個別の療育と集団での育ち 優先すべきはどちらなのか?
2008-10-31
私は、まさか自分が3歳のお子さんの療育を担当させていただくなんて思ってもいませんでいた。ご家族のかたが、私がブログで、ABA(応用行動分析)の手法を大切にしていることをお知りになり、是非にということでしたので、お引き受けをさせていただくことになりました。
私は、基本的には、インクルージョン推進派で、どちらかと言えば個別指導より、集団での育ちを大切にしているタイプです。
5月の保育学会のあるシンポジウムで、
「私は長年、子どもの発達に正面から向き合ってきた。よかれと思って、その子にあった教育の場、その子にあった専門機関はどこかと一生懸命探してきた。しかし、やればやるほど、どこか心の中に本当にこれでよいのか?という疑問がもやもやとわき、いつの間にかぬぐい去れないものになった。しかし今日、重度の自閉症のお子さんの長年にわたる実践事例から、子どもがどのように学び、どのように育っていくのか?その原点にふれたような気がした。他の子どもと生活し、共に成長していくその大切さを、今こそ私たちは発信していく時期だと感じました・・」
「私もまったく同感です。専門機関・訓練機関に通う子どもには笑顔が少ない。しかし、今日の事例・晋平君の笑顔から、私たちは本当に大切なことは何かを感じとることができた。特に小さいときであればあるほど、集団のもつあたたかさが、子どもを育てるのではないか?その大切さに取って代わる早期治療のその中身はいったい何だったのか・・・」
というフロアからの意見に胸を熱くしたものです。
テクニカルな事も大切だけれど、その子をとりまく環境づくりと、本人のモチベーションはもっと大切だと考えています。
リアルな集団の中で生きていく力を付けないで、小さな部屋や特別な環境だけでうまく行っても、それはあまり意味がないのでは、と考えています。
昨日友里ちゃんのお母さんが相談にみえました。
友里ちゃんは、医療的な面で新しい局面になり、学校のこと、家庭での支えや将来のことについても、ご家族も一層真剣に取り組まなければならない展開になりました。
その友里ちゃんは、毎週1回の私の指導をとても楽しみにしてくれていて、SHINOBU先生のところへいくと、何だかパワーがわいてくる、とうれしいことを言ってくれます。
90分の指導時間は、あっという間に過ぎます。 指導していて、「あ、もう30分も経った」 「もう1時間も経った」 「早すぎて信じられない」 と、いつも言いますが、指導している私も楽しくて、あっという間に90分が過ぎてしまいます。
ここでの学習は、ABAの理論を基礎とした長所活用型、エラーレス完全習得学習なので、彼女はここで、教科学習を通して、自分に対する自信とイメージをどんどん向上させているのだと思います。きっと、だから、楽しいのです。
お母さんは、今朝メールをくださり、SHINOBU先生は、私のパワーの源です、と伝えてくださいました。 私の役目は、これで良いのだと思います。 このように気軽にサポートできる機関が、ご家族の身近なところに、もっともっとあってよいと思います。経済的な負担もありますから、個別支援としては、こんな感じで、私は役割を果たせているのかな、と考えています。
ダウン症のお子さんの場合は、その発達的な特性から、早期療育の効果が臨床的に実証されています。 週40時間の早期の個別セラピーが、IQの大きな向上につながったという報告も、すばらしいと思います。 しかし、すべて早期療育=個別指導ではないと思っています。
かれんちゃんは、別の保育園に通っていて、先週から、週に1度だけ私の所で個別セラピーを受けることになりました。 まずは、こんな形が自然です。 ご家族の選択も、理解できます。 私はその週1度のセラピーのために、目下猛勉強中です。 しかし、このかれんちゃんに対する勉強が、きっと太郎君や花子ちゃんの学習に役に立つであろう事は、すでに私の中でははっきりしています。
集団にもいろいろあります。 その子の発達のニーズに合った集団もあれば、そうではない集団もあります。 療育も、同じ事で、Aちゃんには良くて、Bちゃんにはそうでもないことも、良くあることだと思います。
結論は、決して一般論では語れないということ、お子さんの環境や育ちのストーリーの流れの中で考えていくこと、そして、集団に軸足をしっかり置いて、そこを支え、サポートする個別支援や療育が基本スタンスではないかと思います。
私は毎日猛勉強、でも、とっても楽しいです。
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