私たちの目指す小さなインクルージョン (運動会の熱いエピソードから)

 2009-10-27
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運動会・なわとび(1) 2009-10-24 [アフィリエイト]


先週の土曜日は、私たちの保育園の運動会でした。

年長組の担任は、私が小学校5・6年で担任だった教え子です。

昨夕、ある年長組の子どものおばあちゃんが、今回の運動会のことで大変感動され、わざわざ私の所へご挨拶にみえられました。

実は、この子のお母さんが突然のご病気で他界され、このおばあちゃんのもとで暮らすようになり、以前いた保育園から、私たちの保育園へ転園されてこられたのです。



私たちの保育園は、ある意味大変厳しい保育を行っています。

10月の末の運動会ですが、子どもはもちろん、職員一同全員、はだしです。

発達面に課題のある子どももいます。 十分な特性理解と教育的配慮に心がけていますが、決して甘やかしたり、特別扱いはしません。たとえうまくできなくても、遅れても、最後までやらせます。その懸命な姿を見て、クラスの子どもは、その子の命の大切さや人間の尊厳を感じるのです。歯をくしばってがんばる姿を見て、同じクラスの大切な一人として受け入れ、共にがんばろうという気持ちが生まれるのです。心の芯からメンバーとして受け入れる気持ち、これが私たちの考えているインクルージョンの一つの形です。

「障がいがあっても、一緒に入れてあげる」 というのは、そもそも最初から分けていますよね。そうではなく、まず同じ仲間という意識を育てることが 、最初に来るわけです。

映像を見ておわかりいただけると思いますが、3歳や4歳でも、ほとんどすべての子が大縄の中で短縄が回せます。年長なら、逆上がりや後方支持回転も、ほとんど全員ができます。一輪車や竹馬も楽々できます。


しかし、こんなことが最初からできるわけがありません。0歳・1歳の頃から縄を持ち、毎日毎日練習を積み重ねていくから、出来ることです。

もちろん能力差もあり、早い遅いもあります。でも、あきらめなければ、必ずいつかはできる、その子なりの形というものがあります。だから、遅れてでも最後までやらせます。うちの保育園出身の太郎君も、こうやって育ってきたのです。


年長組に途中入園してくるということは、子どもにとってかなりハードなことです。

基本、0歳の時から縄を握ってきた子と同じ活動をすることになるのですから。

でも、どの子も一度や二度は苦しい壁を乗り越えてきたわけです。

うまく行かないときの苦しさも苦労も、みんな味わってきたわけです。

懸命に歯をくいしばってがんばる友達には、当然やさしい気持ちと仲間意識が芽生えます。だからこそ、特別扱いをしたり、甘やかしてはいけないのです。甘やかせてしまうとと、集団から疎外されやすくなり、結果としてその子を痛める結果となってしまいます。

豊かな愛情と、適切な手だてをもって厳しく育てると 、周りの子が自然、その子を応援するようになってきます。このクラスのみんなのあたたかいまなざしが、その子が壁を打ちぬく大きなエネルギーになっていくわけです。指導者の大きな仕事は、クラスにこのあたたかいまなざしを根付かせることであり、集団で育てる教育の限りない可能性がここにあるのです。

こういうことは、個別指導では育てにくい内容です。


保育園には、私の所に個別指導を受けにきている子もいます。

そのご家族の皆さんも、「あんなにできるようになっているとは思わなかった」 と、目頭を熱くされていました。

私、この子の個別指導は、あえて日曜日の夕方にさせていただいています。 それは、普段の保育との線引きをきちんとしておくことが大切だと考えているからです。運動会では私は副園長先生であって、SHINOBU先生ではないのです。集団の中で、生き生きと成長できる子を育てるためのサポートですから、軸足をきっちり通常の保育の中に置いておくことが大切です。それがあってこそ、個別指導の役割が明確になるのです。


運動会の反省会の時、年長組の保育士は、感激して大粒の涙をこぼしていました。

「プロなんだから、その専門性として行事の完成度は当然問われてくる。しかし、行事としてうまく行けばそれで終わりという事ではない。一人一人の子どもの成長やご家族の幸せにとって、今日の運動会がどんな意味をもっていたか? 明日からはその事を、一人一人の子どもやご家族と一緒に見つめなさい」

私は、職員にそのようなことを伝えました。


年長組でのいきなりの運動会、たとえ技能は少しくらい未熟でも、りっぱにやり遂げたその子の命は、みんなと共に美しく輝いていました。

そして、そのことを誰よりも深く理解しているのは、担任の先生と、クラスのみんなであったに違いありません。

そのおばあちゃんから、真心のこもったお気束使いをいただきました。

私たち職員の心に、また一つ、大きな自信と命を吹き込んでいただきました。


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