特性を生かして 語いを育む
2009-10-15

うちの教室に来てくれている子どもの中には、立体系のパズルがとても得意な子がいます。
一般的なパズルはそうでもありませんが、上の画像のような立体系のものがとても得意です。
特に、バナナやリンゴは難関なのですが、これもあっさりと片づけてしまします。
逆に一般的な紙のパズルで30Pのものが出来る子でも、このりんごの切片がなかなかはまらない子が多くいます。
それだけ、子どもの認知の入りには、特性があるということです。
大学院にいたとき、ドクターと一緒にマレーシアに行きました。
ドクターは英字新聞を買って楽しそうに見ていますが、私は英字を見ても、辞書を片手にものすごい時間がかかってしまいます。
でも、レストランに行った時、私はウエイトレスさんの、NO SMOKING? という質問がはっきりと聞き取れました。
ちょうど毎日英会話のテープを聴いていた時期なので、聴覚情報の入力はドクターに負けてなかったわけです。
言語コミュニケーションは、私たちにとって最も大切なテーマの一つです。
私は元々小学校教師でしたから、小学校の教材レベルなら、その子の認知特性に応じた教材を用意する引き出しがかなり増えてきました。 自分と違う認知特性の子のメカニズムもかなり理解できるようになってきました。
私は、英語はリスニング優位ですが、日本語はリーディング優位です。
ほとんどの場合、文字情報を第一チャンネルにして情報を収集しています。
かれんちゃんは、今日紹介した子のように、立体や実物の認知が優れています。
お母さんの教えてくださったエピソードによると、場所や顔の認知が優れているようです。
絵本や絵カードなどは好きですが、パズルなどで絵を分解したりするものはあまり好みません。
私は、何とか早く文字との接点を見つけたいと、少し焦りすぎていたように思います。
それよりもまず、理解できる言葉と表出できる言葉を増やし、コミュニケートできる楽しさとよさをたっぷり味わうようにすべきだったと反省しました。
ならばオーソドックスに、しっかりとその芯を作って、理解言語・表出言語を一つずつ増やしていこうと考えました。
そう思うと、少し心の中のもやが晴れていくように感じました。
かれんちゃんの話せる言葉、知っている言葉は次第に増えてきています。
時に、動物の名前と体の名前はしっかりと言えるようになってきました。
手遊びの 「あたま・かた・ひざ・ぽん」 では、目・耳・鼻・口と、とっても楽しそうに動作化できます。
私の絵カードには、これまで 「め」 も 「くち」 も 「はな」 もありませんでしたから、早速この日絵カードを作成してかれんちゃんを待ちました。

やはり初めて見た絵カードが、「め」 を示したものであるかどうかをはっきり認知できるまでは、時間がかかりました。
そりゃそうです、文字情報と矢印があるので、それが目と特定できるのであって、いきなりそれがかれんちゃんの目のまったく同じように映っているわけはないのですから。
でも、すでに認知出来ている事柄ですから、それほど大きな困難を伴うというほどではありません。
しだいにはっきりと反応できてきたので、私は思いきって 「すご〜い」 と大げさにほめてやりました。
すると、それまでの雰囲気ががらっと変わり、かれんちゃんの表情が満面の笑みに変わりました。
最後には、かれんちゃんの好きな 「高い高い〜」をして、何度も何度もほめてやりました。
実物・絵カード・音声言語・文字・・
同じ 「バナナ」 でも 「耳」 でも、それぞれ属性が違うわけです。
まずは、そういうことの芯をしっかりと作って、表現したり確かめたりする場をきちんと構成して、その雪だるまの芯をぐるぐるぐるぐる転がしていきたい、私はそう考えるようになりました。
学習に方向感が生まれると、子どもの表情は変わります。
認知特性に添った長所活用型指導の就学前バージョンの作成に、ちょっとだけど光が差し込んだように思いました。
[高画質で再生]
かれんちゃんの表出言語 2009-10-13 [WIKI]
※ この実践記録は、適切な教育によるダウン症児の成長の可能性を、より多くの方に理解していただきたいというご家族の願いと要請を受け、かれんちゃんの表情なども含め、リアルな指導の様子を公開させていただいております。また、平成21年度、福武教育文化振興財団による研究助成をいただいています。
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