カコチコチの氷がとけ始める瞬間
2009-03-06
昨日は、まさと君(=仮名 中3・男子)の、2回目の指導の日でした。 まさと君は、小1の時と小2の時の2年間、私が特別支援学級で受け持ったお子さんで、7年ぶりの再会です。まさと君のご家族とは、私が転勤した後も、ずっとお付き合いをさせていただいております。
いろいろなことがあり、中学で少し学習の自信を失いかけ、7年ぶりにいっしょに学習をすることとなりました。
前回の指導の時は、まさと君もちょっと緊張しており、私も何からどうしたらよいか迷っていたところもありましたが、今回は2回目ですから、ある程度の見通しを持って準備をすることができました。
(1回目の指導の内容については、2/27の記事をご覧ください)
以下の画像は、2回目の指導の様子です。




まさと君は、4月から特別支援学校高等部への入学が決まっています。
本当は勉強をしたいのに、自分のイメージ通りに学習が進まない痛みが、まさとくんとご家族苦しめていたことを、以前からお父さんにお伺いして知っていました。 特別支援学校への入学決定までにも、様々な葛藤やドラマがあったことも、以前よりご家族からお聞きしています。
今回、私が指導をさせていただくことになり、まず私が考えたのは、まさと君の学びの心を、しっかりと育んでやりたい、ということでした。
そこで、ご家族に情報をいただきながら、まずは英検4級と漢検7級を目指した学習を進めてみようと考えました。
書店に行って教材を選び、前回そのうちの何枚かに取り組んで、その感触を試してみました。
まさと君、最近は、学校での勉強がほとんど成立していないということでしたので、内容は少し易しすぎるな、という程度のものから初めて、リズムを付けようと考えました。
漢検のプリントを3ユニット(6ページ) 英検のプリントも3ユニット(22ページ)用意しておきました。
今日はこれだけがんばろうと、学習計画表を作成し、1ユニットが済むとそこにシールを貼っていきました。
同時にタイムタイマーをセットして、正味1時間は、国語と英語の学習に集中し、残りの30分は楽しい活動に使うというフレームをこしらえました。
「今日からの勉強は、こんな感じで行こうね」
これだけ話すと、まさと君の表情が、ふっと緩むのを感じました。 もうここで、完全に受け入れたと、私は判断しました。
前回のような緊張も、ギラギラとした感じも、もうすでにそこにはありませんでした。
まさと君が、小学校1・2年生の時は、私のクラスはまさと君1名だけでした。
おまけに、1年生の通常学級の担任は、前年度私と一緒の学年を担任した先生でした。
(私が一応学年主任でしたから、何でも無条件にお願いを聞いてくれました。彼女も特別支援の深い理解と技術をもった先生でした)
なので、交流で1年生の学級にいくことはあっても、この2年間、まさと君が学校にいる間、私はずっとまさと君に寄り添っている状況でした。
ですから、何年たったにしても、この2人で勉強する感覚や、お互いの信頼感みたいなものはすぐによみがえってきます。
私、この取り組み、イこの時点でもう、イケルと感じることができました。
4月からの特別支援学校高等部のマルチな学習と、週1度のこの教室での中身の濃い個別教科学習との組み合わせ、悪くないと思いますよ。
私、まさと君の行く特別支援学校で、中学校のアシスタントティーチャーをやったことありますから、この学校のすばらしさも知っています。
まさと君の英語のリピート、思っていたよりずっとずっとクリアな発音でびっくりしました。
私もNOVAで、1000時間近いレッスンを受け、大学院で英語の論文を何度も翻訳した経験が、こんなところで役に立つとは思ってもみませんでした。
初めて人に教える英語、楽しくてたまりません。
私は、まさとくんと一緒に検定試験受けにいく日がくる Xデー が、今から楽しみで、楽しみでたまりません。 検定合格証書をもって、2ショットで写真をとって、ご家族とファミレスで乾杯〜などと、悪のりの妄想まですでに始まっています (笑)
指導が終了すると、またご両親と時間をかけて情報交換をさせていただきました。
このご両親、よっぽどのことがない限り、ご夫婦で続けてこの教室に来られると思います。
私、このご両親と連絡帳で、電話で、家庭訪問で、何回連絡を取り合ったかわかりませんが、その連絡や相談自体が、毎回楽しみでなりませんでした。
そうでなきゃ、あんな感じにはなりません。
> 先生、この子の何かが変わってきているのが、はっきりわかります。
> ちょっと前まで、家を出る時も、何も反応がなかったのに、今日は 「行ってきます」 と自分から言葉をかけてきました。 こんな事は、生まれて初めてのことです。
> あんなにトラウマのように頭の中でぐるぐる・ぐるぐる回っていた 「BSジャパン」 へのこだわりが、目に見えて改善されて来ました。
指導が終わって、30分も経たないうちに、またお父さんから電話をいただきました。
やさしい自然な笑い方になってきた・・ 本当にうれしくて・・・
かなりうわずった声で、何度も何度も、感謝のお言葉をいただきました。
それは、まさ君の心の中の、カチカチの氷が、まさにとけ始める瞬間なのでありました。
これ、私の手柄じゃありません。
ご両親が私の所に、まさと君を連れてくること、本当はそんなに簡単な事じゃないはずです。
それに、1回の指導にかかる費用も、決して安くない金額です。
私は、与えられたフレームの中で、最低限の仕事を、ちょっとだけ心を込めてさせていただいただけのことです。
氷がとけ始めたのは、ご両親の願いが、私を通してまさと君に伝わったからに違いありません。
このお父さんは、親の会の役員 (かなり責任のあるポジション) をされています。 お母さんもPTAの役員だけでなく、地域のボランティア活動を何年にもわたって続けられています。 ご両親ともお仕事をもち、超多忙な方です。
私が、主体者としてのご家族と、共に歩む特別支援教育のスタイルを目指すようになったのも、このご家族とのかかわりを抜きに考えることはできません。
あの小学校の2年間、双方が信頼し合うことによって、どれだけ多くの教育的な効果をもたらしたことか、その感覚は、今でも私の活動の原点であり、エネルギーとなっているのです。
繰り返しますが、主体者はご家族で、私はほんのちょっとだけお手伝いをするのが仕事です。
そのほんのちょっとのサポートが、ご家族の目指す方向のシンボルみたいになることがあります。
私たちの歩んでいく道には、既製品の道標もなければ、方程式もありません。
その判断に対する責任は、すべて自分の子どもにふりかかってきます。
どんな人でも、時にはサポートやセカンドオピニオンは必要です。
今、必要とされていることの内容の一つが、こんなことであると私は考えているのです。
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