子どもの心に届くもの

 2009-05-12
養護学校高等部に通う大輔君が、隔週月曜日に私の教室に通ってくれるようになって、約1ヶ月になりました。

コミュニケーションの方法は、主に、大輔君の表情と、懸命に動かしてくれる指先でのポインティングです。


昨日が3回目の指導の日でした。

私が今最も大切にかんがえているのは、いかに大輔君の心を惹き付ける、学びの欲求に即した教材を準備できるか? その事でした。

指導が終わったその日から、2週間後の指導が始まるその日まで、片時もそのことが頭から離れません。


この日用意したのは、 「ここがせかいいち」 という幅1Mを超える大型本と、みなみらんぼう作 「月からきたうさぎ」 という絵本でした。 (↓下の画像)



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みなみらんぼう作 「月からきたうさぎ」 ハイライトシーン

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大型本 「ここがせかいいち」 エアーズロックのページ




「ここがせいかいいち」 には、高さ83Mのセコイアの木や、幅4KMのイグアスの滝や、セカチューで有名になった?エアーズロックなどが紹介されています。

サビの部分では、大輔君、しっかり目を見開いて、大型本の方を見つめてくれました。 明らかに興味を示した表情でした。


「月からきたうさぎ」 も予想以上にクリーンヒットでした。

大輔君は、高校生ですから、プライドを傷つけるような内容の絵本を提示するわけにはいきません。

だからといって、入っていかない内容のものでは意味がありません。


表現は平易だけど、人としての心に響くファンタジーで、彼の心をつかみたい

イメージを構成する挿絵も、十分大人の鑑賞にたえるレベルのものを

そういう視点で、教材を選択しました。 



この学習の後、私は3桁の計算を彼に提示しました。


253+526 の答えは、次のうちどちら?

(A)536  (B)779


わずかの時間の経過ののち、彼の手が動き始め、しっかりと (B) の方の選択肢を指さしました。


お母さんにとっては、日常的な事なのかも知れませんが、わたしに取っては、何かが初めて彼とつながった瞬間なのでした。

私は、そのことがうれしくてうれしくて、たまりませんでした。

何週間も、何週間も、心の中に溜め置いていた何かが溶け出し、どこかへ流れ出していくような気持ちになりました。


この日の指導の前に、私はお母さんに電話をかけ、「私はこの子の学びの意欲と力を信じて、指導者として、澄んだ瞳で、きちんとした姿勢で、真っ正面から、正攻法で向き合ってみようと思います。」 とお伝えしました。

子どもとのコミュニケートの方法が限定されている場合は、指導者がそれを感じ取ることは、指導者としての最低の責務だと私は考えています。

しかし、それは、口で言うほど簡単ではないケースも多いわけです。


「あきらめなければ 夢は叶う」

子ども発達・子どもの教育に関わる者なら、心の中に生涯しっかりと刻み置くべ、き大切な言葉の一つなのかも知れません。


指導にあたる者が、その可能性を信じないでいて、どうしてそれを子どもに伝えることができるでしょうか?


子どもの学びの欲求を信じ、それを掘り起こし、その最適の教材を提示し、適切な支援を実行し、やがてそれをフェードアウトして、出来るようになった君を正当に評価する。

わたしのやろうとしていることは、たったそれだけなのです。

自閉症であろうが、AD/HDであろうが、ダウン症であろうが、アスペルガーであろうが、それは特性理解のための一つの切り口にすぎないわけであって、私の前にいる子は、その子であって、それ以外の何者でもありませんから、すべての子どもに私はいつも同じ姿勢で接したいと願っているのです。

それは、定型発達の子でも、どの子でも、人としての教育として何ら変わりの無い部分です。

ここのスタンスがきちんとあって初めて、高度な専門的な指導、認知特性・認知処理様式に添った適切な指導が生きてくると思っているのです。

逆に言えば、そこがないのに、いくらテクニカルな指導を実施しても、積み木崩しか賽の河原・・・


私の教室に通ってくださるご家族の多くは、もうすでにそのことを身をもって体験されているようです。


「これから、先生といっしょに、人が生きるという、大切なことを勉強していこう。 君の世界を、もっともっと広げていこう。 それこそが君の大切な役目だと、先生は思っている。」

指導の終わりに、私は大輔君に、そういう意味のことを伝えたつもりです。


それが容易ではないことは、百も承知。

間寛平ちゃんが、地球1周マラソンを行うなら、私はこの教室の活動を、自分なりに真心を込めて続けよう。

「あきらめなければ、夢は叶う」

子どもの前に指導者として、きちんとした姿勢で、澄んだ目で、謙虚に、愚直に、そのことを子どもに示し続けよう、そう思ったのでありました。


ところで、うさぎの目って、なぜ赤いのか知ってました?

それは、我が子である金色のうさぎを、人間に襲われよないようにと、安全な月に帰した母うさぎが、一晩中泣きはらしたからだと、物語には書かれていました。

この場面で、大輔君の表情は、明らかに変わっていました。


本物ならば、何かがきっと子どもに届くのではないでしょうか?



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