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子ども理解の2つの軸 (サポートブックや個別指導計画は何のために?)

 2010-03-11
昨日の指導場面でのエピソードです。


4月から入学予定のダウン症の女の子に、数量の指導をしていました。

この子は、パズルが得意な子で、先日、宿題として渡しておいた46ピースのひらがなパズルを、あっという間に私の目の前で完成させてしまいました。

ものごとをぱっと見て、映像としてとらえることの得意な子です。

単語も、どちからというと、一字一字をかっちりとらえていくタイプなので、やや逐次読みになりやすい傾向も伺えました。

数字のうらに、ケーキを5個印刷したカードも、それを見て瞬時に 「5」 と、言えるように練習をしてきた子です。

「□□□□□ □□」 を見て、ぱっと 「7」 とわかるのは、算数でとても大切な力です。 同時的に数量をとらえる力です。

と同時に、ごちゃごちゃに並べられたりんごを、「1・2・3・4・・・・・14」と、一つずつていねいに数えていく能力も大切な力です。 継次的に数量をとらえることのできる力です。


私たち大人は、経験豊富ですから、あるときは同時的に、あるときは継次的に数量をとらえます。

ところが、子どもは今まさにその過程にいるわけですから、ある時は継次的な見方ばっかりで攻略してきます。

活動の途中で、そのことを切り替える経験が少ないからです。


この女の子、もともとは同時的なことが得意でしたが、昨日のレッスンでは 「16」 とかのケーキを数える力が、2週間前、1ヶ月前と比べるとかなり向上しており、驚きました。

ちょっと前までは、確か7・8あたりで、かなり怪しくなっていましたから・・


私は、子ども理解の軸は2つあると考えています。

一つは、検査データ、経過、論文や研究経過をもとに演繹的に子どもをとらえる方法です。

例えば、K-ABCアセスメントバッテリーなどから、この子は同時処理優位だから、こういう指導法が有効ではないか?と、仮説を立てながら、指導法略を構築していくやりかたです。

ある意味オーソドックスで、信頼度の高い、正攻法のやり方だと思います。


しかし、具体的な実践場面・臨床場面になると、様々な要因や経過が複雑に交錯していますので、微細な部分については、決して論理通りには進まないことの方が多いのです。

検査結果は、信頼のおける客観的なものとして尊重されるべきものと心得ていますし、これまで多くの面で大変参考にさせていただきましたが、これは統制された環境の中の、プロフィールや断面であって、決して森羅万象すべての真実を集約した物ではないわけです。

上記の女の子のエピソードも、その一例です。

検査は、最も信頼できる参考資料の一つですが、世の中、検査ですべてのことがわかるわけではないのです。


子ども理解のアプローチのもう一つの軸は、帰納的なアプローチです。

「あの子、昨日本読みがとても上手にできていたね。 もしかしたら、みんなで一緒に読むと、聴覚的に文をとらえやすくなるのかな? だったら、短いフレーズで、ちょっとずつカードのようにして、聴覚と視覚とを対応させて練習させてみるか?」

「あの子、やっぱり書き順は、縦・横・横と言葉を添えると快調だけど、やっぱりBちゃんは余計なことをごちゃごちゃ言うと混乱するなあ」

というように、具体的な実践の経過をもとに子どもをとらえる方法です。


この双方の軸で子どもをとらえると、より立体的に子どもの姿が浮かび上がるのではないかと思います。


その軸足の置き方ですが、教育の場合、帰納的が7、演繹的が3くらいでよいのではないかと思っています。

サポートブックにしても、個別指導計画についても、こういうものは性質上、どうしても演繹的になりがちで、血の通わない形式的なものになりやすい落とし穴が待ち受けています。

ご立派で、学術的な用語をいくつ並べた支援計画であったとしても、それが実践場面に生きて働くとは限りません。


出張で、分厚い出張報告を書いてきた保育士がいました。

私は、その保育士に尋ねました。

「で、結局君は、どんなふうにこの事を、明日からの保育に生かしていこうと思うの?」

「めざすことを段階的に示してやって、上手に支えながら、発表会では、みんなの前で認めてあげたいです」

「うん、楽しみにしているよ」

その瞳の輝きから、何かがストンと心に落ちているのを感じました。


物事の本質が見えている人ほど、むずかしい言葉を使わずに、簡単なエピソードを紹介しながら、鮮やかに子どもの今を切り取ります。

個別計画も、サポートブックも、こんなふうであってほしいと思うのです。

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