文脈理解が苦手な人の困り感

 2010-05-17
「けんちゃん、何年何組になったの?」

「1年3組です」

「で、先生の名前は」

「SHINOBU先生です!」


けんちゃんは、真顔でそう答えました。

先日、実際にあったエピソードです。

文脈の中で、当然私は1年3組の先生の名前を尋ねているのです。


笑い話のようなエピソードですが、特性を理解しているはずの私としては、これでは失格です。

「1年3組の先生の名前を教えてね」 と、尋ねるべきでした。

時間が経てば経つほど、「けんちゃんに悪いことしたな」 という思いが強くなってきました。



先日、ある方から、以下のようなエピソードを伝えていただきました。




先日、ある小学校で先生方との話の中で中学年ぐらいの支援学級の男の子なのですが、国語教材「ちいちゃんのかげおくり」を勉強したときのことです。
 
 先生「読んで感想を書きましょう」
 児童「感想はない」
 先生「どう思った?」
 児童「何も思わん」
 先生(少し内容を説明しながら)「爆弾をどう思った?」
 児童「おもしれえ」
 先生「家族やちいちゃんが死んだんだよ」
 児童「死んだとひとことも書いとらん」

たしかにひとことも書いていませんし、先生はこの子に、戦争・爆弾・死についてどう説明していったらいいか困られたそうです。






実際の場面を知りませんから、何とも言えませんが、私の心の中では、もしかしたらという思いが巡ってきたのは確かです。



先日から、成人された方が私の教室に通ってくださるようになりました。

運転免許をお持ちで、大手の企業で働かれていた職歴のある方です。


事前の相談で、「小さいときから、文章に書かれている意味が、本当はちっともわかってはいなかった。 誰に相談しても、この事は理解してもらえなかった。 たまたま先生のブログを見て、この先生ならわかってもらえるかも知れない、そう思ってここに来ました」 と、伝えてくださいました。


きっと、友里ちゃんへの指導実践をお読みになってここに来られたのだと思いました。

「文を速く読むのも、苦手なんです」 と、おっしゃるので、アセスメントも兼ねて国語のプリントをやっていただくと、予想通り、文脈理解の苦手な 「精緻・同時処理型」 の傾向が伺えました。

全体を読まずに、必死でキーワードだけを見つけようとするような読み方をされています。

ならばと言うことで、友里ちゃんと同じ文脈理解へのアプローチを、この方とも一緒にさせていただこうと考えました。


「先生、宿題を出してください」 と、言われるので、その日どっさりとプリントを持って帰られました。

やる気満々なのも、これまた友里ちゃんそっくりです。


「私の所に来たからと言って、苦手な部分が、魔法のように改善されることはありませんよ。 でも、あなたは苦手な所がある代わりに、得意な事もいっぱいあります。 その得意な事を生かしていけば、苦手な部分が少し軽減出来るかも知れませんよ」

「私に得意な所があるのですか?」

「もちろんです。 少なくとも、私はそのことを理解しています。 あなたは全体をとらえることは苦手ですが、部分を細かく見る力はとても優れています。 細かく見る優れているからこそ、全体が見えにくいこともあります。」


私は、自分の英文読解のエピソードをお伝えしました。

英文になると、私はとたんに一語一語の単語にとらわれすぎて、簡単な英文1ページもなかなか読めない。

そうではなくて、わからない単語は読み飛ばしてでも、たくさんのページに目を通すことが必要だと、私は英会話の先生にそう教わったのです。


まずはね、わからなくてもいいから、全体を読んでから、それぞれの問題を考えてみるようにしていきましょう。

どれくらい?と尋ねられたので、私は2000時間と答えました。

いつか英会話の先生に、目標として教えてもらった時間数です。


この方、2000時間、やるかも知れないと思いました。

スピードラーニングではありませんが、私の英語のヒアリングは、ある日突然スイッチが入りました。

テレビや映画の会話が、その日から急にシャドーイングできるようになりましたたから。

それまで、何で聞き取れなかったのか不思議なくらいです。

40代にして初めて知った、「わかる・できるの強烈な体験」 です。


英文の文脈理解は、まだ全然です。

明らかに経験不足・勉強不足。

友里ちゃんや、この方に負けちゃいられません。


それにしても、友里ちゃんの成長は大きな希望を与えてくれました。

たとえ2000時間であろうが、20000時間であろうが、この道を歩めばどこかに繋がっていると思えば、大して苦にはなりません。

やっても無駄だと言われたり、どこを歩めばよいのか分からないのとは、まったく気持ちが違います。


私には、私の道があります。

ゆっくりだって、へっちゃらです。

決して、人と比べる必要はないのですから。



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コメント
いつも先生のブログに励まされています。今日のけんちゃんのお話はうちの息子に少し似ているのかもしれません。息子はまだ幼稚園児ということもあり、先生の所でお世話になるまでは知りませんでしたが、(療育ではそういうことは言ってくださらないので)先生のご指摘によりその特性を知ることができました。息子は人に比べると理解するのにかなり時間がかかるし、言葉もなかなかスムーズに喋れません。でもあきらめずに何回も人の何倍も繰り返すことで必ず習得できると息子の可能性を信じてやりたいです。
【2010/05/17 19:13】 | そうママ #- | [edit]
そうちゃんも、すばらしい力をもった魅力たっぷりのお子さんです。

親としてみれば、苦手なことを何とか克服したいと願うのは当然の思いです。
そこばかりに、目が向いてしまうのも、致し方ないことです。だって、血を分けた親子じゃありませんか?

だからこそ私は、ご両親の信託を受け、教育的な愛情でこの子を育んでいく責務があると考えています。

それが、私の仕事です。

きっとこの子はいい子に育つと、私も心の芯から信じています。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
【2010/05/18 08:32】 | SHINOBU #- | [edit]
お忙しい中、ありがとうございます。
実は昨日療育で、就学についての懇談があったのですが、特にためになるアドバイスもなく、学校を見学に行くポイントを訊いても曖昧で、私の話を”そうですよね~”と聞いてくださるだけ、私自身もこの先生の本心は何なんだろうと思うだけの30分だったので落胆して帰ってきました。

でも昨日の先生のブログで色々な方のエピソードを知り、少し前向きな気持ちになれました。
来月もまた先生にお目にかかるのを親子共々楽しみにしております。
【2010/05/18 09:41】 | そうママ #- | [edit]












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