「早期発見・早期治療」はまちがいかも知れない!

 2008-05-19
「特別支援学級に入級したけど、来年度から通常学級に帰ろうかと迷ってる・・・・」

先週、あるお母さんからそんなご相談をいただきました。いつも真剣にお子さんの育ちに向き合っているお母さんだけに、その意味の深さを感じ、安易にお答えはできないと思っていました。

でも今、そのお母さんには次のようなことをお伝えしようと思っています。

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昨日、日本保育学会のあるシンポジウムでフロアからこんな意見がでました。

「私は長年、子どもの発達に正面から向き合ってきた。よかれと思って、その子にあった教育の場、その子にあった専門機関はどこかと一生懸命探してきた。しかし、やればやるほど、どこか心の中に本当にこれでよいのか?という疑問がもやもやとわき、いつの間にかぬぐい去れないものになった。しかし今日、重度の自閉症のお子さんの長年にわたる実践事例から、子どもがどのように学び、どのように育っていくのか?その原点にふれたような気がした。他の子どもと生活し、共に成長していくその大切さを、今こそ私たちは発信していく時期だと感じました・・」

「私もまったく同感です。専門機関・訓練機関に通う子どもには笑顔が少ない。しかし、今日の事例・晋平君の笑顔から、私たちは本当に大切なことは何かを感じとることができた。特に小さいときであればあるほど、集団のもつあたたかさが、子どもを育てるのではないか?その大切さに取って代わる早期治療のその中身はいったい何だったのか・・・」

「そうだ、その通り。わたしだけじゃなかったんだ」と、私は心の中で拍手をし、たぎるような熱い思いがこみあげてくるのを感じていました。

(発言の内容を冷静にメモしていたわけではないので、正確ではありませんが、私にはそのように聞こえたのです)

このことは決して、専門的な指導や特別支援学級の存在を否定するものではありません。むしろ、私はとても大切な存在であると考えていますし、その役割は計り知れないほど大きいと考えています。

しかし、子どもの居場所は、子ども集団の中にきちんと存在すべきであり、通常学級の担任は発達課題があろうがなかろうが、大切な一人の子どもとして、今まで通り、一人一人を大切にする教育、真心を込めたあたたかい保育を、自信をもって進めていけば、それでいいのではないでしょうか?

少なくとも、手当たり次第、何も考えず「早期発見・早期治療」がすべてであるような、安直で偏った主張にとらわれるような時期ではなくなったと考えます。

ちなみに、このシンポジウムは、広島大学大学院附属幼年教育研究施設の主催の自主シンポジウムでした。そのシンポジウムの指定討論者であった東北大学大学院・渡部信一教授は、その著書の中で次のような文章を示されています。

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障害児は「現場(フィールド)」で学ぶ―自閉症児のケースで考える (単行本)
渡部 信一 (著)  出版社: 新曜社 (2001/11)

◆育つ力は子どもたちの中で生まれる◆

特殊学級ではなく、通常の保育園や幼稚園、小学校で学ぶ、障害を持った子どもたちが増えています。指導者の専門的な働きかけよりは、子どもたちの中で学ぶということの効果が見直されているのです。しかし、先生方からは、「障害児教育の訓練も経験もないのに、いったいこの子たちに何をしてあげればよいのか」という悩みが数多く聞かれます。親たちも不安や疑問が絶えません。本書は、自閉症のケースをつぶさにとりあげながら、子どものなかで学ぶとは、実際にはどんなことなのか、なぜ、それが効果があるのかを、丁寧に見てゆきます。読み終えた後には、きっと悩みや疑問に対する答えが見つかるでしょう。著者は、東北大学教育学部助教授。

◆本文紹介◆
これまでの障害児教育には、ひとつの原則がありました。個々の障害の特徴や障害の行程を考慮し、専門的な知識にもとづいた効果的な指導を、ひとつひとつ丁寧に、そして系統的に行わなければならない、というものです。今までずっと、この原則にしたがって教育が行われてきて、それなりの障害改善という実績を上げてきました。しかし、最近、学会や保育・教育の現場において、これまでとは少し違った考え方で子どもたちを育ててゆこうとする風潮が現れてきました。指導者の専門的な働きかけよりは、子どもたちの中で学ぶということの効果の方を重視しようとする考え方でです。…中略…
自閉症と診断された5歳の男の子、太郎。保育園に入園し、普通児の中で生活しています。
 私が保育園を訪れた日、彼は運動会の出し物である「太鼓踊り」を皆と一緒に練習していました。保母によれば、その日が練習初日とのこと。
 なんて上手に踊っているんだろう!
 私は、太郎が皆と一緒に踊っている様子を見て、そう思いました。私の目の前で踊っている太郎は、大学の訓練室で出会う彼とは別人のように思えたのです。…中略…
 《保母と一対一だったら、こんなに上手には踊れないに違いない。このざわめきこそが、太郎を上手に踊らせているのだ。大人ではなく子ども同士、一人ではなく大勢、これこそが太郎を上手に踊らせているのだ。》
 
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2001年の出版なので用語は古いですが、この時期に、この指摘はご立派です。これから少し、著書を真剣に拝読させていただこうと思っています。



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コメント
SHINOBU先生 すっかりご無沙汰しています(汗)。

早期発見・早期療育は 私はとても必要だと思っています。早期療育はだいたい6歳前までのことで、6歳半に療育をはじめた息子は・・・早期療育ができていたら、いまは違った人生を歩んでいたに違いない。。。と思っています。

小さい頃は、振り分ける必要があるのだろうか?と私も思います。
普通にみんなと遊ぶ中でわかることもたくさんあります。でも「ただノーケアでつっこむ=統合教育」では いけないと思っています。
そこに 理解者+支援者がいることが大切で、コーディネートすることの大切さを感じます。
そして、保護者は 幼稚園の先生で指導の仕方を学んでいる先生や 専門の知識のある先生のもとで「早期療育」を家庭にも取り入れて頂きたいと思います。家庭での療育は 毎日の5分から10分で できることの繰り返しです。

米国では「専門家に任せて療育するのが良い。母親は指導しない方が良い」とされた時期もありましたが、現在では「母親が関わって療育をする効果の高さ」が評価されてきているとも聞いています。

療育・教育には いろんな考え方があります。子どもの人生を「選択」するのは「親」なのだということを忘れずにいれば良いのでは・・?と 思うようになり、アドバイスは専門家(専門教育機関)から頂いてくださいね・・・とお話しています。

・・・インクルージョンと特別支援教育と統合教育(全くの支援無しで入れる方法)は日本では微妙に違う使われ方をしていますので、ご注意くださいませ・・・。
【2008/05/23 17:24】 | マドンナ #CFnWuolQ | [edit]












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