分離では育たない教育の中身

 2016-07-01
DSC00958.jpg







今からもう数年以上前のことです。

京都から、ある母子が私の教室を訪ねてきてくださいました。


イタリア人のお父さんと、日本人のお母さん、

幸せなことに、その日から今日までずっと、その子のサポートをさせていただいています。

当時、アトリエの一室をお借りして、京都教室を開設することができたのも、この日の出会いがきっかけでした。


そのお母さんが、先日、私に以下のような内容のメールを送信してくださいました。



SHINOBU先生


先日、同い年のダウン児(普通級在籍)を持つお母さんが、学校側が示すインクルーシブ教育と我々が考えているインクルーシブ教育が噛み合わない歩み寄れないのはなぜかと、疑問に思って調べ、たどり着いたあるブログを紹介してくれました。

何か変だよ、日本のインクルーシブ教育 (1) 〜(3)
http://www.blog.crn.or.jp/chief2/01/18.html

ボンヤリと違和感があったことが、すっきり書かれていて、とてもわかりやすいです。

そして、そこにも記述されているイタリアのインクルーシブ教育の先進性に改めて気付かされ、
調べてみたら、これぞまさに私たちが考えるインクルではないか!と驚かされました。

先進諸国でもここまで徹底できている国はイタリアの他になかったということを、恥ずかしながら初めて知ることになったしだいです。

2年前に娘を連れて行って驚くことばかりでしたが、その時は日本が遅れているのだと思っていました。
しかし、これを読んで、偶然にも娘がその教育実践に繋がれたことに改めて感謝し、これはもっと伝えなきゃ、という気持ちになりました。
主人の姉たちが、制度のことを誇らしげに語っていたのを思い出しました。

日本の内閣府もやはり各国のインクルーシブ教育について調査し、報告書が出ています。その中にイタリアの状況も報告されていました。

以下に、報告書のほんの一部ですが引用しておきます。

· イタリアでは、1970年代よりインクルージョンに向けた法改正が徐々に行われた。地域の学校の普通学級における教育の保障は、義務教育段階の障害の軽度の子どもから重度の子どもへと拡大し、その後、幼稚園、高等学校へ、そして、1992年法律104号により、保育園、大学が加わり、0歳から成人までのインクルーシブ教育が法律で保障された。

· イタリアは 「統合可能とされる障害児を既存の学校教育制度に組み入れる…中略…のではなく、学校教育制度全体を改革する中で障害の有無や程度を問わず、全ての子どもの教育を保障するインクルーシブ教育制度を構築した」

· イタリアでは「障害児の教育権・学習権=地域の学校の普通学級において教育を受ける権利・学習する権利」と明確に法律で規定されており、学校などの教育機関には障害児者を受け入れる義務と責任があることが明文化されている。

法律に裏付けられているので、娘の学校でも教員たちはとても敏感です。

インクルーシブを進める目的もとても明快です。

· 「障害児を他の集団から取り出して個別に教育を行うよりも、その集団から隔離されることによる阻害化などのマイナス面の方が大きいことが明らかになり、障害児の発達のためには健常児集団の中で普通の関係を築けるようにするという基準が置かれた。」

【基準】
「身体的、精神的、感覚的な障害など、全てのハンディキャップの基底には、コミュニケーション病理、つまり、適切な方法により他者へ意思を伝え、他者からメッセージを受け取るという、あらゆる人的、社会的発展の前提たるコミュニケーション的統合に必要となる能力の欠損がある。程度に差こそあれ、およそ全ての障害児に見られるコミュニケーション能力不足は、同様の問題を抱える状態にある児童と一緒に隔離していたのでは発達しないのであって、彼らが元来持っている僅かな能力を刺激することのできる健常な同級生に囲まれる環境にあってこそ、有益な発達が可能となるのである。」

子どものために何をすればいいか、子どもたちのためにいいことが社会のためになる、という考えがすべての人で共有できている社会。もちろんクラスの少人数制や、複数教員の配置、支援員の制度、もともとイタリアの人々が持っている文化や宗教観、フレキシビリティーやヒューマニティーがあってこその教育制度改革だったろうと思いますが、インクルーシブ教育を取り組み始めてすでに30年以上という歴史は大変重みがあります。中学校や高等教育(大学も含む、知的障害者も含む)においても、イタリアの制度と姿勢、覚悟は一貫しています。

調査報告書の最後には、おわりにとして、このように書かかれています。

「実は、イタリアは1987年に国連で障害者差別撤廃条約を提案しているが当時は反対多数で却下されたという経緯を持つ。イタリアは国連やEUの規定内容を国内で着実に実体化した国であるといえる。
 だが、実態を見ると、近年の教育予算の削減や市場化を取り入れた教育改革の中で、支援員の配置時間数が減少されるなどの影響がみられる…中略…そのような中でも、イタリアは普通学級におけるインクルーシブ教育を分離教育へ転換することはないであろうと思われる。現状に対する批判・不満の背後に「イタリアのインクルーシブ教育制度に対する誇り」が強く存在していることを感じるからである。」

きっと内閣府の職員も調査を担当された研究者も、感動されたことでしょう。こんなことが実現できるのだと。

日本も今すぐにではなくても、真の意味で共生社会となり、世界に通じるインクルーシブ教育の実践国を目指してほしいと願っています。

私も、小さな取り組みですが、娘が学校に行ってる間は今まで通り、気になるところを学校に言い続けることをしていきたいと思っています。






島国、単一民族、鎖国の歴史、優性思想、

よそ者や、自分たちとは違った文化や風習を受け入れにくい風土、

長年営々と続いたきた分離教育の流れ、物の考え方、

日本の社会や教育の中に、真のインクルージョンが受け入れられることは、決してたやすいことではありません、


理解していただければ、ほんの当たり前のことが、

こと具体論にとなると、遅遅として事は前に進まず、右を向いても左を見ても、ぶち当たるのはどでかい壁ばかり。


だからこそ私たちは、子どもたちと心のつながった支援者の一人として、今の時代に生きる者としての使命を果たすべく、この歩みを一歩でも前に前にと進めていきたいのです。

それが、この子と出会った者として、生きていく証になるのだと考えています。


今は、京都の小学校に通うこの子も、夏を過ぎればまた、しばらくイタリアの小学校に通うことになります。

私の個別指導は、クラスの中にしっかりとした学びの基盤があればこそ、初めて生きるもの。


これからも私は、ご家族とともに、生涯この道で戦い続ける自分でありたい、

子どもにとっての大切な学びの時間は、決して2度と、戻ってくるものではないのですから。









FB-f-Logo__blue_58.png Facebook

にほんブログ村 教育ブログ 特別支援教育へ

↑ 大切さを全国に伝えたい! 応援の1クリックを よろしくお願いします。
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://shinobu1.blog117.fc2.com/tb.php/1976-3286c8b8
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
大切さを全国に伝えたい
Author:SHINOBU
今までにご覧いただいた方
 

百万アクセスまでがんばりたい

カテゴリ
最近の記事
月別アーカイブ