コミュニケーション能力育成のための いくつかのステップ

 2009-05-15
我が子の育ちにとって、言語およびコミュニケーションスキルの獲得は、その切なる願いの最たるものであると言えます。

学力が身につくことも大切、でも、それよりもコミュニケーション能力の育成を、と多くのご家族の方が私に伝えてくださいます。

そのアプローチには、いろいろな考えや方法があると思いますが、私はそのことを以下のように考えて指導に取り組んでいます。


① コミュニケートできるベースとなる関係を築く

② コミュニケートする内容と目的がそこにある

③ 要求の意欲、コミュニケートにかかわるモチベーションを高める

④ 要求 → 応答 → 強化 のパターンのモデルを構成する

⑤ 発達特性や段階に応じたコミュニケーションスキルを示し、強化する

⑥ できるだけ自然なかかわりの中でその力を育成し、発語のあるなしやそのコミュニケーションレベルに関わらず、かならず言語を添えて応答するよう心がける。

⑦ 日常生活 (特に子ども同士) で、コミュニケートできる環境を意図的に構成する。



私が小学校の教員をやめ、保育園で初めて発達相談を伺った子が、太郎君 (現在小2) です。

今では、語彙数も増え、かなりナチュラルに言語によるコミュニケートができるようになってきました。

私のコミュニケートにかかわる考え方は、この太郎君とのかかわりに深く・強く影響されていることは、言うまでもありません。

文字通り、私の指導の礎を、いっしょに築いてくれた子どもの一人です。


当時の発達検査では、語彙数の少なさ、構音未熟、言語理解の脆弱さ、言語表出の弱さ・・・など、様々なことが指摘されています。

私、これ読むとイヤになっちゃいます。

正直、絵カードばかりで指導するのは、楽しくありません。

モチベーション下げてまで実施する、テクニカル優先の指導への私の??は、ここからスタートしたのです。


言語発達にかかわる書物の多くには、まず第一に、安定した対人関係や、子どもを共感する姿勢が基盤となる、という内容の事が書かれています。

私と太郎君との実践の中では、ここが8、テクニカル内容は、わずか2くらいの割合です。

それだけ、私の中では、太郎君との関係作り、意欲やモチベーションの向上、気持ちの受容や、生活体験の共有、そしてコミュニケートを必要とする場の段階的な構成などをメインにして取り組んできました。


金曜日には借りてきた図書の本を一緒に見ながら、いろいろなことを教えてもらいます。

太郎君の大好きな、救急車や消防車のこと、家族旅行のこと、学校での出来事、私はたくさんのことを知っています。

時には、のりかちゃんやせいや君を教室に招いて、夢中でごっこあそびをしたこともあります。

ラジコンのおもちゃを購入するときには、パソコンの横に太郎君を座らせ、どのメーカーの物がよいかを太郎君に尋ね、その場でネットで購入します。

すると、次の指導の時まで、太郎君は楽しみで楽しみで、会うたびに何度も何度も、「ラジコン、来た?」 と私に尋ねます。

「まだだよ」

「いつ来るん?(岡山弁)」

「う~ん、たぶん月曜日かな~」

「何で?(多くの場合、こう尋ねます)」

「宅急便の会社の人が、運んでくるからだよ」

「月曜日?」

「うん、楽しみだね~」


表出言語が少なかったことから、私は基本的にはこんな感じで太郎君にかかわってきました。

今振り返っても、これ、上の①~⑦の内容にきっちり即した内容ですよね。

要は、これがSHINOBU流なのです。


私、お母さんと一緒に、関係機関主催の発達相談に数回行きました。

言語語彙発達検査にも立ち会いました。

言葉の教室にも、何度も足を運びました。

何時間も話し合いをし、数え切れないほどのメールを交わし、様々な出来事を、ご家族と共に共有してきました。

こうして、私とご家族には、相互の絶大なる信頼関係が育っていったのです。


私、決して太郎君を甘やかしているわけでは、ありません。

きっと他の子より、厳しいと思います。

私の教室で、叱られて、はらはら涙をこぼしたことが何回もあります。

そこに揺るぎない信頼感なくして、こんなに厳しく叱ることはできません。


「うちの子の、SHINOBU先生に対する信頼は絶大です。大好きでたまらないみたいです。」

何度も、お母さんにそういう内容のメールをいただきました。

図工の時間には、私宛にカードを作ってくれたり、いろいろな作品を作ってくれたりします。

旅行にいったら、SHINOBU先生へのおもやげも買ってきてくれます。


コミュニケートの方法としては、クレーン → 指さし → 身振り・サイン → 言葉 → 会話  と発展する過程があります。

でも、それは手段としてのコミュニケートにしか過ぎません。

まず目的があっての、手段というのが、のぞましい形なのではないでしょうか?

その目的とは何か?

私とならば、まずは、共有する何かを、子どもと一緒につくる関係を築くことができるかどうか? ということになってくると思います。


最近、私のところへ通ってくれるようになった子の中に、指示には従えるけれども、要求をするのが苦手な子がいます。

何回か決められたメニューをこなして帰っていましたが、どうもしっくりこないので、その日は、手番メニューを廃止して、何を要求してくるか、待ってみることにしました。

やっぱし、要求、あまりじょうずではありません。

でも、本当は電車で遊びたいこと、くるくるローラーで遊びたいことが、何となく伝わってきました。

そして、要求の手段が、クレーンと、うしろからの抱きつきということも分かりました。

やっと定番メニューではない、自然な心のやりとりが可能になってきました。


「ちょうだい、はこうやるんだよ」

「やりたいものがあったら、こうやって指差すんだよ」


用意していたメニューから離れ、私は、笑顔でその子と向き合いました。

まだまだぎこちなく、とまどっているようですが、私は太郎君の時と同じ道のりを、この子との間に、感じることが出来ました。


指導後、お母さんに、「私は認知より、この子の要求のモチベーションを高めていきたいと思います。限られた45分をそのことを中心に費やしたいと思います。定番プログラムを捨てることにもなりますが、いかがでしょう?」 とお尋ねしました。

お母さんは、その日、私がそのお子さんの理解を一歩深めたことをわかってくださったのか、「先生にお任せします」 と言ってくださいました。

その瞬間、この子と歩むこれからの道のりが、目の前に広がっていくようで、とてもうれしく思いました。


いろいろな方法を知り、様々な実践をふれ、自分の力量をもっともっと高めたい。

と、同時に、私は私の個性と持ち味を生かして、自分らしい指導を行っていきたいと思っています。


私のやり方が、優れているなんて思ってもいません。

私だけで、何かが出来るとも思っていません。

他の様々なアプローチの良いところも、しっかりと学んでいかなくてはなりません。

どうか、ご家族の方も、こういう私の個性と考えと持ち味を、うまく活用していただければと思うのです。


すべては、子どもの成長と幸せのために

賢い構成を考えるのも、私たちの大切な役割です。


FC2ブログランキング

 


↑どうかランキングも見てやってください。はげみになりますので,ご協力よろしくお願いします。
コメント
SINOBU先生、いつも拝読させていただいてます。
①~⑦のアプローチ、忘れないようにしたいと思います。 息子に当てはめて考えてみた場合、足りないところがあるなあと感じます。 (特に、子供同士の関わり)できるところからやってみようと思います。
【2009/05/17 20:14】 | かたこ #- | [edit]
可能性を信じて、笑顔で、あきらめずに、一歩ずつ一緒に歩んでいきましょうね。
【2009/05/18 08:50】 | SHINOBU #- | [edit]












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://shinobu1.blog117.fc2.com/tb.php/516-32e84f55
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
大切さを全国に伝えたい
Author:SHINOBU
新大阪教室

bnr_personal-osaka.jpg

今までにご覧いただいた方
 

百万アクセスまでがんばりたい

カテゴリ
最近の記事
月別アーカイブ