育ての主体者としての家族の役割

 2009-11-16
子どもと心が通い合う瞬間というものがあります。

それは、表出言語とはまったく関係のないものです。

むしろ言語表出のたどたどしい子ほど、なぜがそのことが印象的に私の心に響きます。


この4月から私の教室に通ってきてくれるようになった男の子がいます。

いつか紹介したと思いますが、粘土の造形で比類なく才能を秘めている、2年生の男の子です。


うちの教室の入り口には、子どもの手の届かない位置に内鍵があります。

ホームセンターで買ってきて、私が自分で取り付けたものです。アルミ製の扉に付けるのですから結構手間がかかりました。

実はこれ、彼の脱走防止用に取り付けた物なのです。


彼は、当初かなりの抵抗感を私に示していました。

着席どころか、教室を何度も飛び出して、「もう帰る」「もう帰る」の連続でした。

教室外で手を握り、連れ戻すのがやっとの時もありました。

指導時間が終わって、ご家族に様子をお伝えするとき

「すみません。まだ鉛筆を持たすことさえできていません。 ここへ連れてきてくださる限り、私は決してあきらめませんが、いついつから学習ができるようになると、確約することは出来ません。往復1時間以上の時間と安くない費用のご負担をいただいている事は十分認識しています。 あとは、こんな状態でも、私を信じて連れてきてくださるかどうか、その一点にかかっていると思います。」

何としても、という覚悟はありましたが、明確な見通しがあったわけではありません。その時の私は、そう伝えるのがやっとでした。


昨日の指導では、その彼が、かなり私の指導のベースにのってくるようになりました。

鉛筆もしっかりもってます。(笑)

ひらがなもちゃんと読め、言葉カードを次々にクリアしていきます。

書字はこれからですが、短い文章も読め、数の量的認知も結構イケているのにも、驚きました。

それより何より素直です。 脱走はおろか、離籍も一度もありません。 ぐずぐず言うこともありません。

「○○ください」「ありがとう」 という、応答的なやりとりも可能で、表情もやわらかく、スキンシップを求めてきたり、にっこりと笑ったりして、とても楽しい時間です。

以前、教室でつばを吐いた時のような、ギスギス感は、もうどこにもありません。

その表情や、しぐさから、何とも言えないあたかいものが流れ込んでくるのを、しっかりと感じ取ることができるのです。


今、私はこの子が大好きです。

苦労の度合いが強かった分、その思いは一層深い物になっています。

そして、やっと見え始めた行く先に、わずかですが光の道筋がはっきりと見えるような気がします。 希望というのは、こういうことなんだなって感じ始めています。


昨日、お月謝をいただきました。月謝袋には、4月から8回分、私の印鑑がついてありました。

隔週の指導ですが、そのうち何回、鉛筆さえ持てない時間があったことでしょう?

でも、その時間があればこそ、今があることは明確です。


「ここまで来ると、欲が出てしまいます」

お母さんは、いつか私にそうおっしゃいました。 それはそうです。当たり前です。 以前は、ちゃんと席についてくれればいいと思っていても、それが出来たら、字が書けるように、計算ができるように・・

汲めどもつきぬ願いが生まれてくるのです。

だって、可愛い我が子ですから。


目に見えた結果が出ない時に、ずっと信じて連れてきてくださったことを、本当に感謝しています。

子どもというのは、多くの人のかかわりの中で育っていくものです。

学校の先生のまいた種に、私が花を咲かせることもあれば、その逆もあります。

育ちを誰か一人の功績として、特定するのは、あまり意味の無いことかも知れません。


ただ一つ言えることがあります。

それは、子育ての主体者は、その責任を背負うのは、最終的にはご家族であるということです。

そういう意味で、この子を育てたのは、まちがいなくご家族の力です。

私の指導が、いつもこうしたご家族の力に支えられていることを、改めて感じることができます。


扉にとりつけた内鍵に目をやる度に、何とも言えない深い思いが、私の胸にはこみ上げてくるのです。

ご家族への感謝の気持ちが、何度も何度もこみ上げてくるのです。

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