まず全体からとらえさせる方法 (同時処理タイプの子の読解指導)

 2009-10-22
細かい部分は精緻にとらえられるけど、全体を俯瞰したり、文脈を理解したりすることが苦手な子どもがいます。

いわゆる1点集中タイプです。


こういう子は、情報の密度が濃いため、あれもこれもと次々に提示すると、あっぷあっぷしてしまいます。

太郎君が1年生の時、担任の先生が、「太郎君は本やノートより、黒板に書いた文字が上手に書ける」 と、教えてくれました。

次から次へとページがめくられるような提示の仕方ではなく、黒板という全体の枠組みで整理した提示法が、彼には有効だったのです。

基本、彼の場合、長い文章を書くのは苦手であっても、硬筆のように1文字をきれいに書くのは上手です。

私は、一文字あたりの入力情報が多い子ほど、文章になると情報量が膨大になり、逐次読みになってしまうのではないかととらえています。

太郎君は視覚優位ですが、それが優位すぎるがために、逆に本読み場面では、聴覚性の支援をして「おじいさんは」 をひとつの単語としてとらえさせる読み支援をしています。

ほっておくと、一文字一文字への対応が中心となり、全体がみえにくくなるからです。


読解問題でも、いわゆる同時処理タイプのお子さんの指導では、なるべく内容を細切れに分解しないように提示します。

挿絵などを使ってまず全体のアウトラインをとらえさせ、その枠からはみでないよう、その子の思考のメモリーがいっぱいになるまで、内容に厚みをもたせていきます。

内容をあっちこっちに分散させて、混乱させないよう、関連性を重視した支援を行うのです。

例えがよいかどうかわかりませんが、紙芝居のようにばらばらにしてどれがどれだか分からないようにするのではなく、蒔絵のように一枚の絵にまとめていくようなイメージです。


子どもにとって、就学前の言語環境の多くは聴覚性によるものです。

そうの絵を見て、「これがぞうさんよ」 と、教えられて学んでいくのです。

言語習得の基本は、聞く → 話す → 読む → 書く となりますから、ある意味当然のことです。

「ぞう」 という音声を認識し、そこに 「ぞう」 という文字がくっついていくわけです。


DSC05579_convert_20091022122339.jpg

私は、言葉の指導の際に、上のような手作りカードをよく使います。

先日、ある男の子に 右の小さい 「ごはん」 という文字カードを手渡して、それにあう絵を探させる学習をしましたが、正答率は70%くらいに向上しており、それをご覧になったお母さんが驚かれていました。

こういう場面で、それぞれのお子さんの認知特性に応じて、それは 「ごはん」 のカードよ、と聴覚性の支援を与えたり、ひっこめたりするのですが、この味付けをだんだん薄くして、仕舞いには0にして、すべて子どもの力でさせることを目指すのが、私流のやりかたです。

「一文字一文字のひらがなは読めるけど、単語ととして使えない」 ということを、ずっと課題としてお聞きしていましたから、何とか一つの成果を示すことができました。

ここまで来るのに、一年近く悪戦苦闘しましたし、今でも毎回悪戦苦闘しています。


太郎君の黒板のエピソードと同じように、かれんちゃんには、「ショッピングセンターで、お母さんもわからなかった普段着の保育園先生を見分けた」 というエピソードがあります。

就学前のお子さんにも、きっとその子の特性に応じた言語指導のポイントというものがあるはず。

かれんちゃんの場合、今、理解言語・表出言語共に獲得数が増えている大切な時期。

未分化な幼児期の子どもだからこそ、その子の特性理解と指導の工夫は大切になってくるはず。


私の役割をしっかり見つめて取り組んでいきたいと考えています。


P.S.

この記事を書いた後、太郎君のお母さんからメールをいただきました。

昨夜、太郎君が突然 「自主勉しなきゃ」 と言って、漢字練習を始め、ご家族を驚かせたようです。

こういうことがありますからね〜 子どもの可能性は無限です。 あきらめなければ夢は叶います。



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