長所活用型指導の具体的な実践事例 (4年・男子)

 2010-01-21
長所活用型指導というものがあります。

私の教室では、ほとんどの場合、このスタイルをとっています。

これは、「4年生だから、これをしましょう」 ではなくて、その子の深い特性理解に基づいて、その子の良いところを伸ばし、それを活用していくことによって、学びへのモチベーションを高め、苦手なことをも克服してしまおうという試みです。


この日、私は一つの決心をもって、この子に向き合いました。

それは、たとえ遠回りになったとしても、この子が今わかっている学習内容をていねいに読み解き、小さなステップを無理なく登らせていこう、という決心でした。

いつも心がけているつもりであっても、指導の前に、お母さんから情報やら、学びの願いについてお知らせしていただいていましたから、いつの間にか結果を焦りすぎてしまっていたようです。

私、そんな自分に気がつき、大いに反省をさせられました。


指導には、気合いが不可欠です。

でも、是非とも理解させたいと願うなら、強い語気で子どもに迫るのではなく、そのエネルギーは、指導の工夫に費やし、笑顔で子どもに向き合うべきです。

周到な準備をし、指導に自身があるのなら、語気は穏やかになり、たとえつまずきがあっても、待ってましたとばかりに、余裕で、笑顔で対応できるはずです。

指導する側に、あせる気持ちが強かったり、自信がない時に限って、語気だけが強くなり、子どもの気持ちを痛めることになるのです。

挙げ句の果てに、「何でこんな事も分からないの?」 そんな禁句が飛び出したりします。

子どもはやる気をなくし、思考のシャッターをガラガラと降ろし、ジ・エンド・・

最悪です。


私でさえ、そんなことになってしまう可能性があります。

私、ここ何回かの指導を振り返り、この子の学びの温度が、少し低下しかけているのを感じてしまったのです。

これは、死活問題です。


この日は、漢字の読み書き、算数(概数の計算)、文章読解プリント、の3つの学習内容を構成しました。

気合いを入れて、今回はいつも以上に周到準備をして置きました。


この子の認知特性と、これまでの学習の経過から、もしかしたらつまずくかも知れないと思われる場面を、事前にていねいに予測し、対応策を十分検討し、これなら必ずできるというイメージをこしらえて指導に臨みました。

決して声は荒げません。

が、最初少し学習から逃げ腰の彼を、しっかりとつなぎとめる所から、この日の学習はスタートしました。


既習学習の漢字の読みからスタートし、情報を与えておいた上で、漢字の書き取りをさせました。 苦手な文字が出た場合は、自分で調べさせました。 資料は待ってましたとばかりに、事前に準備しています。

再テストをし、この日の課題がパーフェクトに出来たことを示し、達成感をもたせ、学習にリズムを付けます。

この辺りから、彼のモチベーションは、一気に高まってきました。


算数の概数の学習では、彼が混乱しような問題は、小さなステップを提示し、既習事項を使えば、クリアできるように配慮しました。

例えば、5151を一万の位の概数にすると、10000になりますが、これは意外と分かりにくい。

なぜなら、ただの5000を、10000と見る機会が少ないからです。

でも25151なら、意外とすぐに30000と答えが出せる。 これまで、似たような問題を、何回か自力で解いてきた経験があるからです。

ならば、
25151 → 30000
15151 → 20000
 5151 →   ?

と、提示しれやれば、「あっ、そうか!」 となるわけです。


「じゃあ、8151は?」

「9151は?」

もう大楽勝です。 ここでたっぷりとほめると、モチベーションはさらに高まります。


国語の読解問題では、この子の場合、ひとつの言葉が多義的に使われると、混乱するタイプです。

また、一つでもわかりにくい言葉があると、文脈を見失いがちです。

中心となる内容をはっきりと図示し、それに細かい内容を関連させて、視覚的にとらえさせると理解が進みます。

先日紹介した友里ちゃんみたいな読解指導が有効なタイプです。

この日は、残り時間が少なくなり、読解プリントは1枚ちょっとしか出来ませんでしたが、それで十分です。

学習の手応えは、決して枚数に比例するわけではありませんから・・


この日、早速お母さんから、以下のようなメールをいただきました。





今日もご指導ありがとうございました。

今日はどうだった?と聞くと
楽しかったで!意外と! との返事でした (*^^)v

最近はこの質問に、頑張ったで! と答えていたように思います。

先生同様、とても充実した時間だったようです。

私が何となく感じていたことを、先生が話され始めた時は、ちょっと驚きましたが、やっぱりそうだよな~と大きく大きく心の中でうなづいていました。

これからも先生のところで学ぶ楽しさ、喜びをたくさん味わって自信をつけて行ってくれたらと思います。

教室を出る前から、次はいつ!?って聞いたの、初めてじゃないですかね (^^♪

次回もよろしくお願いします。可能な限り“情報”をメールしますので…!





やっぱりね。 やりました。

結果としては、学習内容も、理解度も、達成感も、前回までのものとは比較にならない程、向上していました。

私も、彼も、次回のレッスンに大きなはずみがつきました。


長所活用型指導と言えば聞こえがいいですが、それは決して万能薬ではありません。

特に、学校・園では、基本は短所矯正指導でなければならないと思います。


短所矯正と言ってしまえば、聞こえは悪いですが、言い換えればそれは、「子どもの可能性を信じて、チャレンジさせる」 最もベーシックで大切な教育の営みです。

学校・園での、こうした営みがあればこそ、私の長所活用型指導が生きるのです。

学校・園には、学校・園でしかできない、専門性と役割があるのです。

それは、家庭にも同じ事が言えます。


子どもの特性理解は重要ですが、にわか勉強の、安直・丸かじりは禁物です。

個別指導教室と、療育と、学校・園とでは、果たす役割も専門性も大きく異なります。

それぞれが同じ事をするのではなく、同じ目標に向かって、それぞれが最も専門性の生きる指導を行うことが重要なのだと思っています。

特に、学校・園においては、集団の中に、その子のしっかりとした居場所がありうことが不可欠だと思います。

それがあってこそ、個別指導が生きてくるのです。

その形も、様々です。


熱い気持ちと共に必要なのは、冷静で深い判断と、努力と工夫の積み重ねだと思います。

それぞれが機関が持ち味を発揮し、子どもが生き生きと学び育つ環境を・・

私も、自分の役割をしっかりと見つめていきたいと思っています。


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