どうして子どもは問題行動を起こすのか?(応用行動分析・PBSの立場から)
2008-05-09
連休明け、どうも私の周囲では、あちらこちらからいろいろな面で、教室などで息切れしかかっているお子さんがいるようです。応用行動分析の理論に基づいたPBS積極的行動支援(positive behavioral support)の手法は、一見ややこしいように見えますが、これほど単純明快で、わかりやく、実効的な理論は他にあまり例がないのではないかと私は思っています。
ちょっと大きな本屋さんの特別支援のコーナーには、かならずある緑色の本「子どもの視点で考える問題行動解決支援ハンドブック」 ロバート・E・オニールら著 学苑社 はいつも私の手元にあって、何度も何度も読み返しましたし、保育園で起こる様々なトラブルも、このシートをアレンジして分析すると結構いろいろ見えてきます。私は、実際にいくつかのケース会議で使用しています。
今日はその中から、「問題行動を維持している結果事象の定義」を中心に紹介させていただこうと思います。
子どもが、問題行動を起こす理由を、大きく分けるとしたらこの2つです。
1つは、欲しい物を獲得する(快刺激の獲得)です。
問題行動(例えばだだをこねる等)をすることによって、自分自身の内部の快刺激(内的な興奮・エンドルフィンの分泌)や相手のほほえみ・抱きしめ・しかめっつらなど様々な人からの注目を得たり、場合によっては食べ物やおもちゃやお店に連れていってもらえたりします。
だだをこねて、こんな快刺激を得ることができると味をしめれば、何度でも子どもはそれを行います。あたかも、イルカやアシカが芸をして、えさをもらっているようなものです。
もう一つは、不快刺激からの回避です。
問題行動を起こすことによって、自分の内部のいやなことから一時的に逃れることができます。例えば、眠くてたまらないときに、大声を出したら眠さは生理的・一時的に回避できます。
また、やりたくない課題があったら、大暴れすれば、しかられますが、その課題を結果的にしなくてすむわけです。それがねらいならしめしめです。おまけに、怒られることは、案外子どもの内部では快刺激になっていることも多いようです。
また、人から注目されたりすることが嫌な子の場合、問題行動を起こすことによって、その人からの注もを結果として逃避できることがあります。不快刺激からの回避とは、こういうことです。
では、こうした問題行動を起こさないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?
方法はいくつかあります。
まずは、問題行動が起こった時に、快刺激を得たり不快刺激からの逃避をさせたりしないということです。簡単に言えば、無視をすることです。おこったりもなだめたりもしないということです。イルカにえさを与えなければ、芸をしなくなるという論理です。
次は、よい行動、望ましい行動をしたときに、その子にとっての快刺激をうんと与えるということです。つまり、「不適応行動をしても、ちっともいいことも何にもない」と、行動を通して子どもに体感させることです。
いきなりここへ行かないことも多いでしょうから、その場合は、まずは「せめてこうしなさい」という妥協案(PBSでは代替行動と言います)を示して、できたらほめるということです。例えば、「がまんできないときは机をたたくのではなく、席を離れてもいいから、この場所で過ごしなさい」と指導したりすることです。
クールダウンするなどの、時間的・空間的な配慮も必要でしょう。
しかし、これはあくまで代替行動・一時避難であるので、より望ましい方向(例えば自分でそういう時にすべき課題を用意して、あとで先生にきちんと告げるなどでしょうか?)を示し、指導し、評価することが大切です。
また、細かい面で言えば、きっかけとなる事象(例えば急な予定の変更・騒音・睡眠不足・わかりにくい課題の提示・不公平感など)は、できるだけ事前に取り除いておく必要があります。このことは、「セッティング事象・直前のきっかけ」と翻訳されています。
とまあ原理はだいたいこんな感じです。しかし、いろいろな背景や要因が複雑に絡み合ってる現実の中で、その事象を整理したり分析したりするのは、かなりの力量が必要です。
しかし、それができさえすれば必ず解決の方向性が見つかると思えば、結構気持ちは楽になるし、底なし沼から脱出するための細いロープくらいの役割は果たすのではないかと思います。
↑どうかランキングも見てやってください。はげみになりますので,ご協力よろしくお願いします。


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