家庭・学校・専門機関との連携の中身

 2009-06-08
私は、小学校に勤務していたときに、生徒指導主事を何回か経験しました。

特別支援教育コーディネーターのない時代ですから、子どもの学びを支える「育て」の部分について、学校の窓口となって取り組んでいました。

当時の校長は、私の授業時数をわずか週数時間に設定して、「とにかく動け」と、私を自由に動かせてくれました。

それ以前に生徒指導主事をしていたときは、大規模校でありましたが、学級担任との兼任でしたので、週数時間の授業時数というのは、破格の待遇でした。 だって、みんな週20時間以上の授業をもつ中、私だけ日に1〜2時間しか授業がなくて、後は自由なのです・・

こういう環境でしたから、朝、出勤前の家庭訪問は当たり前で、児童相談所、通級指導教室や医療機関、検査機関に保護者の方と一緒に行かせていただいていました。保護者に寄り添うことの基礎の基礎は、この時の体験がベースになっています。


当時はまず、専門機関につなぐということが、大切なステップになっていました。

しかし、当然ながらそれはスタートであってゴールではありません。つないだ部分が、子どもの育ちにつながらなければ、何にもならないのです。

つないだことで、それが足し算にならないケースもあります。

あってはならないことですが、医療につながることで、学校の指導の本気度が低下したり、妙に慎重になって、本来あるべき教育の姿勢に微妙な変化がみられたりすることもあります。


私は、肩代わりという言葉は嫌いです。

親の肩代わりも、学校の肩代わりも、医療の肩代わりも、それは別のものでは決してできないと考えているからです。

親は、親にしかできないことがあって、それをまず第一に見つめ直すことが大切だと考えています。

時には、発達の視点を勉強されたり、すぐれた指導法を勉強されたりすることも大切です。しかし、一番に磨いていただきたいのは、親としてのあるべき姿なのではないでしょうか?


私はこの頃は、毎週公立保育園に巡回相談相談に行かせていただいていますが、保育士の先生には、次のようにお伝えすることが多いのです。

「先生の保育士としての専門性は、他の機関ではまねのできないものなんだよ。先生が自信をもって、集団で育てる保育の王道を進むことが、この子の発達に果たす先生の最大の役割であり、任務なんだよ。今日、私がお伝えしたことをしっかりとかみ砕いて、自分のものにしたなら、子どもの目をしっかりと見ながら、生かせるところを生かせてごらん。」

こうお伝えすると、何人もの先生が、私の前で大粒の涙をはらはらと落とされました。

療育には、療育の果たすべき大切ですばらしい役割があるのですが、集団の保育の場に、それを咀嚼しないで当てはめては、うまく行かないことがあります。

保育に療育的なことを生かすことは、とても大切なことですが、時として、保育そのものが否定的に扱われるように感じ、保育士の先生が自信を失っているケースに、これまで私は何度も遭遇してきました。

これでは、私は、本当の子どもの利益につながらないと思っています。


「あの子は、○○症だったのかあ〜 やっぱりなあ〜 やれやれ 医療につながって、良かった、良かった〜」

こんな学校の先生はいないと思いますが、これで、子どもでは子どもの利益にはつながりませんよね。


その子の特性をシャープに分析にして、リスクを明確にして、理論的に裏付けられた系統的・段階的なプログラムをもとに、小さなステップで確実に積み上げていく、そういう仕事をしてくださる関係機関の先生

ありのままのその子を受け入れ、あふれんばかりの愛情と教育的情熱をもって、一つの大切な命、ななくてはならないクラスの大切な存在として、みんなと育つ喜びを、めいっぱい体感させてくださる保育士の先生

そして、忘れん坊でおっちょこちょい、涙もろくて、すぐに怒る。でも、ぼくのために、いつもがんばってくれている、世界で一番、大好きなお母さん

どれが良いってことではなくて、どれも大切なのだと、私は思うようになりました。


誰かに任せるのではなく、それぞれの持ち味を、子どものために、足し算やかけ算にしていくことが大切なのだと考えています。

取り入れるものは取り入れながらも、保護者の方との役割、関係機関との役割、学校・園との役割を具体的な部分で明らかにしていきながら、それぞれが、それぞれのの王道を突き進む。

それこそが連携の中身なのだと、私は考えます。

総論は簡単ですけどね、細かい部分、具体的な部分のすり合わせはむずかしいですよ。 価値観のずれは、必ず具体に出ますからね。


ですが、責任も、役割もフィフティ・フィフティー。 

対等な関係で、子どものために、相互に連携し、その子に合った、オーダーメイドの形を作り出すことが大切です。


私の敬愛する何人もの保護者の方が、すでに毎日、そのことに取り組んでおられます。

私もまた、自分の持ち味で、毎日、保護者の方と向き合いながら、何かのことで自分の役割を果たしていきたいと考えているのです。

私だけの力で、何かができるとは思っていません。

でも、もしかしたら、私にしかできない何かがあるのではないかと思っています。
私は、それをしっかりと見つめ、精査し、ご家族の願いを受け止めながら、指導に生かしていきたいと願っています。

「指導を通した子どもの肯定的な自己理解の醸成」

それが、私の持ち味であり、果たすべき役割なのではないかと、考えているのです。



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