見えにくいからこそ ていねいに繕う必要のある 子どもの大切な課題

 2009-06-16
子どもの育ちの課題はさまざまです。 何かの物さしをもってくれば、それを 「重度」 とか 「軽度」 とかに区別することはできますが、だからといって、その子の育ちにとっての課題の内容が変化するわけではありません。


人から見てわかりにくい課題というものがあります。 

人から見てかりにくいという程度なら、大したことはない、というのは大きな誤りです。

わかりにくい、というのは、周囲から理解されにくいということですから、実際の育ちの中では、とても深刻な課題に発展することになります。


これまでに、自分の発言の内容が、相手の感情にどのような影響を与えるのかを理解できにくい何人かの子ども出会ってきました。

みんな、いい子です。

でも、「そんな言い方は、ダメだよ」 と、思う場面が何度もありました。

悪気は全然ないのです。 他意がないものだから、何度も繰り返すわけです。

それで、住む世界がじわりじわりと窮屈になっていくのです。

目に見えない小さなほころびだからこそ、水がもれだしたら、どこをどうしたらよいかわかりにくいわけです。

ぽっかりと大きな穴があいていた方が、よほど手の打ちようが明確になるのです。


では、どうしたらよいか?

内容を整理した書物もたくさんありますが、言葉では理解できても、具体的場面での適応には苦労します。


私は、とにかく、こうした子どもたちの自己イメージを下げないためのかかわりを大切にしています。

使える言葉は豊富な子が多いのですが、言語は単なる手段なわけです。

私がいつも伝える内容は、「君のことを大切に思う先生がここにいるよ」 「どんなことがあっても先生は君の味方だ」 「君の良いところは、こんなところだ」 「一歩でも前に進むって、楽しいことだね」 「苦手なことも受け入れて、それでいて自分が好きになれることが大切なんだよ」 そんなメッセージです。

一つ一つの言葉から、態度から、眼差しから、行動から、私はそのことを子どもたちに伝え続けます。

流れていく時間の中で、動いていくその瞬間の中で、45分、あるいは90分、そのことを伝え続けるのは、結構骨の折れる作業です。

しかし、それが私にたくされたご家族の願いであると、私は自覚しているのです。


どんなに時が移っても、どんなに環境が変化しても、心の中で君にずっと寄り添っている存在であり続けたい。

限られた空間の中ではあるけれど、生涯、君を理解し、応援し続ける存在であり続けたい。


45分には45分の、90分には90分のドラマがあり、ストーリーがあるのです。

そのシーンの一コマ一コマで、これからも君といっしょに、大切でリアルな生活の物語をつくりあげて行きたいと思うのです。

大切な課題は、いつもお題目の中にはなくて、日常のささやかな場面でこそ向き合っていくものです。


真実に手をふれていないと、それは決してさばけない。

何をさしおいても、君を受け入れ、そして育てるという気持ち。

きっとそれは、君の心にしっかりと届いているのだと、私は信じたい。

君のまっすぐな心が、自然に多くの人に伝わって、君の持ち味がしっかりと生かされるような環境を、これからもご家族と一緒に工夫していきたいと思っています。


また今度、先生の所に元気に来てくれることを願っています。

先生は、いつまでもいつまでも、きっとここにいますから。


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