検査や診断は指標のひとつにはなるけれど それで教育の方向が決定づけられることにはならない (じゃあ一体診断って 何のために?)

 2008-09-14
9/11の「グレーゾーンという曖昧さ・残酷さ・むずかしさにとまどう保護者」という記事に対して、その後、数名の方から貴重なコメントをいただき、私自身たくさんの気づきがありましたので、今日はそのことを自分なりに少し整理したいと思います。


ひとつは、診断される中身のことです。

自閉症にしてもADHDにしてもLDにしても、それは一つの概念であり、尺度であり、ものの味方の切り口であるので、決してそれ自体が固有に存在しているのではない、ということです。

例えば、広汎性発達障害という広い枠での診断名がついたとしても、きっと100人いれば、100通りの違いがあって、自閉傾向についても、認知特性についても、衝動性についても、その程度や特性はバラバラのはずです。

それがノーマルレンジか否か、だけが明らかになったとしても、その人の特性のすべてをそんな尺度だけでとらえきれるはずはありませんね。発達障害だけの尺度で、教育の内容すべてが方向づけられるということには、ならないでしょう。

単純な疑問ですが、私の指導している花子ちゃんの国語の読み取りの、すばらしい、ほれぼれとするような長所は、私の知っている限り、どの診断にも、発達検査にも、ひとことも反映されていませんよ。

検査は、標準化されていますが、すべてを完全にとらえきれるものではありません。

生育歴・地域や家庭の状況だって、千差万別のはずです。 

だから、発達障害という小さな枠組みだけで、断定的に人をとらえるのは、相当に危険なことだと思います。


じゃあ、何のために診断があるのか? ってことになりますよね。

これも、私の独断的なとらえとして受け止めてください。


診断は、何か目的があって、そのために活用するためのものだと考えています。

私の立場で言えば、基本は日々の指導の時の子どもの様子から、どういうことが得意で、どういうことが不得手なのか、その子の特性をとらえます。

先日読んだ本では、子どもは医療・認知・教育実践の3階層から理解すべきである、と書いていました。

ですからここで、例えばKーABCなどでの認知特性のプロフィールがあると、初めてのお子さんの場合は、回り道する可能性が相当低くなることは事実です。

セラピストさんからいただいた細かい所見は、さすがに目を通します。ああそうなんだ、と参考になることも多いです。

でも、言葉の発達は、現在3歳、2語文は話せるが、疑問詞は見られない、構音も未成熟、とか書いてあっても、具体的にじゃあ、明日からこうしなさい、ということを具体的に書いてあるわけでもなければ、何かお勧めのやり方が書いてあるわけでもありません。

勉強は大切ですが、じゃあこれからといって、アマゾンで本を買って、すぐに次の日から3年間、その本一本で指導しました、何てことはありえません。

それより、自分がそれまで何年もかけて培ってきた教育実践の技能と個性を生かして、現実のこの子の指導に、こうした検査や診断のどこをどう生かしていこうか、こう考えるのが普通です。


コメントでは、何人もの方が「ていねいな子育て」という言葉を使われていましたが、つまりはこういうことではないのかと思っています。グレーだのブラックだの、どんなランクが付けられたにしても、あまり特別な新しい何か、ということばかりを先行させないことも、もしかしたら、大切なことなのかも知れません。

検査や診断も、余り意味のない枝葉の部分は淘汰され、シャープな部分・本質を射抜いたところは残ります。ドクターやセラピストにも、いろいろなタイプがあることも、心のどこかに留め置くことも必要です。(歯医者さんなら、わかりすいので選びやすいですけど・・)

あと、療育手帳が必要、特別支援学級に入級したい、個別に支援員がほしい、通級指導教室に行きたい、という場合には、客観的な一つの基準として必要となるので、こうしたことで検査が行われるのは、公平性の観点から理解をしたいと思っています。

(数値が、1足らなくて・・ 向こうの都合の良い検査だけで測られる・・ という声も聞きますが)


あなたは水虫ですから、この薬で治ります、となればめでたし、めでたしですが、お子さんはLDですから、自閉症ですから、この薬を飲めば直ります、ということにはならないですよね。

お子さんのこと、ほんとに深く理解しているのは、ドクターですか?セラピストですか?それともお母さんですか?

お子さんを育てていくのは誰ですか? お子さんと生涯歩み続けるのは、誰ですか?

答えは、明白です。 


どんな診断が付いたって、検査でどんな数値がついたって、日常はそのままです。

しかし、この子の特性をより正しく理解するために、検査や診断を使い、ご家族が何らかのアクションをやアプローチをしていこうとする意志がはっきりとあるのなら、話は別です。

もっと早く我が子のことを知り、親としてもっとしっかりしたアプローチすればよかった、空白の3年間が悔しいと、後悔されているご家族の方もいらっしゃいます。

ただ逆に、今一歩、診断や検査が生かされないケースもあるでしょう。 そうした場合は、不必要にそのことにとらわれることなく、お子さんの日常に寄り添ったアプローチが大切になっていくのではないでしょうか?

私が、検査や診断は利用するものと、とらえているのは、こうした理由によるものです。

まずは、ご家族が実態に寄り添い、その子に応じたアプローチをどう展開していこうかということが先にあって、その上で、一つの手段として検査や診断は利用するべきものだと、私は考えています。

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コメント
SHINOBU先生、こんにちは。昨日、仕事しながらテレビに目がいきました。それは、ちょうど自閉症《発達障害》についてしていました。私と同じ考え方の方で、通常学級が 無理と言われながらも入れたと。その人は、通常学級へ入れてよかったと話しをされていました。それを聞いた時、何が何でも残る決心がわきました!私は、病名が、早かろうが遅かれ 最後は親の受け止めかただと、思っています。受け止めた時から勝負が始まると。 そこから子供といろいろな勉強が始まるだなぁと。長いトンネルを掘っても掘っても光りが出ない、掘るのを途中で止めないで、最終的には大きな光りが。大きな光りが見えた時、親も子も成長していると思っています。文章が、変になってすみません…
【2008/09/14 11:13】 | まーちゃん #- | [edit]
まーちゃんへ

これまでに、真剣なご家族の気持ちが、奇跡を起こしたいくつもの事例に出会ってきました。

ありのままのお子さんを受け入れ、長所を生かし、希望をもって課題を乗り越えていかれるご家族の営みは、本当に尊いものです。

そういう方々を、私はこれからも応援していこうと思っています。

これからも、どうぞよろしくお願いします。
【2008/09/15 11:56】 | SHINOBU #- | [edit]
SHINOBU先生、こんにちは。 ブログ、いつも読ませていただいています。私の名前をコメント欄に発見し、びっくりしました! 普段の気付きを綴っているだけのブログで、まとまっていないので参考になるかわかりませんが、紹介くださりありがとうございました。

グレーゾーン。 これで、夏休みそして新学期と振り回されました、、、。アメリカは9月に新学期が始まったばかりです。 夏休み後半になっても通う小学校も決まっていなくて あせりました。 息子の言葉の遅れが 英語のせいなのか、言語発達自体に問題があるのか、それが 英語で行われる検査ではっきりしなかったからです。 なるべく「特殊教育」扱いの子供を少なくする方向で行われるらしい 就学時スクリーニング。 元々、こういうテスト(大人と一対一で行われる)が大好きな息子は、終始機嫌よくテストに協力していました。 その為、結果は私が恐れていた 「問題なし、外国人生徒のための英語クラスをとればよいでしょう。」というもの。 これまでの幼稚園での様子(本棚の陰に隠れて一日を過ごす。泣いている。お友達との交流ができない、とても難しい。英語も母語も年齢相当レベルには話せない。)から見ても、英語学習のサポートのみでは、息子にとって また 辛い学校生活になるだけかもしれない、、、。 なんとか他のサポートを受けられるようにしなくては、と思いました。 

就学前に受けられるサポートでお世話になっていた特殊教育の派遣先生(週1回、幼稚園に来て息子が友達を作れるようにサポートをしてくださった)に 「この生徒は 検査には数字として現れないかもしれないが 英語クラスに加えて 特別のコミュニケーション(言語療法を含む)のサポートを 必要としています。」という手紙を書いてもらいました。

その手紙を持って、教育委員会にあたるオフィスの担当者に話を聞いてもらいに行きました。 手紙の効果はてきめんに現れて、その場で小学校の担当者(STやカウンセラー)に電話連絡をしてくれました。 今、息子にどんなサポートをしていくか検討してくれています。 幸い担任の先生もとてもよい先生のようです。 どう展開していくのかわかりませんが、この1年が息子にとって楽しく成長できる1年となるように 家庭での関わりを大切にして頑張りたいと思います。

日本に帰国する頃、息子の言語の状態がどうなっているのかは、今は想像できません。SHINOBU先生の記事や みなさんのコメントを読ませていただいて、日本で+αのサポートをいただくのは、アメリカの場合とは違うんだな、と感じます。(こちらは、例外はありますが、インクルージョンが前提なので。)
これからも いろいろと勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
長くなってしまって、ごめんなさい。
【2008/09/15 13:13】 | かたこ #- | [edit]
かたこさんへ

アメリカにあっても、お子さんに真剣に向き合う母の願いが道を開くのですね。

インクルージョンが前提、日本もここからスタートすると、ずいぶん展開変わってくると思うのですが・・

いつ帰国予定でしたっけ・・

いつもブログで、すばらしい実践を教えてくださりありがとうございます。

これからも仲良くしてくださいね。
【2008/09/15 17:32】 | SHINOBU #- | [edit]












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