文字がすらすら読めるという不思議

 2009-09-17
「書くのは苦手なのに、読むのは得意」 という子がいます。

特に、「弓」 とか、「大」 とか、曲がった文字を書くのは大嫌い。でも、物語の会話文などは、心を込めて上手に読めます。 多少あてずっぽにアレンジして読むこともありますが、それもアドリブが効いているように感じ、聞いていて心地よい感じがします。 読解問題では、選択問題が得意です。

逆に、「書くのは得意だけど、読むのは苦手だ」 という子もいます。

わ・た・し・は・・・ と逐次読みになりがちで、文節をまとまりとしてとらえにくく、流暢に文を読むことが苦手です。 読解問題では、穴埋め問題が得意で、選択問題が苦手なタイプです。


初めの頃、私は「弓」 と書けない子が、どうじてあんなに上手に本が読めるのか、不思議で不思議でたまりませんでした。

でも、今は自分なりにそのことが理解できるようになってきました。


どうしてこういうことが起こるか?

読むのが得意なタイプの子は、全体やまとまりをとらえることが得意だけれど、一文字一文字の細かい部分をとらえることが苦手なのです。

書くのが得意なタイプの子は、一文字一文字の細かい部分をとらえるのは得意だけれども、情報が多すぎる (長文など) では、対応できにくくなるのです。

細かい部分にとらわれないから、全体をすーっと読むことができるのです。

このことからも、長所と短所は表裏一体であることがわかります。

苦手の裏の長所、それを生かすという発想も、時には有効です。


また、自閉症のお子さんには、「読むのが苦手・書くのが得意」 のタイプが多いように思いますが、すべての子がそうだとは限りません。

言語活動は、かなり複雑なルートで構成されていますし、認知(入力) → 頭の中の処理(メモリー) → 表現(統合化)  のそれぞれに特性がありますから、「何々症だからこうすればいい」 ということには、なりにくいと思います。

また集中力の特性や、視線・視点移動、文字の大きさといった面の課題が大きい子の場合もあるようです。

私の仕事は、具体的な学習レベルで、その子の特性を理解し、オーダーメイドでその子にあった学習指導を構成していくことです。


例えば、下記のような絵カードは、「ばなな」 という文字に、等価な映像の情報がつけられています。

DSC05151_convert_20090911114127.jpg



書くのが得意な子であれば、きっと映像系の刺激は得意であるはずです。

そこに、「ば」 「な」 「な」 ではなくて、「ばなな」 と、三つの文字を組み合わせた情報を添えて提示します。

「Knife」  は、ローマ字読みでは、「くにへー?」 かも知れませんが、単語の意味を知っていれば、「ナイフ」 と読むことができます。

「ばなな」 を固まりとして認知できれば、「ば・な・な」 ではなくて、「ばなな」 とかたまりでとらえることが出来ます。

その移行のための映像情報を、その子のレベルに合わせて、少しずつフェードアウトしていきます。

やがては、文字だけのカードで、あっさり 「ばなな」 と読めるはずです。


今はサービス版サイズのカードしか開発していませんが、ラミネーターとプリンターさえあれば、A4サイズの文章カードに、主語・述語をはめ込んでいくカードも自由自在に作ることが出来ます。 それに映像情報を添えることも、除くことも可能です。

就学前で、まだひらがなの書けないお子さんの指導には有効ではないかと考えています。

幼児教育の様々な教材が次々と開発され、きっとこの部分の研究はさらに進んで行くのではないかと思います。


よい教材があれば、大変ありがたいです。

その良さが瞬時に見抜けるには、かなりの実践が必要だと思います。

探している時間があれば、自分で作った方が簡単かも知れません。


今の私に、1週間自由な時間があったら、部屋にこもって教材の試作品を大量に作ってみたいです。

きっと山ほど失敗作が出来るでしょうが、きっと一個くらいはお気に入りの宝物ができるような気がしています。

それもこれも、すべては子どもが見えての話です。




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