言葉が使えるようになるというメカニズム

 2010-11-22
私は、これまで、多くの子どもの学びに直接かかわってきました。

その中でも、言語の発達は、最も大切なテーマの一つです。

特に、日々、小さい子どもの言葉の育ちを見つめることによって、多くの気づきや発見がありました。

そして、その構造がいかに複雑で、様々な能力の組み合わせや連携によって成立しているのかを、体験を通して知ることができました。


一つ一つを精緻にとらえることが得意なタイプの子は、流動的に流れゆく聴覚性の言語や会話を聞き取ることは、苦手な場合が多いようです。

また、アバウトに文脈を捉えたり、場の空気が読める子は、微細な文字言語を認識したり、イメージ化した内言語を、再び文字言語をと対応させることに、抵抗感を示すことが多いようです。


では、どうするか?

私の施した方法は、基本的には、以下の2つ。


一つめは、厚い支援を施しながら、だんだんその支援をフェードアウトしていくプロンプトフェーディング法、

もう一つは、課題を分析して小さな階段を登らせながら、その頂に迫るスモールステップ法、

方法としてはこの2つで、実践場面では、この2つを組み合わせながら、レッスンを構成します。


毎週1回、90分レッスンで、子どものモチベーションがキープできれば、1年半くらいで、結構手応えを感じるようになってくる、というのが、私の実感です。


もちろん、双方が得意な子もいますが、その逆もあります。

ただ、特性理解の観点として、この2つの軸で子どもを見つめると、その課題やメカニズムが浮き上がって見えてくることが多いのです。



脳の機能局在から考えると、左脳向かって左側のブローカー領野 (表出言語) から右側のウエルニッケ領野 (受容言語) までの、広い範囲が関係していますから、そのどこかに微細なエラーが生じると、色々な影響が生じてきます。

その程度にもよりますが、代償性機能 (マイナスな部分を他の機能で補うこと) が有効に働くようになるまで、学習ができれば、伸びた・できたという手応えを感じることができるようになった、ということだと思います。


場合によっては、学習や本人の発達に伴い、4歳ではうまく機能しなかったことが、7歳くらいでつながり、一気に表出言語大爆発となったのではないかと思われる事例にも、何度か出会ってきました。

また、場合によっては、事実はシャープにとらえることはできるが、感情をとらえることが、どうしてもできない場合もあります。




「昼休みが、おわっちゃった」

この時の、主人公の気持ちは、次のどちらでしょう。

A うれしい

B かなしい


「???」

> 先生、私、うれしいのか、悲しいのか、さっぱりわかりません。 昼休みが終わったと書いてあるから、ああ、昼休みが終わったなあって、わかるけど、それに感情が込められているなんて、今初めて知りました。他の人は、これだけで感情がわかるんですか?

> うん、「おわった」 という表現と、「おわっちゃった」 という表現では、込められている感情が違うんだ。 「~ちゃった」 というのは、「残念だな」「悲しいなあ」という時に、使う表現なんだよ。

> えっ、そうなんですか? 今、初めて知りました。

> そう、あなたは、悲しいという言葉が書いてあれば、すぐ分かるし、事実を読み取る力も豊かなんだから、これから、いっぱい色々な場面を勉強して、そういうことを覚えておくといいかもね。

> ありがとうございました。初めて、こういうことを教えてくれる先生に出会いました。

> あなたには、少し苦手なところもあるけど、いいところもいっぱいあるのだから、それを生かして勉強を続けていくことが、大切だと思うよ。

> えっ、私にもいいことがあるんですか? 私にはいいところなんて、無いと思っていました。 こんなふうに言ってもらったのは、初めてです。

> そうなの? あなたが前向きだったから、ここで勉強できるようになったんだよ。マイペースでいいから、これからも、一緒に勉強を進めていきましょうね。



実際の、昨日のレッスンの一コマです。

苦手な部分は、人それぞれです。

言語表出が苦手だからといって、わかっていないとは限りません。

文字が読めているからといって、内容が理解できているとも限りません。


言葉のルートは、超複雑なのです。

だからこそ、学ぶことが大切であり、意味があるのです。

苦手だから、絶望するのではなく、苦手だから自分がダメだと思うのではなく、苦手だから学ぶのです。


どんなに学習しても、感情をダイレクトに理解することがむずかしい場合もあるでしょう。

言語表出に至らない場合もあるでしょう。

ならば、あきらめて、何もせずそのままでやり過ごしますか?


だからこそ、学ぶ。

きっと、そこから、彼女が歩む、彼女らしい道筋が拓けていくのだと、私は期待しているのです。



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コメント
はじめまして
中2と小5の発達障害の診断を受けた2人の息子のハハです。
以前からここのサイトのファンでお邪魔していましたが、初めてコメント書き込みます。
独特な言葉の使い方をする小5の息子に
「昼休み、おわっちゃった」の質問をしてみました。

息子は、「Aのうれしい」を選びました。

理由を聞くと

「おわっちゃった」はうれしくて、
「おわっちゃったぁ」と、小さな「あ」がついたら悲しい、

という、解釈をしていました。

息子の解釈の仕方の一片をみたような気がしました。
【2010/11/24 19:10】 | AKKY #- | [edit]
コメント、ありがとうございました。

実は、この文章は、文脈の中の一文でして、そういうことが得意なタイプの子と、苦手なタイプの子もいることでしょう。

その子の特性を理解して、その良さが生かされる展開を考えていきたいものです。

いつもブログをご覧いただきありがとうございます。

何かの形で、私にも応援させていただくことはないでしょうか?

今後も、お気づきになられた点、感想などありましたら、お気軽にコメントいただければと思います。

【2010/11/25 10:56】 | #- | [edit]












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