逐次読みからまとまり読みへ (同時処理タイプの子・読字指導実践の具体例)

 2010-01-19
友里ちゃんは、現在小学校5年生です。 4年生の頃から、私の教室に通ってくれるようになりました。


「国語の時間の、まる読み(席の順に一文ずつ読んでいく)の学習の時に、とても大きな抵抗感を感じているようです・・」


教室に通い始めて間もない頃、お母さんからそんなことを伝えていただきました。


友里ちゃんは、漢字の書き取りの学習にとても熱心に取り組むことができます。 向上心が強く、与えられた課題は、何としてもやり遂げたいという意欲の強い子です。

「SHINOBU先生と一緒に勉強したら、すごくよくわかるから楽しいんよ!」 と、言って、90分の指導時間、一度も休憩を入れなくても、毎回集中して取り組んでくれます。

「この前は、プリント8枚できたよね。 今日は10枚できるかな~ 早く100番までクリアしたいなあ~」

夏休み期間中は、集中講義と称して、週2回90分のマンツーマンレッスンを受けてくれました。

指導時間は、あっという間に過ぎます。

本当に、かわいい子です。


昨日、紹介した花子ちゃんは、継次処理が得意なタイプのお子さんです。 全体をさっさっと読んでアウトラインをつかむことが得意なのです。

よく聞いていると、ちょっと自分なりに勝手に文章を変えて読んでいることもあります。(笑) 漢字の習得も 「大きな山」 「青い空」 など文脈の中で、関連づけてとらえさせると効果的です。

よくも悪くも、これが花子ちゃんの認知処理様式なのです。


一方、友里ちゃんは、一つ一つをきちんととらえていくことが得意です。

パズルなども大好きです。 漢字も一画一画ていねいに書いていきます。 何でもきちんとフォーカスしていくタイプなので、どうしても読字の時には、「わ・た・し・は・・・」 と、逐次読みになりやすい傾向があります。

一つ一つを一生懸命フォーカスしていくタイプなだけに、文字情報が多すぎると消化不良を起こしがちです。

また同じ漢字に音・訓の別々の読み方があったり、英語のイディオム (言葉の組み合わせによって一つの意味をなすもの 例えば It,s on me. 「私のおごりよ」 とか A piece of cake. 「簡単さ、朝飯前だよ」) など、特別な読み方のものには、とまどうことが多いようです。

どうしても言葉の世界との接点が、狭くなりがちなので、放っておくとだんだんと意図している意味が分からなくなってきて、苦し紛れに適当な解答を記入したりすることもあるかも知れません。


友里ちゃんには、他の子にはない、たぐいまれなる向上心があります。

そこで私はどうしたか?


それは、基礎の基礎から、もう一度ていねいに、小さなステップを積み上げて読みの体験の土台を築き上げていくことでした。

以前は、90分の指導の中で、算数も国語もロールプレイも物作りも体験的な学習も、様々な内容のものをしてきました。

「すべての基本は、文字を読み、意味を理解するところから・・ 積んでは崩し、崩しては積むの見せかけの学力ではなく、本当の力を培ってほしい」

指導の度ごとに、何度も何度もお母さんと話し合いを重ね、いつの頃からか、私の教室では、90分間、国語のみの指導を行うことになりました。


まずは、簡単な文章から、小さなステップを刻んでいきました。

1文1文、意味が理解できているかどうかを、確かめながら進め、一つでもわかりにくい言葉があったら、どんなささなことでも、ていねいに教えて行きました。

一つでもわかりにくい言葉があったなら、そこから先、文脈や全体の情景を思い浮かべることができにくくなる (シャッターが降りる) ことを避けるためです。

文脈を見失ってしまうと、そこから類推することが極端に出来にくくなってしまいます。

文を読むときには、その一つ一つの語句を、文脈と照らし合わせながら、私たちは知らず識らずのうちに、相互に関連づけているはずです。

「もういいよ」 が、 「もう来なくてもいいよ」 か 「もう来てもいいよ」 かは、文脈を理解していればこそ、判断できることがらです。


私が、友里ちゃんに培っていきたかった体験の一つが、こうした文脈を見失わずに読み進めていく楽しさでした。 その方が読んでて楽だし、面白いに決まっていますから。

そして、問題を解くときには、当てずっぽは決して認めないようにしました。

友里ちゃんは、穴埋め問題は得意ですが、3択問題は苦手です。

仮に当てずっぽで正解しても、私は、「どうしてそれに○を付けたのか」 と、必ず尋ねるようにしました。

その代わり、解答前に語句にかかわる質問をしたら、どんなに些細な質問でも、心をこめて、ていねいに、得心のいくまできちんと説明をしていきました。

自分の力で判断できたときには、しっかりとほめてやりました。

そして、伸びてきた自分の姿を、映し出すように見せてやりながら、今はまだ歩み始めたばかりだけれど、この先にはきっと、すばらしい世界が待っているんだよと、伝え続けていきました。


こうして、友里ちゃんと、文字との接点は、飛躍的に拡大していきました。

毎週、毎週90分、読み指導を徹底的に行っていくわけです。 プリントのファイルは、みるみるうちに分厚いものになっていきました。

いつの間にか、逐次読みは、まとまり読みへと変わっていきました。 結構スラスラ読めるようになってきましたから、子どもの可能性は、やっぱり侮れません。

そりゃあ、あれだけやり続けたのですから、そもそも子どもが変わらないわけがないのです。

続けられたこと、続いていくことのなかに、大切な何かがそこにあるのです。


もちろん、認知処理様式が変わったわけではありません。

でも、知ってる言葉、使える言葉が、だんだんと増えてきました。 フレーズやイディオムも、身についてきました。

身についたからわかる、わかるから身につくという、プラスのスパイラルが徐々に形成されていきました。

それにこの子、物語自体は大好きで、問題をやっていても、その先どうなるか、知りたくて仕方がないのです。

それに、いくら小さいステップであっても、これだけ時間を重ねると、結構なところまで上がらないわけはありません。

読めない物が読めるようになったこと、出来ない問題ができるようになったこと、その手応えを誰よりも感じているのは、誰であろう、この友里ちゃん自身なのです。

最初のことは、一つできたらシールを貼り、それがたまると文房具をプレゼントしていました。 トークンエコノミーシステムです。

今は、そんなもの全く必要ありません。 自己実現が、最高ランクの強化子となって、彼女のモチベーションを支えているのです。

人と比べない学びは、こんなふうに本当は楽しいものなのです。

長所活用型指導の存在価値は、ここにあるとも言えます。


使用しているプリントは、まだ当該学年より下のものです。

でも、国語の読解に、何年生の問題という物差しが果たして本当に必要でしょうか?

ここで充てるべき物差しは、何を差し置いても、友里ちゃんの豊かな学びそのものでなけではならないはずです。


学校休んででも、熱が出ても、私の教室にだけは来るという子は、実は友里ちゃん以外にも何人もいます。

本当に学校休んだ日にも、来るので苦笑いをするしかありません。

這ってでも指導に来たいのは、実は私も同じです。 それだけ、今の指導時間が、充実して楽しいのです。


ここまでの土台造りのために、費やした時間・費用・話合い・工夫などは、相当なものだと思います。

やっとの思いで、ここまでたどり着いた、というのが実感です。

この先、この子の心に、しっかりとしたものを、ていねいに積み上げていきたい。

何のための学習か? 学習の目的は何なのか?

その答えは、友里ちゃんの成長と幸せ、それ以外にはあり得ないのですから・・

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コメント
はじめまして。私が担当するお子さんにも、読字で苦戦している子が何人かいますので、興味を持って記事を拝見しました。元気をいただきました。ありがとうございました。今後も色々教えていたた゜ければと思います、。
【2010/01/19 22:59】 | hige #- | [edit]
先生、わざわざコメントをありがとうございました。

同じ実践者として、これからも色々とご指導いただければと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いします。
【2010/01/20 11:48】 | SHINOBU #- | [edit]












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