個別指導をすれば 子どもは伸びるか?

 2009-09-03
「大集団では行き届いた教育ができませんので、個別指導のできる学級をお勧めします」

相談場面で、何度も聞いてきた言葉です。


では、個別化だけすれば、行き届いた教育ができるのか?

答えは 「NO」 です。


個別指導を週何十時間も行っている私だからこそ、はっきりと言える答えです。

個別化しただけで、充実した教育ができるのなら、こんなに楽な事はありません。

私が、日々どれだけ工夫をして、どれだけ悪戦苦闘しているか、その方に教えてあげたいくらいです。

集団のエネルギーがないマンツーマンの空間では、魅力のない教材、工夫のない指導はほとんど通用しない真剣勝負の世界です。

個別指導には、高度な専門性と力量が必要で、誰にでもできる仕事ではないと考えています。


私は、真剣勝負の45分に、何度も教室から脱走されたり、物を投げられたり、着席せずに教室を徘徊されたり、奇声ををあげられたりされてきました。

普通の覚悟なら、とっくに投げ出しています。

でも、もう私の後ろにはもう崖しかありませんから、ちょっとでも逃げる気持ちが生じたら、廃業する覚悟で毎回の指導に当たっています。

「絶対に逃げない」 は、ご家族の皆様にもお伝えしていますし、いやしくも発達支援を看板に掲げている以上、肝に据えておかなくてはならない大切な気持ちだと考えています。


うちの教室に来てくれる子どもたちは、感受性の強い子どもたちばかりです。

そうした真剣な向き合い方できない者に、通じ合う気持ちなどありえないと考えています。

半端な気持ちで、開く心などないと思っています。





昨日は、4月からうちの教室に通ってくれるようになった3年生の男の子の誕生日でした。

そのお母さんから、昨日こんなメールをいただきました。






SHINOBU先生

今日は、誕生日カードを頂きましてありがとうございました。

先生はお忙しいのに、お気遣い頂きまして本当に感激致しました。

本人はお誕生日=ケーキの思考が出来上がっているようで、今日は朝から 「ケーキ食べる〜」 とご機嫌でした。

学校や学校帰りのデイサービスでも 「お誕生日おめでとう」 と声をかけてもらったようですが、 「お家で誕生日する(=ケーキを食べる)」 と答えていたようです!(^^)!

前回教室に行かせてもらった時、少し早く着いたので 「もうちょっと車でまつよ」 と声をかけると、 「もうちょっと〜」 と機嫌よく時間がくるまで待てました。

元々待つのは苦手ですが、教室に通い始めた最初のころは、待つ時間には奇声をあげて怒っていましたが、回数を重ねるうちにこの辺り成長したなぁと感じました。

また、時間がくるまでの間の表情が、なんともいえませんでした。

本当に楽しみで仕方ないといった表情で、目がキラキラ・イキイキしていて、こんなにいい表情で何かを楽しみにできるなんて初めてでした。

帰りにまだ帰らないとダダをこねたのも、よほど教室が楽しいのだと思います。

今後とも、どうかよろしくお願いします。

改めまして、今日はありがとうございました。








個別指導、やっててよかったと思うのは、こういう時です。

最初の頃は、「もう帰る」 と言って、何教室を度も飛び出していました。


「申し訳ありません。今は、鉛筆をもたすことさえ出来ていません。  あとは、こういう状態でも、私を信じて続けて来ていただけるかどうか、ご家族の判断にかかっていると思います。」

最初のころ、何度かそんなやりとりをしたことを、はっきりと覚えています。


彼とは、ほんのささいな事から、心がつながっていきました。

ある日、バイキンマンのおもちゃを、彼のためにアマゾンで購入してやりました。

届いたパッケージを開けながら、彼は本当にうれしそうな表情を浮かべました。 その横顔を見ながら、まるでカチコチに固まった氷が、少しずつ溶けていくような、そんな気持ちを感じていました。


ご家族は、私を信じて毎回連れてきてくださいました。

そして、学校での様子、本人の好きなこと、興味のあること、得意なことなど、いろいろな情報を伝えてくださいました。


彼の粘土細工の才能は、半端ではありません。 (↓ 下の画像はその作品の一部です)



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私は、何が何でも、この子の才能に花を咲かせ、社会に役立つ子に育てるために、自分の役割を果たさなければないません。

そのためには、うちの教室の目標である 「肯定的な自己理解」 (=苦手なことを受け入れたうえで、自分のことが好きになる気持ち) を深めていくことが、近道であると信じています。


最近は、わずかの時間ですが、鉛筆をもって勉強をしてくれるようになりました。

私は、「バイキンマンが、心をつないでくれた」 と思っています。

そして、あんな状態でありながら、私を信じてお子さんを連れて来てくださったご家族の熱い気持ちが、山を動かしてきたのだと感じています。



苦労した子ほど、つながった気持ちが深くなっていくのは、真実です。

個別指導は大変な仕事です。

しかし、時として大きな感動を、私にプレゼントしてくれるのです。



私は、今の自分の仕事に大きな誇りと喜びを感じています。

そして、私を信じてお子さんを連れてきてくださるご家族の気持ちに少しでも応えたい、

それが私の最も大切な気持ちだと思っているのです。



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