言語指導のダイナミズム

 2012-08-25
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今からもう20年以上も前になります。

私は、脳性マヒのお子さんを通常学級の担任として迎えることになりました。

当時はまだ、特別支援教育が制度化される前で、支援員さんも付かず、直接には、担任の私一人で学級運営を進めていました。


担任をさせていただく際には、校長先生から直々にていねいな説明を受けました。

当時、県の校長会の会長をされていて、教育的見識も、指導性にも絶大な信頼を寄せていた校長先生でした。


後に教頭先生から、こんなお話を伝え聞きました。

担任決定の際には、間髪を入れず即答で 「ここはSHHINOBU先生」 と指名してくださったとの事です。


この子が来てくれたから、私は栄誉ある1年生の担任になれた、

私は、そんな気持ちで一杯でした。


脳性マヒのお子さんでしたから、歩行や教室移動など、日常生活麺での課題もたくさんありました。

でも、私には、苦労をしたという記憶はほとんどありません。

あるのは、その子の笑顔と、仲間としてそれを支えた、クラスのみんなの一体感だけでした。


「ピーマン」 がシンボルマークの1年3組、

給食当番の時、困った時などは、誰ともなく、いつも支え合うお友達の姿がありました。

運動会はビリでしたが、その応援の旗の 「ピーマン」 は、みんなの宝物になりました。

そのことが、かけがえのない大切な思い出として、今でも心に焼き付いています。


その1年3組で、研究授業をしました。

「くじらぐも」 という国語の授業です。


「もっと高く、もっと高く」

「天までとどけ、1・2・3」

教室の真ん中で、全員で手をつなぎ、一斉にジャンプしました。


何という一体感であったことでしょう、

多くの先生方のあたたかい視線に見守られながら、私は、本当にクラスのみんなと空へ舞い上がったような気持ちになりました。

私にとっては、20年以上の教員生活の中で、間違いなく最高の授業の一つとなりました。


あの子がいないクラスでは、決してこうはならなかったことでしょう。

私の心の中にあるインクルーシブな授業の原点は、こんなところにあるのです。



教科書に書かれた文字は、まず認知できたり、音声化したりできなければなりません。

視覚性の認知力が弱い子には、聴覚性の言語を中心にしての二系統同時刺激で、

逆に聴覚性の入力が弱い子には、場の状況をフレームで切り取ってやって、そこに言語を集約していくようなアプローチで、

それぞれの切り口から、言語を豊かなイメージの世界へと高めていくダイナミズムこそ、読解指導の面白さであり、大切さであると考えています。


このダイナミズムは、今の個別指導場面にも、脈々と受け継がれています。

この日は、就学前の男の子と、大型絵本を使った学習をしました。


「今度は、雲の中の展望台に着きました」

私が、場面の状況に合わせて、いろいろなお話をしてやります。

「あっ、ふね」

「トンネル」


子どもは、場面絵の中から、次々と自分の思いを言語化しながら、ふくらませていきます。

言語から、イメージへ、

くじら雲と同じような、読解のダイナミズムがそこにあるのです。


「聞く」 → 「話す」 → 「読む」 → 「書く」

言語の世界を豊かにしていくプロセスには、スタンダードな歩みがあります。


この子の場合は、明らかに聴覚性の言語や優位なので、やがては、その長所を生かしながら、文字言語との接点を豊かにしていかなければなりません。


お話のフィールドに入れば、

言語の海を泳いで行けば、

必ずや、体力が付き、足腰が強くなっていくに違いありません。


コミュニケーションも、言葉の指導も大好きです。


どんなに遅くとも、必ずそこにたどり着いてみせる、

その深く、静かで、力強い指導者のまなざしこそが、やがては子どもの可能性を切り開いて行くものと、自分に何度も言い聞かせているのです。



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