真心を込めた担任の先生の美しいかかわり (通常学級での特別支援教育)
2008-06-08
昨日、Aちゃんのお母さんがご相談にみえられました。発達面の課題はありますが、通常学級に楽しく通っているAちゃん。「通常学級を選んで本当によかった。こんな形での指導を続けていただけたら、どんなにうれしいことか」とお母さんに言わしめた、担任の先生の真心のこもった そして、ていねいで美しい指導の工夫とは・・・この先生の以前のエピソードは「担任の先生、そして支援の先生に感謝・感激!(2008-04-19)」に書いていますので、今日はその後日談になります。
ちょうど1年くらい前、Aちゃんとお母さんと私とで、幼稚園のことばの教室に行き、語彙発達検査を受診しました。
その時は、「言葉が出ない」「言葉の理解が遅い」「コミュニケーションがむずかしい」など、言語面の課題が中心でした。しかし、今は言語面では信じられないような進歩がみられました。当時のことがずっと昔のことのようにさえ思われるくらいです。
特別支援学級への入級を強く勧められていたこともあり、小学校入学の際は、「どれくらい集団に適応できるのだろう?」「保育園とは違う新しい環境に、本当に適応できるのだろうか?」と、期待もさることながら、不安いっぱいのスタートでした。
入学式の前日、学校にお伺いすると、若くてやさしそうな女の先生が、入学式のことやクラスのことをとてもていねいに教えてくれました。
「ここが、Aちゃんの席よ」と教えてくださると、Aちゃんの顔は、いっぺんに満面の笑顔と変わりました。この瞬間から、この先生は、きっと世界で一番大好きな先生となりました。
しかし、しばらくすると、いろいろな出来事が起こり始めました。
・ 席に着けない
・ 教科書をやぶる
・ 物を投げる
・ 急にいなくなる
・ 女子トイレに入る
・ ルールや順番がわからず、トラブルが起こる
・ 友達にけがをさせる などなど
学童保育に来ているので、同じクラスの子から情報は次々と入ってきます。
「どうして、女子トイレに入ったの?」
「・・・・」
「もしかして、○○ちゃんのこと好きだったの?」
「うん」
「いくら好きでも、男の子が女子トイレに入ってはいけないんだよ。わかった?」
「うん」
「○○先生のことも好きなんでしょ?」
「うん」
「いけないことをすると、○○先生も困るんだよ。それでもいいの?」
(強く首を横に振る)
「女子トイレにはもう入らないと、約束できるかな?」
「うん」
「じゃあ、指切りだね」 (とある日の私とのかかわり)
こんな日が続き、さすがにお母さんも少々お疲れ気味になってきました。
しばらくすると、「Aちゃんは休み時間に勉強している」という情報が入ってきました。
子どもの言うことなので、どういうことなのかと思っていたら、昨日のお母さんの話では、この素敵な先生は、休み時間に1対1での個別指導を始めてくださったということです。
たとえわずかな時間であっても、気絶するほど多忙な1学期の1年生の日常の中で、こうした個別指導を行うのは容易なことではありません。
連絡帳をみると。そこには先生との約束事が数項目書かれており、ごほうびのシールも何枚か貼られていました。
こうした個別指導が始まってからは、指示や勉強の方法がわからなくなったときも、物を投げたりすることが少なくなってきたと聞いています。
こんな方法もあるんですね。
このクラスの子どもは、みんなその先生が大好きです。一人一人の子が、みんな自分が先生から受け入れられていると感じているから、こうした特別な指導をしても、みんな文句を言いません。この先生と同じようなまなざしで、Aちゃんを応援してくれています。
だんだんとAちゃんも、学校でしていいことといけないことが具体的に理解できるようになってきました。それよりも何よりも、この先生のことがますます好きになっていきます。
トラブルは多いですが、表情も活動も日増しに生き生きとしています。言語の発達にも加速がつき始めました。
お母さんに聞くと、以前は家では任天堂DS(携帯用ゲーム)ばかりしていたようですが、このごろはまったくしなくなったそうです。
土曜日は、一日学童保育のみんなといっしょに保育園で過ごします。
昨日は、袋3つに大好きな車のおもちゃいっぱいもってきました。
勉強も予定通りしましたよ。その後は、お店やさんごっご・自転車のり・かくれんぼ・おにっごっこ、そして持ってきたおもちゃで、友達と遊ぶ遊ぶ。これで、コミュニケーション力、つかない方がおかしいというくらい遊びます。元気いっぱいです。
先日、この小学校の運動会がありました。
見に行くと、1・2年生の表現運動の全体指揮を、この素敵な先生がされていました。1年生の6月の運動会、しかもAちゃんのいるクラスの担任をしていて、1・2年の合同体育のリード役。
さすがの一言です。
お母さんは、「担任の先生が、クラスの一員として、しっかりと受けとめてくださる、そのことが何よりもうれしい。どんなことよりも、そのことがうれしいし、ありがたい」と、何度もおっしゃってお帰りになりました。
以前は、「できれば個別にサポートしてくれる先生を」とおっしゃっておられましたが、今では「これで十分です。これ以上のことは望みません」とおっしゃるようになりました。
担任の先生には相当なご苦労をおかけしていることと思います。
でも、この先生のご苦労に支えられてスタートしたこの子の小学校生活は、きっと将来にわたるまで、心の拠り所となる大切な営みとなっていることでしょう。
この先生のご苦労は、この子の心の中で、生涯生きて働き続けていくことでしょう。
この先生の、真心を込めた美しいかかわりは、決して無駄にはなりえない大切な営みであると、私はは考えています。
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