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ダウン症児の可能性を 世に示す

 2009-11-20
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昨年の秋に、かれんちゃんのお母さんから電話をいただいたことがきっかけで、岡山の教室にダウン症のお子さんがたくさん通ってくれるようになりました。

今年の2月、すばらしい成長記録を作られたREIKOさん と千葉の舞浜でお会いしました。 それから、数名のお子さんの学びに、不定期ではありますがかかわらせていただくようになりました。

今年の4月からは、大阪府堺市ののぞみ会 の皆さんのご協力により、毎月10名近くのお子さんへの定期的な出張指導をさせています。

正確に数えたことはありませんが、きっと30名近くのダウン症のお子さんの指導に、直接かかわらせていただいているのではないかと思います。


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この30名近くのお子さんの指導者として思うことですが、30人の子どもをまとめて考えることは、どうやったって無理なことです。 一人一人が、それぞれの輝きをもった存在なのであって、まとめてダウン症だからと、考えることは、到底私にはできないことです。


ダウン症という言葉は、正しい理解に生かされ、子どもの利益に通じる場合のみ使うべき言葉であると考えています。

ましてや、「ダウン症児だから、ここに行きなさい」 とか、「ダウン症児だから、通常学級は無理」 などという発言は、とても正しい理解に基づいた発言であると、私には思えません。


こうした考えが偏見であることは、実際に子どもと接してくだされば、すぐにわかります。


先日、テレビ番組で紹介された金沢翔子さんのように、芸術の世界で優れた才能を開花させた方もいます。

岩元綾さんのように、英語が得意で、4年生大学に進学された方もいます。

私が指導させていただいている子どもの中にも、それはそれはすばらしい表現力で、テレビや舞台で活躍しているお子さんがいます。

就学前ですが、鉄棒やキャッチボールが得意で、数メートル先から、私の胸に強烈なボールを投げ込んでくる女の子もいます。

こういうことを、十把一絡げで、「ダウン症児」 という枠で決めつけてしまうのは、偏見であり、それが差別に通じるわけです。



一方で、正しい理解と支援は必要です。

例えば、筋肉の低緊張、あるいは自律神経の調整力が弱いことへの配慮や、視覚や聴覚など、それぞれの認知特性に応じた工夫が必要です。

こうした適切な指導を構成することができれば、もっともっとその子が本来もっている才能を開花させ、社会に貢献できる子が育つのではないかと、私は考えています。

金澤翔子さんも、岩元綾さんも、ご家族の深い理解と愛情、そして情熱ある教育があればこそ、その才能を開花させたわけです。


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昨日、かれんちゃんの指導を行いました。

最近、ご両親が超多忙、私も振り替え指導など調整可能な枠がほとんどなくなり、定期的な指導ができにくくなってしまいました。

それでも何とかやりくりをつけ、昨日やっと指導をさせていただくことができました。


同じダウン症のお子さんと言っても、年齢も違えば、課題も違います。

環境も違えば、これまでの指導の経過も全く違います。

私は、どんなお子さんにも、どんなご家庭にも、公平に接していく義務を有していますが、それは決して一律に同じプログラムを実施するということではなく、どの子にも最善の指導を実施することが、公平に接することだと考えています。

つまり、どの子にも、スペシャルな指導を実施するのが、個別指導を行う者の努めであると認識しているのです。


かれんちゃんの場合は、圧倒的な活動のエネルギーをもっています。

これを小さな枠にはめ込んで、目先の成果を求めてしまうと、なぜか強烈に拒否されてしまいます。

指導を始めてもう1年になるのに、何度も経験しわかっているはずなのに、何回か同じような失敗を繰り返してしまいました。


もちろん要求水準を上げて、ここまでおいでと導いていく営みも、時には大切です。

でも、彼女の場合は、小さなステップを上手に組み合わせて、上手にリズムをつけてやる方が、結果的には大きな発展が見られることの方が多いのです。

わかっていながら、どうしてもやらせようとして、マイナスの展開になってしまう事が何度かありました。


ここ何ヶ月かで、かれんちゃんの認知力も、言語コミュニケーション力も、飛躍的に向上したと思われます。

かれんちゃん、いろんな事がわかるようになってきたし、言葉で色々な事が伝えられるようになってきました。

アンパンマンのカードだって、しっかりポインティングできるようになってきました。

しかしその分、私が向き合う姿勢に変化があると、以前のような楽しい活動の発展が見られなくなる事が多くなりました。


どうしてだろうと、反省をしてみました。。

で、結論、

「変わったのは彼女ではなくて、自分の方だ。 ならば原点に返ろう。 最初に彼女に会った頃のように、ありのままの彼女を受け入れながら、小さいステップで望ましい行動を即時強化していこう。 そうでない行動は受け流し、適切な指示を示しながら、できたことをしっかりほめていこう。 そうやって、私はかれんちゃんを育ててきたのだから・・」


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こうして、この日の活動は、とても楽しく充実したものになりました。

結果的には、私が期待して以上の発展を見せた内容もたくさんありました。

これまでずっとずっと続いてきた、楽しくて楽しくて仕方のないSHINOBU先生との勉強が、こうして復活したわけです。


テクニカルな面で何もしなかったわけではありません。

かれんちゃんの変化に、私が対応できず、最近接な領域の教材を適切に提示できていなかったのだと反省しました。

また、認知力の高まりによって、注意力が分散しがちになり、教材・教具の配置など、環境面の配慮が足りなかったこともわかりました。

こうして、90分の指導が終わっても、まだやりたい、帰りたくないと、お母さんを困らせるいつものかれんが戻ってきました。


こういうことの繰り返しで、私の指導は成立しているのです。

ダウン症児だからどうこうということは、こういうレベルではカケラもなくて、一人の教育者として、目の前の子どもの成長に真剣に向き合う、ただそれだけのことです。


私は、社会的な成功だけが、価値の尺度であるとは思っていません。

私が感動を覚えるのは、それぞれの子が、それぞれの命を輝かせていく姿なのです。


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9月から通ってくれるようになった支援級の2年生の女の子。

この子も90分の毎週90分の指導ですが、めちゃくちゃ楽しいです。 昨日は、読解文のプリント3枚で良いのに、5枚もしてくれました。 心が通い合っているし、会話もはずみます。 学習内容にぐいぐい食いついてくれます。

もちろん指導はオリジナルです。

少しずつではありますが、必要な時期には、1回ごとに、内容を変えていきます。

手応えのある指導ができているときは、こうした時間は苦労でも何でもなく、どんなに時間がかかろうが、楽しいだけです。


剛速球を私の胸に投げ込んでくる女の子は、来年就学です。

ご両親は、通常学級への入級を決意されています。

並大抵のご決心ではありません。

ご縁があり、私も、来年から月2回の定期的な指導をさせていただく枠組みが出来つつあります。

5月には、私とご両親とで、就学先の小学校へ早々とご挨拶に伺いました。

これまでかかわってくださった大学の先生とも、就学後の支援や小学校との連携・協力が、具体化のレベルで現在進んでいます。

こうなると、私の気持ちは、喜びを通り越して、使命感と責任感で身震いするような感覚です。

どんな課題でも、どんな面倒なことでも、真っ正面から受けてやろうというような気持ちです。

なぜなら、この子の後ろには、何人もの子どもの幸せがつながっていると感じているからです。


どんな形でも良い。

この子たちが、誰かのために働き、自分の命を輝かせ、幸せを感じることのできる人に育てたい。


何々症だから、云々という考えは、偏見です。 差別につながります。 正しい理解や支援とは、全くの別物です。

大切なのは、一人一人の無限の可能性を信じ、最適な教育を行っていくことです。

そうでなければ、天才書家の金澤翔子さんの存在はありえなかったはずです。


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私にとっては、かれんちゃんのお母さんの1本の電話からスタートした物語です。

人生はステキです。

この子たちが、私に、私の生きている意味とエネルギーを与え続けてくれるのです。

だからこそ、私には私の役割と責任があります。


ダウン症の出生率は 1/1000 と言われます。

適切な理解と教育によって、その可能性を開花させるのは、大きな社会的な利益につながると考えます。

より豊かな社会の実現のため、極めて重要な事柄であると思っています。

こうした大切なメッセージを、具体的な教育の実践という形で発信しつづけることで、私はダウン症児の無限の可能性を世に問いたい。

それが私に期待を寄せてくださるご家族への恩返しだと考えているのです。


※ この実践記録は、適切な教育によるダウン症児の成長の可能性を、より多くの方に理解していただきたいというご家族の願いと要請を受け、かれんちゃんの表情なども含め、リアルな指導の様子を公開させていただいております。また、平成21年度、福武教育文化振興財団による研究助成をいただいています。


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