親として 我が子に伝えること

 2010-08-19
私ももう50歳を超えました。

こんな私にも、娘が三人います。
上の子が大学生で、下の二人は高校生です。
それぞれが、それぞれの持ち味と個性で、それぞれの道を歩み始めましたが、そのうちの一人の子に、どうしても伝えておかなければならないと思うことがあるのです。

どうやって、そのことを伝えようかとずっと考えていました。
この子は、いつもミュージカルの話になると、目を輝かせていました。
もしかしたら、大好きなミュージカルに誘えば、このことを伝える機会が生まれるのではないかと思うようになりました。

いつも臨床の最前線にいたいと願い、ここ何年か、お盆も正月もほとんど休みをとらずに教室にこもっていた私ですが、この1週間はお休みをいただき、その娘と今、私は旅行に出かけているのです。


昨日はウィキッド、今日はライオンキング、明日はオペラ座の怪人を観る予定になっています。

いつもとは違う娘の表情がそこにあります。
役者の台詞の一部は、事前に彼女の頭に入っているらしく、舞台と完全に一体になっていました。
最高レベルのクオリティの舞台であることは、私にもわかり、圧倒的な迫力で、舞台の役者がすぐ目の前にいるような錯覚に陥りました。
娘に心からの笑顔が戻り、涙を流しながら感動しているその姿を感じて、私は本当に連れて来て良かったと思いました。


Because I knew,I have been canged.  (自分の命の大切さを知っていたから、私は変わることができた)
Remember who you are.   (あなたは、自分が誰であるかを決して忘れてはいけない)


私は、幼い頃から両親がいませんでしたから、青年期はずっと世の中を斜めに見、投げやりになっていました。
高校生の時、幼くして生き別れた母が、何を自分に託していたのかにやっと気がつき、その後、生まれ変わったように、教師の道を志しました。
今、私がどんなにきつい場面になっても、何とか踏ん張れることができるのは、この気持ちが今でも、心の中に息づいているからに他なりません。

娘の人生は、娘自身のもので、いくら親だからといって、そのすべてを取って代わることはできません。

親なき後の人生だってあるはずです。
娘は娘自身の足で歩むように、育てなくてはならない。
だからこそ、親として、どうしても生きているうちに、この子に伝えたいことがあったのです

そのことを、舞台の役者は、この台詞を通して娘の心に伝えてくれているように思いました。


今日の舞台は、最前列の席でしたので、舞台下のオーケストラをのぞくことができました。
タクトを振っている方の表情が、手にとるように伺えました。
すべての歌詞を口ずさみ、舞台の上の役者に目をやりながら、舞台下のオーケストラの指揮をとっているその姿に、私はこれまでに感じ取ったことの何かを見ているような思いにとらわれました。

主役級の役者の圧倒的なパフォーマンスにも、心うたれました。
と同時に、舞台にいるどの役者、舞台下にいるどの演奏者にも、一人として不必要な者がいないことに気がつきました。
心一つにして、同じステージを作り上げる美しさと尊さを、私は、目の当たりに感じることになるのでした。

娘には、どんな役であってもいいから、人生のステージにしっかりと立っていてほしい。
私は、見えないステージの隅から、精一杯タクトを振り続ける親であり続けたい。

たとえ主役でなくとも、何も恥じることはないのです。
ただ自分に与えられた命を、精一杯果たせる子でいて欲しいのです。
それだけでいいのです。

決して自分をダメな奴と思わないで欲しい。
この子にある、この子の命の輝きを、決して見失わないようにして欲しい。
私の思いは、ただそれだけです。


娘に成り代わって、生きることはできません。
一日も早くそのことに気がつき、自分らしさを生かして、誰かのために働ける子になってほしい。
だからこそ、私は、親としてこのことを、必ず伝えなくてはならないと思っているのです。

父と子の、こうした時間が、この先どれほどあるかは、知れません。
週末には、岡山に帰らなくてはなりません。


娘は、何を感じ取って、ふるさとに帰り、その後どんな道を歩んでいくことになるのでしょうか。
娘の目には、一体何が映っていたのでしょうか。

我が子を甘やかすことと、親として限りない愛情を注ぎ込み、その存在を慈しみ、命の輝きに目を向けさせることの、どこに境界を見つけることができるのでしょう。

そこにどのような苦悩があったとしても、果たして、愛情以外に、人の心を揺り動かすことが出来るものがあり得るのでしょうか。



私は、小学校に入る前に、何百ページもあるギリシャ神話を、毎日、寝る前に枕元で読んでいました。

おそらく、何百日も、その本ばかり読み続けていたことと思います。


「しのぶ君、本を大切にしましょうね。何度も繰り返し読むことにより、きっと何か大切なことをつかむ日がやってきます。  ママより」


ある日突然、私の元から、母の姿はなくなりましたが、その本の裏表紙には、青いインクで書かれた母の文字がずっと刻まれていました。

幼少期に、何百日も続いたこの読書体験こそが、私が社会の中で自分らしさを発揮できる、唯一の源泉となったのです。

これがあるからこそ、私は教師にもなれたし、今の活動が続けられているのです。

今の私の命を支えているすべては、ここにあるのです。


親としてなすべきことに、テクニカルな方程式など、どこにもありません。

この子に大切なことを伝えたい、培っておきたい、

そんな思いが、きっと何かを突き動かしていくのです。



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Author:SHINOBU
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