の私は、とても大学に行けるような環境じゃなかった。それほど頭も良くなかったし、行っていた高校が商業高校だったので、そこから教員を目指すのは、結構ハードな道のりでした。それよりも何よりもお金がなかった。

でも、この思いは結構本物で、ひとつひとつの課題を何とかクリアできるだけの不思議なパワーがありました。そのおかげで、それこそ「死にたいほどあこがれた花の都・東京」へ行くことができたし、本当にいろいろな事件や出来事をくぐり抜けて、何とか初期の目的だった教員の採用試験に合格することができました。

その合格通知を手にしたとき、そこに書かれた短い文章を、穴が開くほど何度も何度も読み返し、その通知を抱いて眠るようにした若き日を時々思い出します。

飽き性で、何事も長続きしなかった私が、苦しいバイトも切り抜け、都会の誘惑も振り切って教員になることができたのは、ひとえにその志の成し得るところでした。

何のために教員を志したのか?どうして教員を続けるのか?その答えはいつもそこにありました。

ですから、幸薄い子どもたちへの出会いは、私の教員としての歩みを決定づけるに十分なものでした。

当時は、今ほど発達支援の理解は十分でなく、通常学級から派遣学級へ行く私を「左遷」と見る人もいましたが、その打診が校長からあったときに「派遣学級の子が、ぼくを呼んでる声がする」と、家内にしっかりとした口調で言った日のことも、今でも鮮やかに覚えています。

その派遣学級での子どもたちとの思い出は山ほどあります。どの子も通常学級での生活は不可能と、児童相談所から措置をされた子ばかりでしたから、飾り物などすぐに化けの皮がはがれてしまいます。日々の生活が、まさに裸の心・本音と本音・生身の人間の真剣勝負でした。

そこにいた子どもの人生は、自分のそれ以上に壮絶なものがありました。ケース会議でそのことを知り、もう一度その子の顔みると、よくぞ命を捨てずにがんばったことよ、と抱きしめてやりたくなるようなこともしばしばありました。

しかし、福祉のプロの対応は違っていました。それは厳しくも冷たいものに感じました。

なぜなら、気持ちを寄せれば寄せるほど、最後にはそれを裏切らなくてはならない日がくることを、経験として知っていたからです。

日に日に、子どもは心を寄せてきます。半端な気持ちじゃ付き合えなくなってきます。もしも真剣に、最後まで、その子の面倒をみるというならば、最終的には、その子を養子にする位の覚悟が必要です。

でも、そんなことはできない。頭がちぎれるくらい真剣に悩んだこともありましたが、やっぱりできない。結局うらぎることになる。見捨てることになる。こんなことなら、最初から近づいていかなければよかった。

卒業前の子どもにそんな思いを抱いたこともあります。

限界はあるけども、せめてかかわったその瞬間だけは、誠心誠意真剣に向き合おう。姑息な技は一切使うまい。カーブもチェンジアップもなしの直球一本勝負。

それが自分なりの結論でした。

ある子が、「先生、ぼくは通常学級へ帰ろうと思う」と言ったことがありました。ケース会議では、セラピストも生活指導もほとんどが反対でした。でも、ぼくはこの子がこんなことをいうこと自体が奇跡だと思っていましたら、何度も懸命に学校での様子をケース会議で伝えました。

結局、試験登校という形でその子は元の学級へ帰って行きました。私はというと、その後転勤で、また通常学級の担任に戻っていきました。

そんなある日、校長室から呼び出しがあったので何だろうと言ってみると、何とその子とお母さんが校長室で待っているではありませんか?

「先生、ぼくがんばっとるけえ。それを伝えたかった。じゃから来た。」

恥ずかしながら、感動してその時は言葉につまってしまいました・・・


今は、この子とはまったく別な子の、就労についてかかわっていくことになっています。

このことは、その子のお母さんのたった一枚の葉書からスタートしましたが、やっぱり拒むことはできません。けど、かかわればかかわるほど大変だし、中途半端になるくらいなら、できもしないことなら、かっこつけずに最初から撤退すべきことかも知れません。

無責任な対応は、相手に傷をつけるだけのことかも知れません。

小学校の時に、教室に入れず、校内を徘徊していたこの子。数年ぶりに今日会いました。

そこに一体、どんな姿の彼がいたか。

そのことについては、また後日お知らせしたいと思います。



FC2ブログランキング


↑どうかランキングも見てやってください。はげみになりますので,ご協力よろしくお願いします。

コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://shinobu1.blog117.fc2.com/tb.php/92-852de3e0
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫