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通じ合う心 心の中に ともるあかり 

 2009-09-29
昨日は、大輔君 (養護学校高等部3年) の指導の日でした。

大輔君との主なコミュニケートの方法は、指先でのポインティングです。

ところが、この頃はその指先に力が入りにくくなってしまい、ポインティングにも相当な負担がかかるようになってきている、とお母さんは伝えてくださいました。

では、どうやって心をつないでいけばよいのだろう・・

頭の中に、いくつかの迷いや不安が横切りました。


私がこの教室での活動を始めてから、たくさんの子どもたちに出会ってきました。

最初の日から、心がぴったりと通じ合って、ずっとそんなステキな関係が続いている子もいれば、最初は全く相手にされず、教室の中でもがき苦しんだ子も何人もいます。

アンパンマンのおもちゃとか、子どもはほんの小さなきっかけから心を開いていくのですが、その心をつなげる作業には、決して方程式はなく、結局は心と心、人と人とのガチンコ勝負となります。

私の真剣度と真心が、子どもに届くかどうか、それを子どもの心に響かせることができるかどうか、その1点に尽きるのではないかと感じています。


実は私、大輔君に向き合うときに、少し構えすぎていたのではないかと反省をしています。

言語コミュニケートができない子と通じ合う事に対して、今一歩自信がもてない、不安な気持ちが強すぎたのではないかと思っています。

言語は単なる手段、通じ合うのは心であるはずなのに、その心に迷いがあるから、今一歩大輔君の心を響かすことはできないのではないか?

ならば、これまで多くの子どもと通じ合ってきたように、ありのままの自分でこの子にもう一度向き合ってみよう・・

私は、次第にそんなふうに考えるようになってきました。



「あきらめずに取り組めば、奇跡は必ず起きる」

空港に行く車の中で、いつかお母さんは私にそう教えてくれました。

私を信じて、毎回欠かさず送迎をしてくださるお母さんの気持ちに応えること・・

決して逃げちゃだめだと、私は心の中で何度も言い聞かせました。


昨日の指導で、私は指先によるポインティング減らし、視線や表情からその意志を確かめる方法に切り替えてみました。

終盤の算数(数学)の指導の時です。

足し算のポインティングが可能だとすれば、この子の認知処理様式は、同時処理なのだろうか、継次処理なのだろうか?十進位取り記数法の概念は、どこまで入っているのだろうか・・  そんな疑問が私の心の中でパチンとはじけました。

よし、なら試してみようと、他の子の指導の時と同じように数字と半具体物をボードに書いて、さあどっちが正しいかと、大輔君に提示してみました。


大輔君、つまらないときは目を閉じてしまいます。

指導者にすれば、正直、これはこたえます。

何よりのプレッシャーになります。


ところがこの時、大輔君の目は大きく見開き、満面の笑顔を私にふりそそいでくれました。

「あのね、大きな数を数えるときはね、1・2・3・4・・・・と30まで数えるよりも、10・20・30とかたまりで数えると便利なんだよ、知ってた?」

大輔君は、本当にうれしそうな表情でした。

「そうか、大輔君は算数が好きなんだな。じゃあ、これから算数のおもしろさを先生と一緒に勉強していこうね」

そう伝えて、この日の指導は終わりました。


やっと、やっと、スタート地点に立てた・・

そんな気持ちです。

こんなに時間がかかってご家族に申し訳ない、という気持ちが半分あります。

と同時に、今まで心の中で割り切れなかった気持ちが、心の中でうそのように晴れていくのを感じていました。

やっぱりありのままで向き合わなければ、何も通じないのです。


通じ合うのに時間がかかった分だけ、その後のつながりが深くなるのは、これまで出会った多くの子どもに共通する事柄です。

間口の狭い子ほど、奥が深いような気がします。


ここから一本調子に登っていくなんて、夢にも思っていません。

しかし、どんな困難があろうとも、心がつながっていれば大丈夫だと、私は思っています。


まず伝える内容そのものがあって、その方法がいろいろと生まれてくる。

決してコミュニケートの方法だけに焦点を当ててはいけない。

通い合う心があって、はじめてそのスキルも向上していくのです。

それは、これまでの実践と何も違ってはいないのです。


「あきらめちゃいけない、奇跡は起こる」

改めて、お母さんの大切な言葉を噛みしめています。


秋の夕暮れ、あたりはすっかり暗くなっていました。

大輔君の帰る車を見送りながら、私は心に一つのあかりがぽっかりと点灯したように、とてもあたたかく感じているのでありました。


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