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応用行動分析で子どもは変わる

 2016-01-12
先日、ある5歳の男の子がレッスン中にふざけて、きちんとした姿勢で学習に取り組まなくなりました。

ちゃんといい姿勢で学習しなさい、と注意してもききません。

さて、あなたならどうしますか?


「あれー、残念。 今日お勉強がんばった人にはドラえもんのまんが、一緒に読みたかったのになあー」

私が、つぶやくようにそう言うと、あらあら不思議、

それまでぐでぐでだったその子の姿勢が、急ににょきにょきっと良い姿勢になりました。


「さすが健太君、おりこうやなあー、先生はお勉強がんばる健太君が大好きだよ。 じゃあこれから一緒にドラえもんのまんが読もうなー」


見事に決まった私の1本勝ちです。

それまでこの子の対応に四苦八苦していた指導員が、私の対応を見て目を丸くしていました。


子どもには必ず内発的な学びの意欲があり、より望ましい自分に成長したいと願っている、

それが私の子ども観です。


それをしてなおマイナス行動をとるには、必ずその行動を維持させている要因がいくつかあるはずです。

それを瞬時に読み取り、それに代わるバイパス行動を提示し、更なる強化子を提示して、本来の自己実現に向かわせる。

それが私が応用行動分析を学び、実践で生かす論理のベースとなっています。


小学校の教員時代、同じ先生でありながらA先生にかかると魔法のようにいい子でいる子どもたちが、B先生の前ではぐたぐたの烏合の衆と化してしまう、

日常的にそんな光景を目の当たりにしながら、いったい何が違うのか、どこをどうすればその極意を会得できるか、ずっと模索していました。


そんな中、大学院で応用行動分析を学び、この応用行動分析の枠組みで、これまで起こっていた子どもの良い行動もそうでない行動も、すべてそのメカニズムを説明できると感じました。

今私は、どんな子どもであっても、時間的物理的な環境さえ与えていただければ、基本的に必ずずコントロールできる自信があります。


子どもは誰しも必ず良い子になりたいと願っているのです。

それが信じられなくなったら、その日にも私は教育の仕事から身を引く覚悟です。


そのことを心の芯から信じ、それを具体化できる技術を愛情と有してこそ、教育者に値する人物たると、私は考えているのです。





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応用行動分析を使いこなす才覚

 2015-08-13
先日、就学前のグループレッスンで、どうしてもある子の行動については、そのままにしておけないと感じました。

職員はこれまで、何度行動改善にかかわる対応の仕方については、論理的なことも、実践的なことも、継続的に学んできていますから、具体的なことについて、これほど緊急な対応を私のほうから求めたのは、今回が初のケースになります。


具体的な子どもの行動改善について、

1) その子が「なぜそんな行動をするのか背景や心理的なメカニズムを探ること 

2) その子がその行動を起こすことにより、何を求めたり、何を得たりしているかを明らかにすること 

3) その行動を引き起こすに至る先行要因を洗い出し、分析的に整理すること

4) より望ましい行動の第一ステップを具体的にどんなふうにイメージし、そうした行動を生起させるための先行刺激を具体的に準備すること

5) キーパーソンや担当、人的なシフトを見つめなおすこと

6) 望ましい行動ができたときの強化をしっかり行い、望ましくない行動自体を無意味化させること


「このくらいのことが出来ないようでは、プロの支援者としてのの資格はない」

私は、そのように職員に伝えましたが、うちの職員なら必ず解決できるという確信をもっての指示でした。

そして、その解決のプロセスを共有化することにより、チームとしての力量が一段と確かなものになっていくだろうと期待していました。


翌日のお迎えのとき、私は遠く離れた場所からその子のようすを伺っていました。

笑顔いっぱいにお母さんに抱きかかえられて、駐車場に向かう姿をずっと見つめていました。

前日とは打って変わった、輝く表情がそこにありました。


支援の方略や手順が明確で、目標の価値が高く、職員の意識がしっかりとしていれば、こんなにも早く結果が出てくるものかと、私の方が驚いたものでした。


現実に、子どもの問題行動が、その障がいのせいとすり替えらてしまうことは、悲しいかな多々あることです。

変わらなければならないのは、一体誰なのか?


支援者の力量不足を、子どものせいにされては、家族はたまったものではありません。

子どもにならない子どもの声を、しっかりとキャッチできてこそ、初めてそこから大切なことが見えてくるのです。







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子どもを育てていく一つの道筋 (トライアル&エラーの実際)

 2010-05-18
例えば、株で儲けようと思えば、「安い時に買って、高いときに売る」 ただそれだけのことです。

ところが実際にそのことができるなら、誰だって大もうけができるはずなのに、現実には勝利者は、ほんの一部の人だけです。

それだけ、実践はむずかしいということです。


私の指導のポイントを一つあげるとするならば、「最初に厚い支援 (先行刺激) を施し、達成感をもたせながら、少しずつそれをフェードアウトして、子ども自身の手でできるようにさせる」

たったそれだけのことです。

今の私は、このことだけで飯を食っているわけです。


しかし、言葉に置き換えればたったそれだけのことですが、現実の指導場面で実際に結果を出すことは、そんなにたやすいことではありません。

理屈でわかることを演繹的理解とするなら、実際の体験から身につくものを帰納的理解と呼ぶことができるのでしょうか。

その双方が、大切であると考えます。

単ある理屈ではなく、実践を通してそのことをお伝えしていこうというのが、このブログを始めた動機でもあるわけです。

理論だけではなく、生きた実践から見えてくるものもあるはずです。


例えば、パズルの嫌いな子がいたとします。

その中には、認知が苦手な子もいれば、手指の巧緻性が未発達な子もいます。


最初の頃は、それぞれの苦手な部分を補完するように、見えない神の手のごとく私が手助けをしながら、パズルを完成させるのです。

今まであんなに嫌だったパズルが、SHINOBU先生の教室ではできるようになるので、子どものモチベーションはそれだけで上がっていきます。

それを何回かさせていくうちに、その手厚い支援をだんだん減らしていきます。

そして、もう子どもの手で解決可能なレベルに来たなと思ったら、私は手を離し、子ども自身の手でさせるようにします。


先行刺激を活用し、自力解決できるこの頃合いが、ある意味命です。

私が手を離すと、ほとんどの場合、子どもはトライをして、失敗をします。

簡単に成功するくらいなら、手厚い支援はそもそも必要ないわけです。

実は この失敗こそが、子どもが育つ最も大切な時間であると、私は考えています。


ある子が、黄色いカラーボールを、まちがって赤色のところに差し込んでしまいました。

横でお母さんが指導の様子を見ていると、子どもが失敗すると見るに見かねて、すぐそれを修正させようとします。

お気持ちは、よくわかります。

でもその時、私は心の中で、「あ~、もったいない」 と叫んでいます。


もう1秒だけ待ってください。

私の判断に間違いがなければ、必ずその子は黄色と赤色のミスマッチに気がつき、それを自らの手で修正するはずです。

その1秒が待てないのが、親心です。


実は、この1秒の間に、脳内ではニューロンがニョキニョキとひげを伸ばし、シナップスを構成しようとしているのです。

この瞬間のために、私は何週間も支援を施し続けて、この時を待っていたのです。


失敗して、自力でそれを乗りこえたとき、さらに深い理解が生まれてくるのです。

指導をしていて、「よし、これでわかったぞ、本物になった」 と見えることがあります。

これぞ、待ちに待った感動の瞬間なのです。


支援してうまくいっている段階よりも、たとえそれが失敗だったとしても、子どもに試行をさせる段階の方が、はるかにレベルが上です。

そのステップの、最終局面に差し掛かったとも言えます。

このことを、「トライアル&エラー」 と言ったりもします。


子どもが失敗しても、自らの手でそれを解決するだけの力を育てなければ、それを克服し、学習することはできません。

そのために、どんなステップが大切で、どんな力をつけていけばよいのか?

そのことを 「課題分析」 と言ったりもします。

パズルでいえば、ある子にはそれが色の識別であったり、手指の巧緻性であったり、集中力の持続性であったり、言語的な認知力であったりします。

その子によって、あるいは発達の段階によって、そのことは千差万別で、絶えず変化をしています。

それに、子どもは日常生活の連続性の中で生きており、ここに来ているのです。

それを見る目が、指導者の力量と言えるのかも知れません。


本質をつかめばつかむほど、原理はシンプルになっていきます。

シンプルだからこそ、奥が深いし、むずかしい。

私の実践から、何か一つでも参考になることがあればと願っています。

へたくそな実践ですが、これからもずっとずっと皆様に情報を発信し続けていくつもりです。


たとえそれが二流であったとしても、私は子どもを育てる実践者であり続けたい。

これからも、どうぞよろしくお願いします。


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「すべての子どもに 集団での学びと 特性に応じた適切な個別指導の場を」




ABA(応用行動分析)の取り組みで情緒が安定する (就学相談に見えられたご家族の事例から)

 2008-12-24
今日、来春就学を控えられたご家族の方の相談を伺いました。

そのお子さん(5歳)にABA(応用行動分析)の手法で、毎日何時間か支援者の方のサポートを受けています。

その支援者の方も一緒にお見えになりました。

私がご家族の方にお話を伺っている間、教室にある絵本やおもちゃで、そのお子さんは遊んでいました。 (支援者の方が、上手にサポートしてくださっています)

おかげで1時間以上の相談の間、とても楽しく上手に過ごすことが出来ていました。

ふと表情を見ると、これがまたすばらしい笑顔で、めちゃくちゃかわいい表情です。

ちょうど先日、ある出版社から、情緒を安定させる効果的な指導の実際、という内容の原稿依頼を受けていましたので、思わずそのご家族と支援者の方に尋ねてみました。


>すばらしいお子さんの表情ですね~  お子さんの育ちは、表情に出ますよね~
>これ、ABAのかかわりが始まって、変わってきました
>と、言うと?
>前は、何か気に入らないことがあったら、物を投げていました。 それが要求行動のサインでした。
>ほう、それ代替行動に変化させましたね
>まず、コミュニケーションがとれるようになってきましたし、できたらほめる、の関わりで、物なんか投げなくても、ちゃんと望ましい方法で要求表現ができるようになりました。
>家族も、出来ないからそこを何とかしよう~ という発想から、できることをどう活用し伸ばしていこうか、そんな発想に変わってきました~
>支援者の先生、すばらしいですね~
>家族全員、ありがたく思っています、先生に任せるだけでなく、親としてもABAの考えをもっと理解し、活用できるようになりたいと思っています。

支援者の方は、ほぼ毎日3時間以上そのお子さんに関わっているということでした。

こうした環境は、どこの家庭でも実現できるということではないと思いますが、親としてすべきこと、考えなくてはいけないことの、何かの参考になるのではないかと思いました。

そのお子さんは、今年3月に手術を受けられ、大きな成長のチャンスを今、迎えているのに違いありません。


私のまぶたから、その子の笑顔が焼き付いて離れません。

お子さんの成長に前向きに取り組んでおられるご家族の姿にも、たいへん共感をおぼえました。

今回は、来年以降の就学についてのご相談と言うことでしたが、この子の今後の成長についても、ご家族といっしょに見守ることができたらうれしいな、って思っています。

ぜひ、よい小学校のスタートを切ってほしいと願っています。

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自閉症児のための ABA早期集中療育マニュアル (かれんちゃん・かれんママと一緒に取り組む第一歩)

 2008-10-20
かれんママに紹介してもらった  「自閉症児のためのABA・早期集中療育マニュアル つきみBOOK 藤坂龍司著」が、先日届きました。

私は、ABA(応用行動分析)のプロでもなければ、信者でもありません。

しかし、私がすばらしい先生だと尊敬する先生方の教育実践は、すべてこのABAの理論で説明できます。 先日、花子ちゃんのお母さんのいっしょに、音楽教室の先生にご相談に伺いましたが、この時も、このすばらしい活動をされている先生の、人間愛にあふれた活動も、すべてこのABAの理論で説明できると感じました。

だとしたら、自分の実践の基礎理論(軸足)は、ここに置くしかないと考えていました。


ところが、さすがに心理学ですから、論文となると難しすぎるので、これまでは同じ実践者の事例が書かれた本を何冊か手元に置いて、自分の実践を組み立ててきました。

ご自身が臨床心理士であるかれんママは、自分の子どもに応用行動分析の個別アプローチを早期に受けさせたい、その担い手として、私に期待したようです。

そのママが、これはすぐれたものです、と紹介してくださったものが、この本です。

ひとめ目を通して、これは来たな、と思いました。

この本一冊あれば、何度も図書館に行ったり、アマゾンで探したり、コストと労力を無駄にしなくて済みます。きっと手垢でボロボロになるまで読み込んで、自分のものにしていく営みが始まるような気がしています。


このマニュアルのベースとなっているのは、UCLAのロバーツ博士のEIBI(早期集中行動介入)の理論です。

早期(2~5歳)から、週40時間の1対1の介入を2年以上継続すると、実験グループ19人の平均IQが、62.7から83.3に向上しています。

私は、小学校1年生のお子さんを、特別支援学級で、マンツーマンで2年間指導した経験がありますが、この時も、知能検査を終えて学校に駆けつけたお父さんが、「先生、IQ値が信じられない位上がりました」を、高鳴る思いで、結果を伝えてきた日のことを思い出します。

IQ値、20位は上がりますよ。


かれんママが、あわてて私のところにやって来た気持ちも理解できます。 この気持ちを裏切るわけにはいかない・・・

かれんちゃんの指導は、来週から開始します。 モチベーションMAXです(笑) 

かれんママは、「論文書いてくださいよ」と言っていましたが、プレッシャーが楽しみに変わってきました。

この本の著者の藤巻さんの娘さんも自閉症なのだそうです。 研究者としてではなく、自閉症をもつ親としての熱い願いや思いが息づいています。

随時、経過はブログで報告するつもりです。 


かれんちゃんは、ダウン症です。 ABAのアプローチは、LDでもADHDでも、障害特性を問わず実施できます。 ご家庭でも取り入れられます。

皆さんの心に、少しでも希望の光が差し込んでいくような実践が報告できれば、こんなにうれしいことはありません。

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できる!をのばす 行動と学習の支援

 2008-05-29
私は、大学院で応用行動分析のことを学び、それが発達の課題のあるお子さんの指導・支援にきわめて有効であることを感じとりました。

しかし、紹介している本は難解なものが多く、少しは心理学を学んだ方でなければ、実際のお子さんの理解や指導には結びつかないことが多かったように思います。

このブログを開設した理由のひとつも、「何とかこのすばらしい方法を、保護者の方にお伝えしたい」という思いからでした。

今、私の保育園では、学童保育の充実に力を入れていますが、指導員さんに何とかその技能・技術・理念をマスターしていただきたいと、現場に即して指導を行ってきました。その核となり、体系化されたもので、しかもわかりやすいものを用意しなければと考えていました。

実は、昨日図書館で見つけた本の中に、そんな私の願いをかなえる一冊のすばらしい本があったのです。

その本は表題の「できる!をのばす 行動と学習の支援」という本です。

著者は、山本淳一といって慶應の先生で、以前「応用行動分析学入門」という本を出されていました。それもすばらしい本で、私は何度も繰り返して読みましたが、専門家でないと、なかなかわかりにくいのが欠点でした。

しかし、この本は違います。一度も心理学の授業をうけたことのない人でも、まったく問題ありません。しかも大切なことは、わかりやすく、しっかりと紹介しています。

専門用語が苦手な人は、イラスト(まんが)の部分だけ読んでも、かなり目からウロコがとれるのではないでしょうか?

お子さんの認知特性や、家庭や学校での対応や取り組みなども紹介されているので、特別支援と何らかの関わりのあるお子さんの保護者の皆さんに、自信をもっておすすめする一冊です。

さっそく保育園でも2冊購入し、この本をベースに、さらに充実したものをめざし、実践に取り組んで行きたいと考えています。


このブログも開設して3ヶ月余りがすぎ、おかげさまでアクセス数が10000を超えました。これもこれまでお越しくださいました皆さま、メールやコメントをくださいました皆さま、励ましや応援のお言葉をいただきました皆さまのおかげです。心よりお礼を申し述べたいと思います。本当にありがとうございました。

まずは第一目標を超えましたので、今日からブログを若干リニューアルさせていただきました。

おすすめの本は、「図書館にあったとしても、ぜひ買って手元に置いておきたい本」という基準で紹介させていただいています。

これからも、お子様のしあわせと成長のために、何らかのお力になれればと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。



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