持続こそが、母の思いの深さを語る

 2009-10-05
この週末、何人かのお母さんの、真摯な取り組みに心を打たれる出来事がありました。


まずは、一通の何気ないメールから・・

「昨日、2年生のみんなと、生活科の校外学習に無事に行ってきました。マナーもちゃんと守れたようで、担任の先生から、ほかの子よりもいい子だったと、しっかりほめられました。」

この子、以前、ドクターから 「通常学級は無理」 といわれた子です。

1年生の夏休み前には、衝動性の問題で、担任の先生も、ご家族も、そして私も何度も胸を痛めた時期がありました。

恥ずかしながら、1度だけ、この私も弱音を吐いた時期がありました。

その時、このお母さんは、「先生、弱音を吐かないでください、この子がどれほど先生の事が好きか、知っていますか」 と、私を励ましてくれました。

そのことが、どれだけ私の背中を力強く押してくれたことでしょう。


行動改善のための、論文・書物・実践事例、山ほど読みました。

小学校にいた頃から、こうしたケースには、直接の担当として何十件とかかわってきました。

自分なりに整理した仮説も持ちあわせています。


1ヶ月や2ヶ月、集中的にかかわることは、難しいようで案外誰でも出来ます。

しかし、1年、2年とそのスタンスを崩さず、ずっと寄り添うことは、現実には容易なことではありません。


私は、保育園のころから、2年生の今日まで、ずっとこの子のキーパーソンの一人として寄り添うことができた、ラッキーな存在です。

ここに、ご家族の強い気持ちと、熱い願いが不可欠であったのは言うまでもないことです。

もちろん教育的な存在として、この子にとっては先生という立場で、接しているわけです。


何も飾らず、ありのままの思いを、相互に通い合わせる事が出来ます。

絶大な信頼感があります。

この頃の彼の表情は、以前のそれとは明らかに変わってきました。


行動改善のためには、様々な方向からのアプローチが有効です。

そのポイントの一つとして、どんなときも涼しい瞳とあたたかい心で寄り添う、いわゆるカリスマ性のある魅力ある支援者の存在があげられますが、なかなかその効果を実証することはむずかしいものです。

しかし、私自身は、何気ないこの一通のメールから、彼の落ち着いいてきたそのまなざしから、日々のこうした大切なことをしっかりと確かめることができるのです。

こうした経験こそが、真っ暗闇で何も見えないときも、きっと遠くに明かりは見えると、誰かに伝えることのできる大切な源になっていくのです。


今日、この子の通う小学校に行き、教室を訪ねてみると、図工の時間にかいた彼の作品が廊下に掲示されていました。

それが下の画像の作品です。 思わず携帯で写真を撮ってしまいました。

作品に添えられた文字も、しっかりとして美しい字です。

当初は、一文字ひらがなを書くのにも、苦労していたのに、すばらしい成長です。

また、胸を熱くなってきました。

先生も、粋なはからいです。

私がいつも彼を待つその場所に、この作品を掲示してくださったのでしょう。

お母さんが、絶大な信頼をこの担任の先生に寄せられるのも、当然のことです。


sakuhin.jpg
(↑ 学校の廊下に掲示されていた作品 )





土曜日の朝の指導のあとには、4年生の男の子のお母さんが、山の学校でのお子さんの様子を教えてくれました。

印象に残ったのは、「ここまで来るのに、2〜3年は準備をした」 という言葉です。

今回の山の学習のかげに、これだけの母の努力が息づいていたわけです。


人間ですから、すべてのことをパーフェクトに行うことはむずかしいと思います。

ある部分だけを取り出されて、プロから批判をされたたら、ひとたまりもないことだってあります。

しかし、母の思いは本物ですから、枝葉はともかく、その軸は決してぶれることがないわけです。

月日が経てば、本物は必ず残ります。

そして、その結果は、必ず子どもの育ちにつながっていくのです。


初めてご相談に来られた時と比べて、子どもの表情も、お母さんの表情も明らかに変わってきました。


「今は、向かう先に光が見えます。だからいくらでもがんばることができます。真っ暗闇の中で、どこへ進んでいるかわからない時期がありましたから・・」


ここまで来たら、欲が出ます、過度な期待をしすぎてはいけないとわかっているのですが・・、そうおっしゃるお母さん。

当たり前です、親子なのですから。

その強い思いと深い絆が親子の証です、ナチュラルな思いを大切にして、これからもしっかり前を向いて進んでください。そして、時々ちょっとだけ振り返ってみてください、私はいつもここにいますから・・


そこには、1年前とは見違えるようにたくましくなった彼の姿があります。

しかし、当然ですがまた新しい願いも、課題も生まれてくるのです。


状況により、展開により、変えて行かなくてはならないこと、工夫していかなくてはならないことが確かにあります。

と同時に、どんなことがあっても、どんな批判を浴びても、変えてはいけないこともあります。


苦しい展開、よく打破されましたね、さすがです。

でも、今では学校の先生の見方も理解も、ずいぶん深まったじゃないですか?

それは、一にも二にも、お母さんの深い愛情がなしえたことです。

一時はきっと、担当の先生方から、ひどい親だと思われた事だってあったのでしょうけど、今では完全にお母さんの勝利です。


ご自身で気がつかれているかどうかわかりませんが、子どもの表情と同じくらい、お母さんの表情も変わってきました。

1年前より、何だかうんと若々しくなってきました。


このお母さん、もう次に向かっての歩みを始めているようです。

本物は強いな、苦しんだ分だけ、力強い。

正直な、私の印象です。


子どもの育ちは、うまく行っているときだけでなく、課題と向き合っている時こそが大切なわけです。

そこでの一瞬一瞬が、道を開きます。

半年・1年・2年と片時も忘れることなく、ていねいに前へ前へと進む営み。

それは、深い深い家族の愛情なくしては決してできないこと、

今更ながらに、そう思わずにはいられないのです。





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