人を育てる
2017-08-31

私は保育園の園長ではありますが、子どもの育てについては、いつも一人の実践者として保育士に助言・指導するように心がけています。
当面は園の運営については、細かいことをちょこまか突っつくようなことはせず、保育士では出来ないこと、自分が園長とすべきことは何かを考えて、保育士さんが夢と誇りをもって、子どもの育てに力を尽くせるような体制を作っていくことに主眼を置いた経営を行うつもりでいます。
その上で、私自身が実践者としての夢をもち、見本となって、子どもたちのためにどんどん新しいことにチャレンジしていこうと願っています。
昨日、保育士の処遇改善に関わる説明会に出かけました。
処遇改善にかかわる事務手続きは、決して安易ではありません。
でも私は、その額がいくらであっても、それがわずかでも懸命に子どもに向き合う保育士さんのためになるのなら、喜んでその仕事に力を尽くしていきたいと思っています。
私が教育に対してどんな願いをもっているか?
保育運営をどんなふうに自分の中で位置づけているのか?
自分の名誉や利益のために事業をするのか、子どもとご家族のために力を尽くすことに誇りをもって生きていくのか?
どんなきれいな言葉を並べるより、その後ろ姿を見て、保育士さんに何かを伝えていきたい。
軸をぶらさず、笑顔で、大変なことを普通にやってこそ、それが真のリーダー、
そういう気持ちで今の仕事に打ち込めることが、私の幸せ。
次の一歩を大きく踏み出していくためにも、今の仕事をきちんと成し遂げていきたい、
夢と活気のある職場となるよう、主体者である子どもと保育士を、しっかり支えていきたい、
心からそう願っているのです。


実践から学ぶもの
2017-08-30

画像のおもちゃは、ホームセンターで目についたので、試しに買った新幹線のおもちゃです。
就学前の子どもが、プリント学習を終えたあとのお楽しみで、使えればいいなと思って購入しました。
レールのつなぎ方については、箱にサンプルが図示されてあるので、それを参考にどういう順番でつなげば完成するかが、小さい子でも分かるようにと、シールで番号をつけておきました。
こうすれば、子ども自身の手で、レールがつなげると考えたからです。
何人もの子どもが、そのシールをたよりに、パノラマ遊びを楽しむことが出来ました。
ところが、ある子どもが、そのシールを無視して、自分で勝手にオリジナルのつなぎ方をして、私を驚かせました。
こんなつなぎ方もあるんだと分かり、別のつなぎ方の参考になればと、そのときに出来た線路を写真に撮っておきました。
そのまた次のレッスンのことです。
今度もその子は、前回とは全く違うつなぎ方で、あっという間にすべてのピースを使い切って、パノラマを完成してしまいました。
そのつなぐ様子を食い入るように見ていた私は、あっと声をあげ、その線路を完成するための法則を学ぶ事が出来ました。
なるほどこの法則さえ押さえておけば、何十通りだって、その組み合わせは可能となります。
この子は、きっとその法則を言語化しているわけではないはずです。
きっと似たような電車のおもちゃで何回となく遊んだ豊かな体験があるのでしょう、
これまでの体験をもとに、感覚的・視覚的にいとも簡単に線路をつなぐことができるのです。
箱に図示されたつなぎ方は、そのうちのたった一つのつなぎ方に過ぎず、シールの番号でつなぐつなぎ方は、初心者中の初心者のレベルにしか過ぎません。
これもそれれも、やってみないことには、何一つ前に進むことは出来なかったはずです。
この日のレッスンでも、プリント学習が終わった男の子に、この新幹線のパノラマで遊ばせてみました。
その子の何と、うれしくも満面の笑みを浮かべたことでしょう。
こんなことは、どんなむずかしい療育の本を見ても、学ぶことは出来ません、
真に子どもの心をつかむ、生きた教育とは何なのか?
私たちがもう一度見つめ直す、大切な視点の一つは、きっとこんなところにもあると信じているのです。


やっと人に伝えられるところまで
2017-08-29

4月から、新しくインクルーシブ教室でレッスンを受けてくれるようになった女の子がいます。
最初は緊張でガチガチで、お母さんにしがみつくような感じて教室に入ってきました。
でもレッスンが始まると、その様子は劇的に変化し始めました。
2回目にはもう、次のレッスンが楽しみだと言うようになり、その緊張感も和らいできました。
そして、今日のレッスンが何回目になるのでしょう、
当初はぎゅっと閉ざされた口元は笑顔でいっぱいになり、絶えるこののないおしゃべりや笑い声、
決められた時間内、一度も集中力が切れることなく、終始弾むような感じで、あっという間にレッスンが終了してしまいました。
遊園地に行くより、おいしい物食べに行くより、SHINOBU先生の所で勉強したい、
こうしてまた、個別学習を通して結ばれた、深い信頼の絆がここにあるのです。
土日の新大阪でのレッスンでは、3名も新しいお友達が、新しく私のレッスンを受けに来てくれました。
↓ そのうちの、一人のお母さんより、下記のような内容のメールをいただきました。
SHINOBU先生
先日はお忙しい中、レッスンをありがとうございました。
最初は娘も緊張していたようですが、とても楽しいレッスンだったようです。
帰り道や眠る前に、
「あ~、今日は楽しかった~!
また行きたいなぁ!」
と何度も言っておりました。
こんなに笑顔一杯の娘は久しぶりです。
本当にありがとうございました。
次回を心待ちにしております。
今後もよろしくお願いいたします。
残暑がまだまだ厳しい折、どうぞお体にお気をつけください。
何の技術も経験も無く始めた、全くオリジナルな個別学習のスタイル、
マニュアル的なものは一切使わず、子どもの目の色と体温を肌で感じながら、毎回その子のための教材を一から用意するライブなレッスン
年間20,000以上の実践を積み上げて、ほどなく10年、
その私が始めた個別学習のスタイルは、ここに来てようやく、若い先生方へと伝えることの出来る一定のレベルに達してきたような気がします。
次に私がなすべき大切な役割、
そのことをしっかりと見つめながら、小さくとも大切な次の一歩を、しっかりと踏み出していきたいと、強く願っているのです。


まっすぐな子ども
2017-08-28

毎週月曜日には、私が園長をしている保育園で、朝子どもたちにお話をする時間があります。
わずか5分足らずの時間ですが、普段園外に出る事が多い園長ですので、私なりにこの時間はとても大切にしています。
地域型の小規模保育園ですので、0歳から3歳までの子どもたちが通ってくれています。
本当にすばらしいことに、私がお話をする数分間は、子どもたちは微動だにせず、0歳の赤ちゃんに至るまでしっかりと私の目を見て話を聞いてくれます。
もちろん、言葉を言葉としてまだ理解出来ていない子もたくさんいるはずですが、そんな子ほど、その言葉に込められた私の思いをダイレクトに感じ取ってくれているのです。
こんな私でも、子どもたちは園長先生として、特別な思いで信頼を寄せてくれています。
それは、ここで働いてくれている職員も同じことです。
この期待と信頼を裏切ることだけは、どうしても私にはできません。
保育園の園長には、法的にも社会的にも、かなりの権限と責任が付与されています。
ここにいてくれる限り、私はご家族の信託を受け、ご家族に代わり大切なお子様をお預かりしている当事者となるわけです。
それぞれのお子さんに、それぞれの、かけがえのない命とその輝きがあるのです。
その重い責任を、しっかりと受け止めていく覚悟と決心、
その愛情と使命感があればこそ、子どもは私の目を見て話を聞いてくれているのです。
生きることと伸びることにまっすぐな子ども
そして愛情豊かなまなざしで、いつもその子を慈しみ育むご家族、
何よりも幸せな時間は、きっとそんなところから醸し出されていくのです。


恐怖を払いのける
2017-08-26

通っている保育園のお休みの時でも、SHINOBU先生のマンツーマンだけには必ず行く、というお子様が何人もいます。
ご旅行の予定があっても、SHINOBU先生のお勉強があるからといって、早めに旅行を切り上げたという話も何度も聞きました。
SHINOBU先生の勉強がある日は、朝からまだかまだかと何度もせかされるので、出発ぎりぎりの時刻になるまで知らせない、というエピソードも複数の方からお伺いしました。
中には学校の先生のお子さんも何人もいらっしゃて、私のレッスンを食い入るようにご覧なって帰られるお母さんも何人かおられます。
当然の参観、レッスン公開など日常茶飯事です。
本当はそんな時、正直逃げ出したくなるのが本音です。
でも、逃げていてははだめなので、ピンチはチャンスとばかりに、いつも開き直り、奮い立ってその場に立ち向かうようにしています。
この恐怖から、逃れる唯一の方法、
どんくさく、不器用な私にとっては、人の3倍の努力と実践の積み重ねしかないと考えています。
自分にとっての限界までやりぬけば、結果それで仕方が無い、
そういう割り切り方で、その恐怖を払いのけるのです。
そうやって私は、ここまえ来た。
私は凡人、ただの人です、
だからこそ、人の3倍の努力なくして、この恐怖から逃れることなど決して出来ないのです。


教育は人を変える
2017-08-23

なかなか行動のコントロールがとりにくく、静かに着席することが出来にくい小学生の男の子がいました。
お母さんが、ぜひともSHINOBU先生のマンツーマンレッスンを受けたいと、お申し出をいただいていましたが、当初は床に寝そべったり、大きな声を出したりしていて、もう少し落ち着いてからと、ずっとお断りしてきました。
そこを何とかと、すがるようにおっしゃるので、とうとう私も観念して、スケジュールの隙間をこじ開けるように、そのこのレッスンをお引きすることにしました。
ところが、レッスンを重ねていくうちに、大きな変化が次々に現れてきました。
鉛筆で書かれた文字を見れば、記入枠の中におさまる文字は書けず、そのつもりで見ない限り何を書いているのか判別不能でしたが、よくよく見れば設問に対する答えには、ちゃんとなっている。
九九にしても何にしても、書かれた文字は雑であるけれど、それは文字が極端に雑というだけで、その部分を差し引けば、結構な理解度を示すことがわかってきました。
おまけにこの子は、向上心が強く、学びたがっている。
ならば、書字の部分については、少し長い目でみてやって、書字以外の部分、いわゆる理解の内容について、適切な課題を設定して、きちんとした評価をしてみよう、
私は、そんなふうに考えるようになりました。
昨日やってきたその子は、大好きなアンパンマンのフィギュアを提示しても見向きもせず、静かに着席して、すぐに学習を始めました。
相変わらず字は雑で、所定の枠の3倍くらいの大きな字でしか書けませんが、よくよくみるとその字の正確さは徐々にブラッシュアップされてきて、結構きれいに書けている文字も、だんだんと増えてきました。
予定した教材をすべてやり遂げ、その間、離席をすることもなければ、大きな声を出したりすることも1度もありませんでした。
15分でもまともに学習できればと思っていたところが、その倍以上、一度も集中力を切らすことなく、学習に取り組むことができました。
私は、その子との間に、あたたかい信頼の絆が結ばれ始めたことに気がつきました。
何日か前まで、大きな声を出して着席も出来ず、廊下に寝っ転がっていたあの子かと思うと、教科の学習の充実感が、これほどまでに子どもの行動改善に大きな影響をもたらすことを目の当たりにして、教育実践者として身震いをするような感動に包まれました。
母がなぜ、あれほどまでに、何度お断りをしても、私のとのレッスンをずっと希望してくださったのか?
やがてこの子は、きっとなくてはならない私の宝ものとなることでしょう。
学びを通して子どもは、単なる知識以上に大切なものを培っていく、
その営みを、決して見失ってはいけない、
その大切さとむずかしさを、この母子は、しっかりと私に伝えてくれたのでありました。


そこにある学び
2017-08-20

この夏、ある女の子が手術を受けました。
毎月1回レッスンをさせていただいていますが、7月のレッスンはお休みになりました。
その女の子の手術は無事成功しました。
その間、私は気が気ではありませんでしたが、あえて特別なことはしないようにしました。
8月もレッスンはお休みの予定でしたが、「本人がぜひレッスンを受けたい」とのことでしたので、「どうぞお越しください楽しみにお待ちしています」とお伝えしました。
すると「SHINOBU先生,ご連絡ありがとうございます。本人満面の笑顔です。絶対行きたい。早く帰る!と頑張った甲斐がありました。ご指定の日に伺います。よろしくお願いいたします。」 とすぐに返信が返ってきました。
当日、その子を迎える時間になると、私はなぜかのどがカラカラになってきました。
よくぞ無事でまたここに帰ってきた…
高まるような気持ち、抱きしめてやりたいようなを懸命に抑えながら、いつもと同じような笑顔で、努めてその子を迎えてやろうと決めていました。
小学校から通ってくれているこの子は、もう高校生になりました。
当時文字を読んでもイメージ化できなかったこの子が、「三枚のおふだ」を読んだときに、突然けらけら笑い出した日のことを、私は生涯忘れることはできません。
その子とは今、森鴎外の高瀬舟を学習するまでに成長しました。
学習を通してこそ、その子と深く心がつながっていく存在、
教材なくしてつながる師弟の関係などどこにもない、
学びを通した成長無くして、子どもの自尊心は決して培っていくことはできない、
子どもの前に立ったとき、私は初めて、子どもに命を吹き込まれていくのです。
相互に育つ美しい教育的な信頼感、
他では代えることのできない大切な何かが、きっとそこにはあるのです。


大きな一歩
2017-08-16


保育園の一時保育の中に入り、サーキットを頑張っているダウン症男の子がいます。
発達支援センターの赤ちゃん体操にも通ってくれていて、独立歩行まであと一歩というところですが、先生に手を引かれながらも、みんなと一緒にサーキットに取り組んでいました。
こうした中では、活動の場の構成がしかりとしているので、多くの子どもたちの輪の中で、いつも以上に活発に取り組むことができています。
給食が終わり、通所支援の教室に戻ると、担当の先生とのマンツーマンの活動が始まりました。
その子は先生の目の前で、どうだと言わんばかりに、何度も何度も立ち上がってみせてくれ、それを見ている私たちには、都度都度に熱い思うがこみ上げてきたのでした。
独立歩行は、単に運動機能の発達に寄与するだけではなく、その子の知的な発達に多大なプラスの効果をもたらせてくれます。
もちろん、歩けないけれど知的な学習がぐんぐんと進んでいる子もいます。
その上で、その子が一人で歩けるようになってきたと言うことは、その子の中で、教科学習に通じる知的なレベルの、多面的な力が備わってきたことを意味するのです。
何かが出来るその小さな一つ一つの積み重ねの中にこそ、未来につながる大切な種が、きっとぎっしり詰まっているのです。
子どもの可能性は無限です。
その可能性を信じて、土を耕し、しっかりと種をまいていくことの出来る実践者。
私たちの目指す教育の形が、きっとそこにあるのです。


技術を伝える 心を伝える
2017-08-14


今では大阪和泉市でレッスンをさせていただいていますが、大阪堺市に出張レッスンに伺うようになってから、かれこれ8年くらいになります。
あの日、3歳くらいだった子も、もう5年生になりました。
この日は小学校の先生が2名、私のレッスンを参観しに来てくださいました。
45分のレッスン中、一度も集中力が切れることなく、向上心満々のすばらしい学習ぶりでした。
私のマンツーマンレッスンは、当該学年の題材を使って、その子が生き生きと取り組むことができるように、提示の仕方であったり、内容の焦点化であったり、その支援のあるべき形を、実践を通して具体的に明らかにしていくことが、大きなねらいの一つになっています。
レッスンが終わった後、ほんの15分程度ではありましたが、この日準備した教材などのポイントについて、先生方にお伝えさせていただきました。
さすが休日返上で、ここにお越しくださった先生ですので、お二人ともとても研究熱心な先生でした。
拙い実践ではありましたが、何か一つ大切なことをお伝えできたように思え、とてもうれしい気持ちになりました。
↓ この日もご両親でレッスンをご覧いただきましたが、レッスン修了後には、以下のような内容のメールをいただきました。
昨日は丁寧なご指導いただきありがとうございました。見学に来られた先生方も大変喜んで下さいました。
娘の将来の為や私達親の思いを学校の先生方の気持ちや立場を理解して優しくアドバイスされているSHINOBU先生の姿を見て私も大変勉強になりました。
私達の思いをとてもわかりやすく熱く代弁して下さり嬉しくて胸がいっぱいになりました。
この貴重な時間が娘だけでなく全ての子供達の為になってくれたらと心から思います。
本当にありがとうございました。
娘の記事をブログにアップして下さりとても嬉しく思います。
娘に見せると目をキラキラさせてSHINOBU先生と勉強している写真を何度も見ていました。
学校の先生方の心を動かすことができましたのはSHINOBU先生のお陰です。
この記事を読んで障害児やその家族そして教育に関わる方々の気持ちを変えることができれば幸せです。
これからもご指導よろしくお願い致します。
私が先生方とお話をしているとき、その子は神妙な顔で私たちの方を見つめていましたが、その話が終わるやいなや、私の顔を見て、小さなガッツポーズをしてくれました。
手応え十分の一日、
何て経とうがレッスンは、いつも子どもとの心のつながりがあってこそ、豊かになっていくものです。
その一番大切なことが、どうかお二人の若い先生方の心に響くものであってほしい、
その志さえあれば、きっと技術は日々向上していくに違いないのですから…


自作教材の威力
2017-08-07

画像の教材は、「ぽっとん落とし」 というネームの自作教材です。
ぽっとん落としにも、色々なタイプがありますが、この透明の容器のものが、私の教えている子どもには効果的です。
まずもって透明なので、中のようすが良くわかる、
軽くて扱いやすい、
子どもの視線を超えない適度な容器の高さ、
おまけに側面にも、もう一つ入り口がある。
市販の玩具に見向きもしない子でも、今のところ100%食いつき率を達成しています。
なぜそんなに楽しいのか、私にそれを分析したり、実証したりする力はありません。
しかし、それがどうであれ、今では私のアイテムの大切な一つになっています。
こうしたアイテムや引き出しがいくつあるか?
これまでの多くの子と培ってきた宝物が、こうしてまた次の大切な子どもたちの育てへと、脈々と受け継がれていくのです。

