志あるところに人は集う
2009-04-30
昨年の10月の末、大阪府にお住まいの方から、1通のメールをいただきました。内容は、「約1年後に就学を控え、幼稚園の年中クラスに通うダウン症児の母です。大阪からではありますが、ぜひ先生の所で指導を受けたいと考えています。とにかくぜひ先生に1度会って相談したいのですが・・」 というものでした。
当時は、大阪から交通費をかけてご相談にお越しくださるなんて、夢にも思わなかったことですから、メールを通して私なりのアドバイスををさせていただき、そのお子さんはある療育園に通われるようになりました。
それ以後、広島から、大阪から、何人もの方がご相談にお越しくださるようになり、中には県外から定期的に教室に通ってくださるようになった方もいらっしゃいます。
そして、数ヶ月後が過ぎ、実は私、このお子さんと昨日、3度目の出会いをすることになりました。
月に1度、定期的に大阪におじゃまさせていただく枠組みが出来上がったのです。
前例のあることではありませんから、これだけでも奇跡と言えば奇跡です。
その子の指導が終わり、ご両親と、今後の打ち合わせなどをさせていただいたその時です。
突然、会場の扉が開き、2人の女性が入ってこられました。
それは何と、その子が通っておられる幼稚園の園長先生と担任の先生でした。
もちろん、ご両親がお招きされたわけではありません。
あまりの出来事に、ご両親はしばし言葉を失っておられました。
「とにかく、ここに足を向けないではいられなくなった」
私は、園長先生と担任の先生のお話をお伺いしながら、先生方のそんな情熱をダイレクトに感じ取ることができました。
お母さんは前日、「幼稚園で逆上がりができるようになったんです」 と、うれしいお知らせを私にしてくださっていました。
こういう幼稚園なら、生き生きと遊び、学び、暮らし、子どもが育つのは当たり前だと、私は思いました。
実は園長先生、その2時間くらい前に、私のところへお尋ねに来てくださっていました。
他の子の指導中でしたので、昼の12時からこの子の指導をさせていだだくことだけをお伝えしておきました。
それがまさか、園長先生だとは思ってもみませんでした。
園長先生と担任の先生は、飛び込みで来られ、その子の指導時間が終わるまで、ずっと待つつもりで来られていたのです。
岡山から新幹線で通う私
前日の指導を終え、大急ぎでボストンに教材を詰め、タクシーで駅に向かい、会場近くの宿泊施設に着いたのは深夜11時を過ぎていました。
土日で20人近くの子どもの指導を終え、月・火の指導を行い、水曜日に大阪で10名近い子どもの指導を行うのは、肉体的にはめちゃくちゃしんどいです。
でも、何かが私に大阪に足を運ばせるのです。
倒れちゃいけない、迷惑はかけられない、少しセーブして、安易に指導をお引き受けしてはいけない・・
いつもそう心に誓いなから、結局は子どもを前にすると、どうしてもお断りできない私がそこにいます。
公私共に大変忙しい中、休日であるのにもかかわらず、たった一人の子どものために、飛び込みで会場にお越しくださり、その間ずっと外で待っておられる園長先生と担任の先生
私、教育者の一人として、この気持ちが痛いほどわかります。
何が園長先生と、担任の先生に、ここに足を向けさせたか、それはきっと私と同じ思いであるに違いありません。
一人の小さな子どもが真ん中にいます。
小さいけれども、すばらしい命の輝きをもつ大切な子どもです。
その子を深い愛情で育み、背中をまっすぐに伸ばし、透き通ったまなざしでその行く先を見つめ、子どもと共に一歩ずつ前へ進んで行こうとされているご家族がそこにいます。
そして、そのご家族を包み込むように寄り添う私と、幼稚園の先生方
まるでひとつの小宇宙
人生って、生きるってステキだなって思いました。
私、その瞬間、体内の細胞が活性化していくのを感じましたよ (笑)
疲れてボロボロのはずなのに、ちっともそれを感じません。
今回の出張指導で、私また別の人間になっちゃったかも知れません。
この日に初めて指導をさせていただいた子が、何人かいます。
その1時間、1時間がそれぞれ大切な瞬間でした。
まさに一期一会
それぞれに、小さな宇宙を感じました
最後の指導をした小さな男の子
お父さんの前で、その子を抱っこすると、何とも言えないすばらしい笑顔を返してくれました。
この笑顔に応えたい
ご家族の期待に応えたい
ご家族と共に、しっかりとこの子の課題に向き合っていきたい
誰だってそう思います。
ご家族の真摯な思いこそが、天に通じ、道を開きます。
前日にこんなことが起こるなんて、夢にも思っていませんでした。
ですから、明日どんなことが起こるのかも分かりません。
運命は、人の気持ちに添いながら、動いていくものなんだなって思いました。
その志があればこそ、子どもの周りにすばらしい人の輪ができていくのではないでしょうか?
すべては、あの1通のメールからスタートしたのです。
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