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「ほめる」 で子どもはどのように変わるか? (2年生男子の実践事例より)

 2010-02-08
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最近、好調な男の子の実践事例です。

その子は、昨年の夏頃は、今と比べるととても不安定な状態でした。

個別指導の場面でも、ふざけたり、挑発的なマイナス行動の連発で、私に叱られ涙を流して帰る日もありました。

特に、漢字の書字が大の苦手でした。 2年生ですが、1年生の漢字にもかなり苦労しているようでした。


この子の書字面の課題について向き合っていくうちに、私は、いくつかの点に気がついていきました。

① 入力 (視覚認知) → ② 処理 (継次処理) → ③ アウトプット (運動書字機能)

と、いう3つの観点から考えた場合、それぞれの部分で細かい課題点が見えてきましたが、最も苦手な部分は、③の部分であるような気がしました。

そのアウトプットの部分も、書字機能のテクニカルな部分だけでなく、集中力の持続性といった態度的な面、メンタル的な要素も深くかかわっているように思えました。


行動が不安定な子どもの指導の大きな柱は、とにかく 「ほめる」 が鉄則です。

特に、個別指導の最大の武器は、「他のことを気にせず、おもいきりほめる」 ですから、これを使わないテはないと思いました。


この子、処理は継次的だけど、視覚認知はある程度イケていることは、算数のお買い物ゲームの場面で、何度も感じていました。

また、聴覚性の言語もとても豊かなです。


なので、「 線という字はね、糸へんに、白い水だよ。 だって運動場に白い線を水で引くじゃない 」 とか、 「 歩くと言う字は、止 と 少、 つまり、少し止まるって覚えたら簡単だね 」 とか、そういう支援がとても効果的でした。


アウトプットの鍛えは、「とにかくスケート靴を履かせて、リンクに立たせる」 という方略でした。

「もうできん」 「したくない」 と投げ出させるのではなく、「ごめん、ちょっとあれ取ってきてくれる?」と頼んで、スケート靴を履いたまま、用事を頼むような感覚です。

集中力の課題のある子には、お使いやお願いを一番に引き受けてくれるタイプが多いのですが、この子も調子に乗せると、ガンガンやってくれます。

そこが課題でもあるし、長所でもあるのです。


子どもの場合、毎日スケート靴を履いてリンクに立ったら、きっと大人より上達はうんと早いのではないでしょうか? 運動野付近の脳の可塑性も、大人よりうんと高いはずです。

早期の、質の高い教育の重要性は、こんなところにもあります。


ほめる → やる気 → 成果が見える → ほめる → やる気 → 成果

こうしたサイクルが、こうしたタイプの子には、極めて有効です。


指導が終わった後、私はご家族の皆さんにその日の指導の内容についてのお知らせをします。

この日は、いつも以上にこの子の育ちについて、熱くお母さんに報告をさせていただきました。

その時この子は、チョロQのコースを作って遊んでいたのですが、私たちの会話をきっと、耳をダンボにして聞いていたはずです。

連絡が終わり、さて帰ろうかという段になり、面白い出来事が起こりました。

いつもは、片付けることが大の苦手だったその子が、何とそのレールを1本ずつていねいにそろえて、箱にしまい始めるではありませんか? (↓ 下の画像)


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これには、お母さんも私もびっくりしてしまいました。

「なんか知らんけど、家じゃする気にならんけど、ここではきちんと片付けたくなってしもうた~」

とは、彼の弁・・


いつもなら、片づけろと言っても、ぐちゃぐちゃに投げ出して帰るような彼でした。

この気持ちがあれば、漢字がきれいに書けるのも、うなずけます。


私とお母さんは、顔を見合わせて、ただただ苦笑いするしかありませんでした。



2年生の漢字プリントをさせながら、行く先に希望の光が見え始めたのは確かです。

たとえどんなに遠い道でも、向かう先が見えれば、さほど苦労は感じないものです。

今日はまさに、この子の漢字記念日になったような気がします。


マイナス行動連発で、涙を流しながら教室を出て行ったあの日。

私は、あの1日こそが最も大切な日であって、あの日こそがスタートの日であったと思うのです。

出来ないことで、子どもの気持ちを痛めなくて、本当に良かったと思います。


苦労した分だけ、つながりは深くなります。

苦労の度合いが大きければ大きいほど、その子が大好きになってしまいます。

大切なのは、うまく行っている日の営みではなく、厳しい場面、その日・その時。

その時の心・思い・熱意・愛情・努力・決意を、きちんと形として子どもの前に示すこと。

その品質が子どもを変える。


この子、次回はどんな表情で教室にやってくるのでしょうか?

決して一筋縄でいかないことも、よくわかっています。

だからこそ、ドラマがあり、生きている実感を感じることができるのです。


また一つ、大切なことを、この子から教えてもらったような気がします。


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