楽しい学習に向けての 特性理解と長所活用型指導
2009-10-06
大人はご飯を食べながら、テレビを平気で見ることができます。長年の体験の積み重ねから、ご飯を食べる行為と、テレビを見る行為を、同時進行でライブに行うことが出来るようになっているのです。
しかし、子どもはテレビに夢中になると、口と手が止まってしまうのは、日常ありがちな光景です。
私たちも、子どもの時から同時に二つのことができたわけではありません。
子どもは発達の過程でそれを今まさに培っている途中なのですから、完成された私たちとは、認知の仕方が異なるのは当然です。
ここで世代間のギャップが生じ、「何でわからなのかがわからない」 現象が起こるのです。
私は小さい子の個別指導を行っているときに、「あ、この子は先週、色優位の認知だったのに、今週は形優位の認知に変わった」 と、気がつくことがしばしばあります。
2ピースパズルなどをしていると、2つのピースを選ぶ基準が、色であったり、形であったり、図柄であったり、文字であったりするので、子どもの様子を観察しているとすぐわかります。
大人の場合、継次処理タイプの私なら、まず文字に目が行き、図柄でそれをバナナと確かめ、自信をもって形を合わせるみたいなことを、自然に総合的にこなしていきます。
でも、文字より図柄の方が優位な大人の方もいます。 言語よりも、映像が浮かぶ方も多いのです。
大人になっていくにつれて、使える武器はだんだんと増えていきます。
いくら言語優位の私であっても、物事によっては、映像を頼りにした方が楽な場合も多いです。
そういう使い分けができるようになってくるから、子どもの時のような困り感は、次第に軽減されていくわけです。
私は、幼稚園の頃から、世界文学全集を読んでいる子でした。
時にギリシャ神話が大好きで、何百ページもある本を、おそらく数百回以上読み返したのではないかと思います。
学生の時も、本棚があふれかえるくらい小説をよみあさったものです。
現代国語や論文を書くのには、ほとんど抵抗感はありませんでしたが、数学や科学は、自慢じゃありませんが、さっぱりわかりませんでした。
短い時間にざーっと文章を読んで、その要旨をとらえるのは得意ですが、細かい1個1個の内容を順序立てて整理するのは、今でも苦手です。
量的研究法で、統計的データから信頼度を計算するなんて、聞いただけで今にもじんましんが出そうになります。
皆さんご存知のことだと思いますが、同音異義語というのがありますね。
一休さんのとんちで出てくる 「はし(橋) と はし(端)」 というやつです。
このどちらを選ぶかは、いわゆる文脈の中から類推をしていくわけです。
同時処理タイプのお子さんは、いわゆる1点集中タイプの方が多いですから、こうした大きな枠から類推するのが苦手なタイプも多いようです。
細かい部分をシャープにとらえることの出来る子ほど、全体を俯瞰することが苦手なことは多いようです。
切れ味は鋭いけど、場の空気が読めないタイプの子は、このパターンに当てはまる場合も多いのではないかと思います。
では、どうすればよいか?
方法は二つ
一つは、苦手なことに立ち向かうための、小さなステップでのプロクラムを積み重ねていくこと。
もう一つは、得意な部分を中心に多面的な力を培って、苦手な部分を補っていくやり方です。
もちろん双方の軸が大切なのですが、どちらかというと私は、後者の方が、有効ではないかと思っています。
私が苦手な量的・実証的研究法に取り組んでも、成果が上がるのはきっとわずか・・
ならば言語を媒介とした質的研究法を土台にして、可能な限り量的・実証的数値を取り入れる・・
こんな姿勢でよいのではないかと思います。
長所活用型指導というのは、こうしたアプローチでもあるのです。
私、市販の問題を利用したときに、この問題を作った作者がどういう認知特性をしているのかが、分かる気になっています。
合っているかどうかは分かりませんが、同じような題材でも、やたら選択問題が多い場合と、やたら穴埋め問題が多い場合があります。
継次処理の子は選択問題が得意で、同時処理の子はそれが苦手です。 穴埋め問題は、その逆です。
私が今行っている読解指導では、その子の認知特性似合わせて、苦手な問題は、小さなステップを刻みながら、最初は支援を厚くし、それを徐々にフェードアウトしていき、やがてはそれが一人で出来るように指導していきます。
逆に得意な問題は、初めからその子一人でやらせて、それがどれだけすごいことかを伝え、たっぷりそのことをほめます。
こうしてSHINOBU流の楽しい学習を構成していくのです。
なかなか思うように行かないことも多いですが、私がプロとして磨き上げていきたい力は、こういうものです。
この子は、全体を俯瞰することが苦手なんだ・・
具体的な場面の中で、心の底から、そう理解できるまでにも、相当時間がかかります。
子ども理解のための軸は、決して1本ではなく、認知特性も2つだけではありませんから、その1本1本を、ご家族の方のエピソードと照らし合わせて、ていねいにひもといていくのです。
そこが整理されれば、同時に方策も生まれてきます。
ですから、ご家族との連携は、とても大切なことだと思っています。
私、毎回、こんな姿勢で子どもと向き合っているのです。
それは今の私だからこそ必要なことであり、通常学級の担任の時は、こんなこと考えもしませんでした。
つまり、それぞれのプロには、それぞれの武器があるのです。
ご家族の皆さんには、それを理解し、上手に構成されることも大切なのではないかと思います。
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