先生と手を取り合うこと
2009-11-02
学校・園というのは、子どもにとっては最も大切で、特別な場所の一つです。もちろんそれは、ナチュラルであたたかい家庭の愛情や育てが根底にあっての話です。
教育的な営みも家庭的な営みも、どちらも子どもにとって不可欠なものであり、双方は同じ事をするのではなく、違うことをする方が私は良いと思っています。
双方が軸足をしっかり据えての連携は大歓迎ですが、それぞれはそれぞれでしかできない大切な役割があることを、もう一度しっかり見つめてむることも大切ではないかと、私は考えているのです。
小さなエピソードを紹介します。
1ヶ月前にある女の子と30Pのパズルをしました。
その子にとって初めてするパズルだったので、私はその子の認知特性に合わせて支援を行いながら、そのパズルを完成させました。とりあえず完成すれば、その日はそれでよいと思っていました。いわゆるイントロの、予告刺激と考えていたのです。
それから一ヶ月たち、その子と再会する日がやって来ました。
前日、お母さんと打ち合わせをしていると、どうやらそのお子さん、30Pのパズルが自分でできるようになったということです。私に見てもらいたくて、家庭で、楽しみながら自分でそのパズルに取り組んだようです。
月に一同の指導でも、使いようによっては、こんな効果もあるわけです。
私という存在を、お子さんのために上手に家庭で活用いただいた、一つのモデルケースと言えます。
子どもを育てるのは、家庭の役割です。
学校・園はその一部を委託する所であり、育ちそのものを請け負う所ではありません。
ならば学校・園には、その専門性として何を委託すれば良いのでしょう?
それは、深い教育的愛情と、オフィシャルな教育機関としてのカリスマ性だと私は思います。
先日、ある1年生の女の子が、通常学級の先生の前では別人のように、かわいい良い子になってがんばっている姿を見ました。別室では、さんざん先生を困らせていた子どもです。きっと、この1年生の先生が大好きだったのでしょう。
ここへ行けば、あの先生と勉強すれば、きっと私は楽しく勉強できる、かしこくなれる、立派になれる、そんな気持ちを育てることも、ご家族の大切な役割です。
時には、親として学校・園に強い気持ちをもって向き合わなければならないことがあります。どうしても引き下がってはいけない時もあります。
しかし、子どもに担任の先生を尊敬する気持ちがなければ、きっとあのパズルのようなことは起こらないし、あの1年生の先生に見せた笑顔もないわけです。
「さあ、これからSHINOBU先生と一緒の勉強が始まるね。ずっと待っていたのだよね。楽しみだね、がんばっておいで〜」
私が子どもにとって特別な存在でいられるのは、こうしたご家族のご協力のおかげです。
私は、そうしたご家族の気持ちをありがたく思えばこそ、教材開発や指導の工夫に、ここ一番の踏ん張りが効くのです。もしも、これがなかったら、今の私はあり得なかったと思います。
先生と言えども、人間的には決してパーフェクトな存在ではありません。ですが、子どもにとって尊敬される存在であり続けたいと願っていますし、そのための努力は惜しみません。そうでなければ、決して大きな教育的な効果や奇跡は起こりえないことを知っているからです。
ぴかぴかのランドセルに込められた、大きなあこがれや希望。
そのエネルギーを大切に育んでいくことは、ご家庭の大切な役割です。
みんな自分のクラスや先生に誇りをもっているのです。
学校・園の先生には、指導者としての深い愛情と、強いリーダーシップでカリスマ性を発揮していただきたいと思います。
先生のやる気を育てなければ、子どもに決定的な不利益につながります。
子どもを真ん中に置いて、手を取り合う工夫がここに必要となってくるのです。
指導力や権威を失った学校、子育て機能をどこかに丸投げしている家庭では悲しすぎます。
本来の役割が機能してこそ、初めて連携は可能になるのです。
お子さん一人一人で状況は違いますから、決して一般論では語りきれません。
学校・園は、集団で育てるというその専門性と、その本来の機能をしっかり見直していただきたい。
家庭はその機能を上手に利用しながら、一方で、お子さんの特性に応じた専門的な指導を委託する環境を選択・構成していくべきだと考えます。
委託と丸投げは違います。
主体者としてのご家族がいてこそ、連携が可能であることを、私はパズルの小さなエピソードからしっかりと感じることができたのです。
私は、私の役割をしっかりと果たしたい。
得意げにパズルをする女の子の横顔を見ながら、私のやる気モードは、ますますヒートアップしていくのでありました。
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