同時処理タイプの子 読解指導の具体的な実践例 (4年)

 2010-02-02
子どもの特性理解に基づいた指導をしようと考えた時に、例えば、「自閉症のお子さんには視覚支援が有効」 という視点があります。


この子にも、視覚支援が有効かも知れない、という観点から、その子に合った教材を工夫してみることは、とても大切なことだと思います。

しかし、自閉症スペクトラム(連続体)と呼ばれるように、個々の認知特性は百人百様です。

仮にAちゃんに有効な指導が、Bちゃんに有効だったとしても、それがCちゃんにも有効であるとは限りません。

入力は視覚的でも、頭での処理が継次的な子って、いっぱいいます。


ましてや、言葉を使って学習をすることは、大変複雑で高度な知的作業です。

同じ漢字を書くのが苦手な子でも、認知面につまずきがある子と、書字そのものににつまずきがある子の指導や手だてが同じであるわけはありません。

どうしてそれが苦手なのか、学習のプロセスやメカニズムの中で、そこが特定できれば、そこに厚い支援を施したり、小さなステップをこしらえたりして、その部分をクリアさせ、周辺領域の力を付けた時点で、支援をフェードアウトし、自力解決へ導いていけばよいのではないかと考えています。



先週お伝えした4年生の男の子、またまたこの子の学習のメカニズムが見えてきました。

この子、文字をすらすら読むことができます。

漢字も、一画一画ていねいに書き、細かい部分をフォーカスすることができます。


しかし、音読みと訓読みとの使い分けは嫌いです。文と文との関係をつかみ、「しかし」「そこで」 (順接・逆接) などの接続詞を選ぶ問題は、大の苦手です。

また基本的に、穴埋め問題は得意で、選択問題は苦手です。

さらに、文脈の中で意味を考えるのも苦手で、キーワードの意味がわかなないと、そこからは例え音読は出来ていても、そこから文脈を頭に思い浮かべることも得意ではありません。

つまり、インプットは同時処理系で、思考は継次的、アウトプットは同時系です。


ここまでわかるのに、かなりの時間がかかりました。

しかし、昨日の指導でそのことを確かめるようにしてみると、面白いように支援がはまり、とても痛快でした。


まずこの子が、文脈を把握できる量的な限界を確かめたかったので、問題文をいくつかに分割してとらえさせました。

つまり、「先生が赤で囲んだこの部分をもう一度読んでみよう」 という支援です。

今の時点では、だいたいこれぐらいの長さの文が限界だなっていう所が、何となくつかめてきました。


次に言い換えの語句をていねいにチェックしてみました。

今回の問題では、例文の 「主に」 が、問題文では 「主として」 と言い換えられていました。

「主に」 という言葉は、「主として」 という言葉と、同じ意味なんだよ、と教えると、その子は、大きくうなずいてくれました。

また、「欧米の文化」 という言葉がわかりにくいようでしたので、「それは、アメリカやヨーロッパの文化」 ということなんだよ」 と教えてやりました。

こうして、思考をせき止めていたいくつかの堰を切ってやることにより、彼の文脈の回路に、豊かな水が流れ込んでいきました。

もちろん、キーワード自体を見つけることは得意なので、「○○に基づく」と書いてあるけど、何に基づくのかな? というような補助発問も、彼には効果的でした。


こうした学習を進めながら、彼が言葉の海を泳いでいく中で、いろいろな力を身につけていき、やがては私の滑走路から飛び立って言って欲しいと願っているのであります。

私はこの日、彼に読解問題の楽しさを、少しだけ味わってもらうことが出来たような気がしています。


その日の深夜、またまたお母さんから、以下のようなメールをいただきました。






今日もご指導ありがとうございました。

おもしろかった~と先生が何度もおっしゃられたように、
この子ももとても満足した時間を過ごせたようでした。
帰りの車の中、家に着いてからもご機嫌で(^^♪
動画でその様子をお見せしたいぐらい…(笑)

宿題も自分から進んでやっていましたが、
「オレ、自主勉するんじゃった!!」とのこと。
今日はもう遅いから明日にしたら?と言ったのですが
どうも先生と約束をしていたようで、明日の朝はいつもより
早く起こして!とようやくベッドへ入りました。
『シルバーシート』と『老人用バイク』について調べるそうです。
今日は他の子が調べてきたようで、次はオレが!と手を挙げたようです。

興味のあること、得意なこと、そこからどんどん世界を広げていって
欲しいと思います。『長所活用型』、この子にはやはりピッタリのようですね(*^^)v

ではまた次回のご指導もよろしくお願いします。ありがとうございましたm(__)m







この子、絶好調モードに入ってきましたね。

この日も、100点のテスト、90点のテスト、いっぱい見せてくれました。

一度シャッター降りると、問題文が全滅になっていた時期もあるけど、今では着実に力を付けていると思います。


でも、本当は、結果じゃない・・

私は、この子がもっている力を発揮し、自分らしく命を輝かして歩んでくれればそれでいい。

そして自分の苦手なことも受け入れた上で、自分自身が大好きな子になって欲しいと願っているのです。


そういう子は、他者を受け入れ、必ず心優しい子に育ちます。

そして、その事が必ず、この子自身の幸せを育んでいきます。


結果をあせると、どうしても子どもの心を痛めがちになってしまいます。

今回のこの子との営みは、私にとっても大切なことを、改めて教えてくれたように思っています。



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