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WICS-Ⅲなんかには絶対に表れない ほとばしる子どものやる気とその可能性

 2008-11-13
昨日、イチロー君の2回目の指導がありました。 

イチロー君との指導を開始する前に、事前にご両親といろいろと相談を伺いました。

その折りには、WISC-Ⅲの検査結果も見せていただきました。  

ふむふむ、言語理解・・・・ 知覚統合・・・・  注意記憶・・・・  処理速度・・・・

なるほど~ ありがとうございました。 参考にさせていただきます。 それで終わりです。


ところが、そのあとおばあちゃんが、その育ちを記録したイチローノートというものを見せていただきました。

これには正直驚きました。 1歳のころからのイチロー君の育ちの歩みが、おばあちゃんの言葉で、時にはイラストやエピソードを交えながら綿々と綴られています。

私は、このイチローノートは、何度も何度も繰り返し目を通しました。


私は、上野一彦ら編の「軽度発達障害の心理アセスメント WISC-Ⅲの上手な利用と事例」 という本をいつも手元に置いており、時々参考にさせていただいています。

でも、直接指導に当たることが可能な場合は、具体的な指導の場面でその子にかかわった方が、WISC-Ⅲの数値を見るより、よっぽど立体的に子どもの姿や課題をとらえることができます。

なぜなら統制された環境の中で行われるWISC-Ⅲの数値と、現実のリアルな環境の中で行われる指導との間には、相当な距離があり、私はその間をうめるだけの力量を持ち合わせていないからです。

WISC-Ⅲの検査のできるセラピストさんは、たくさんいると思います。 しかし、その数値から、現実場面の指導を具体的に組み立てる力をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひお目にかかって、ご指導を仰ぎたいと思います。

今の私の力では、そんなことは到底できません。


昨日は、2回目の指導でしたので、おばあちゃんにコピーさせていただいたイチローノートと、1回目にイチロー君といっしょに取り組んだお試し課題をもとに、新しい課題を作ってお宅におじゃましました。

この日は

① お約束の「恐竜図鑑」の話をイチロー君から聞く
② 国語の森の読解教材を、予備刺激として、イチロー君といっしょに読む
③ 算数プリント (継次的に処理可能な教材)
④ 漢字カード(この日は予備刺激で読むだけ)
⑤ パソコン(数の認知にかかわる視覚的なもの)
⑥ ベイブレード(勝敗理解・余暇の充実・楽しみ=強化子)

と、いうメニューでしたが、はまる・はまる! その表情や態度から、「できる」「わかる」「楽しい」感がビンビン伝わってきます。

おそらくこの日は、私が事前に予想していたイチロー君の特性理解は、ほぼ完璧に当たっていたと思います。(毎回こうでは、ありませんよ、この日はたまたまです)

だから、例えは適切ではないと思いますが、のどが乾いていた生き物に水を与えたように、イチロー君は、次々と課題を吸収していったのではないかと思います。

私も、楽しくて楽しくて、ちょっと興奮気味でした。 

指導が終わると、イチロー君は超ハイテンションで、冬空の元、道路でぴょんぴょんはね回って私を見送ってくれました。

後で、ご家族からいただいたメールには、「この日は、それまでおばあちゃんといっしょに1時間かかっていた宿題を、自分だけで10分で済ませてしまい、時間割も自分でしていました・・ 先生との時間が相乗効果を生んでいるようです・・」と書かれていました。


これはね、私ではなくて、おばあちゃんの力ですよ・・

お孫さんのために、おじいちゃんと毎日、お寺で拝んでいたんでしょ・・

WISC-Ⅲより、何倍も汎用性の高い質的なデータをイチローノートにずっと綴ってきたのは、おばあちゃんじゃありませんか? このイチローノートがなければ、この日の私の指導は、決して構成できませんでしたよ。

それに、そのおばあちゃんの真心が、お母さんに伝わり、そのお母さんがあの日、たまたまお母さんの学校に巡回相談でおじゃました私に、声をかけてくださる結果につながったのでありませんか?


現実の子どもを取りまく状況は、こんなふうに動いているわけであって、そのすべてをWISC-Ⅲで切り取れるわけじゃあありません。

私は、WISC-Ⅲに限らず、いろいろな検査自体を否定しているわけではありません。 でも、それがあたかも絶対のものであるかのように扱われがちな現実には、強い抵抗感をもっています。

尊敬する偉大な上野先生のWISC-Ⅲの解釈の本のどこを読んでも、強化子(ごほうび)にベイブレード(おもちゃのコマ)がよい、なんてことにはたどりつきません。

これは、私のとイチロー君とのストーリーの中だからこそ、生まれてくるものです。

きっと今頃、イチロー君は、「来週の水曜日に、SHINOBU先生とベイブレードするのが楽しみだ」 と思っているに違いありません。 絶対です。 なぜなら、私も楽しみで仕方ないからです。 

来週は、イチロー君の学校に巡回相談に行くのです。 こんな巡り合わせを奇跡と呼ばずして、何と呼んだらいいのでしょうか?

これが、私とイチロー君とのストーリーなのです。


このイチロー君の、ほとばしるようなやる気は、数値では説明できませんよね。

向き合うべきはリアルな子どもの姿であって、決して数値ではないのです。 数値より、イチローノートの言葉、あるいは日常の教育や保育のエピソードに、大切なことが含まれていることの方が多いと思うのです。

そのスタンスをがっちり固めた方こそ、諸検査の数値を解釈する資格があるのだと思います。

帰る間際に、そのおばあちゃんがみせてくれた「カブトガニの手作り模型」 イチロー君が、セロテープやつまようじを使って、自分で作った物です。 何という精巧さ。 まさに天才です。 私がどんなにがんばっても、こんな精緻なものはできません。

これWISC-Ⅲの下位検査のどこを見たら、数値化されているのでしょうか???


私くらいの年齢の方なら覚えている方も多いと思いますが、昔カップヌードルのCMソングに、こんなのがありました。(30年以上前のかなり曖昧な記憶ですが・・)

♪ 常識っていう奴と おさらばした時に 自由という名の 切符が手に入る
   古ぼけた頭には 曇りが来てるから 不自由という名の 眼鏡に困ってる

  OH ハッピーじゃないか~ OH ハッピーカップ OH MY ハッピーカップ
  OH ハッピーじゃないか~ MY カップヌードル ♪


すばらしいWISC-Ⅲの尺度や客観性を、決して 「不自由な眼鏡」 にしてほしくないと、私は思っているのです。

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