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長所活用型の指導で子どもは伸びる (実践場面での手応えと課題点)

 2008-09-01
私くらいの年齢になると、一度や二度やったからといってなかなか身にはつきませんが、成長期の子どもは違います。

一度目はだめでも、3回4回と続けていると、力は必ずついてきます。

逆な言い方をすれば、たとえ1回目に手応えがなかったとしても、指導の軸をぶらさずに、自信をもった対応で、最低3回くらいは続けてやることが必要だ、という事なのかも知れません。

指を使って、計算する子。 どこでも見かけます。 通常学級でも山ほどいます。

計算問題を前に「指使っちゃだめ」と言われると、それでできるレベルの子にとっては大丈夫ですが、やっと指を使って計算できるようになった子だと、ラケット持たずにテニスするようなもので、どうしたらいいのか、わからなくなっちゃいます。

そんな子どもに対して、私は、導入の時に、「すごろくゲーム」や「数え棒」などの数認知活動を取り入れるようにしています。

特殊ルールを決めていることもあり、今までにこの活動をいやがる子はいませんでした。

花子ちゃんは、2年生です。

半年前に指導を開始したときは。「1+2」にも苦労していましたが、今では「28+14」など、繰り上がりの筆算もできるようになりました。

すごろくゲームも、数え棒も週1でやっているので、数感覚もかなり向上してきました。

10の束と、ばらの1 区別して数えることができるようになってきました。

まだ、完全ではありませんが、位取りの仕組みを理解し始めた兆候です。

10回近くは、やってきましたかね。 手探りでしたが、ついにつかんで来た感じです。

サイコロの目、今では数えなくても「6」も「5」も読めます。 すごろくゲームは、コマは100あるので、100の量的感覚もそれなりにつかめて来ました。

考えてみれば、すごろくゲームを5回も10回も、教育的な意図の中でできるのはむずかしことかもしれません。

でも、環境整えて、家庭でできればすばらしいです。

(大抵は妹や弟にじゃまされたり、とても忙しくてお母さんにそんな時間がなかったり、やってもしかられるばかりで、子どもがちっとも楽しくなかったりで、うまくいかないのが現実です)

出来ないことを出来るようにさせる、というのが、教育の大切な営みです。

ですが、どの子にも苦手なことというのはあるはずで、それを乗り越えられる手だてが見えているのならよいのですが、そのことなくして激突ばかりして、自己イメージをどんどん低下させてしまうのは、いかがなものでしょうか?

やりもしないで、最初からあきらめるのは論外です。

繰り返しますが、それを乗り越えられる手だてが見えているかどうか、チャレンジしてみる価値があるのかどうか? その判断は、大切だと思います。

もし、今の段階ではちょっと無理だと判断した場合は、どうしたらいいのでしょうか?

それは、今できること、本人の得意なルートから、徐々にそこに迫っていく方法がよいと、私は考えています。

子どもが指を使って答えを出したら、「じゃあ先生が、ブロックを使って答えを確かめるよ」といって、数の量的なとらえを見せてやりましょう。

毎回10の束を作ったり、すごろくゲームもいっしょにやりましょう。

指を使って足すことを否定するのではなく、それを利用して、次のステップに向かわせるのです。

それがもし、楽しんでできるようになれば、きっと子どもは化けます。 その見通しというか、設定の方法が指導性と呼ばれるものだと思います。

ポイントは、子どものわかり方の特性(長所)を見つけること

例えばそれが指を使うような、親として期待する方法でなかったとしても、まずはそこからスタート。

それを利用しながら、自己イメージを低下させないよう、きちんと評価してやる。

そして、小さくてもいいから(小さく設定できる方が優秀です)、次のステップを見つけて、課題を設定し、1回で結果を求めるのではなく、数回のチャレンジでクリアさせるくらいの計画性をもって取り組んでみてはどうでしょうか?

私は、指導場面では、10分位を一つのユニットとして考え、1回のユニットではあまり欲張らないようにしています。

絶対出来るよう十分な事前の準備をしていますが、もし、反応がよくなければ、内容を分析して次回は組み替えて挑戦します。この繰り返しです。

花子ちゃんの場合、数量感覚は伸びてきましたが、書字についてはまだまだです。

それでも、あれやこれやと挑戦しています。いろいろな実践事例や論文を読んで、これはと言う方法でアプローチしています。

花子ちゃんに合った、やっただけの積み上げがきく方法がどこかにあると信じています。

私が知らないだけで、花子流がどこかにあるのだと考えています。

いろいろとやってきましたが、書字にかかわる、この子の長所が見つけられていないから、とっかかりも、ステップも、見通しも、計画も見えていないのです。

今はこんな段階です。

このままでは、プロとして失格です。ここに見通しがもてれば、展望は大きく変わってきます。何としても、ここを砕いていかなければと考えています。書字にかかわる実践は、たくさんあるので、研究すれば道は開ける、それが希望です。

指導のアプローチの仕方は様々です。 どの方法にも良さや特徴があります。

ネット等を利用していろいろな方法にふれてみるのは、とても大切なことだと思います。

私は、私のかかわっているお子さんには、今日紹介したような長所活用型の指導が特に有効であったと考えています。

機会があれば、家庭学習の場面での実践事例を教えていただければうれしいです。とくに、書字改善の取り組みについて、事例をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞよろしくお願いします。

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我が子のわかり方を担任の先生に伝える (最悪なら状況を変える営みを)

 2008-07-09
昨日のマドンナさんのコメントの中に、「学校の先生と どのような方法がわかりやすいか、話し合いながらすすめた思い出があります。 」 という部分がありました。

私は、特別支援学級の担任の経験がありますが、お子さんの特性を理解するのは、なかなかむずかしいことでした。わかってしまえば、何の事はありませんが、教師とはいえ、細かい部分まで自分と違う感覚を理解し、受け入れ、それに合わせた指導方法を開発するのは容易ではありません。

一人でも難しいのに、数人の小集団学習となると、本当に大変です。

その点、ご家族の皆さんは、生まれたときからずっと、お子さんに寄り添って暮らしてこられてきたわけですから、理解の深さは担任と比べようがありません。

それに、担任は、「やっと理解できたころには、ハイ転勤」なんてことは日常的に起こります。

私の場合、保護者の方が 「先生のやり方で、思うように指導してください」 と、おっしゃってくださいましたが、実際には、毎日何ページにもわたる連絡帳やお電話、家庭訪問など、相当な時間をお子さんの理解に費やしていました。

お子さんの事を本当に理解できていなければ、指導は形式的なものになってしまいがちです。

暗闇で鉄砲撃っているようなものですから、時には当たりますが、歩留まりは相当低いものになってしまいます。それで良いというなら、何も申しません。

しかし、発達の課題があるお子さんの場合、一日一日の歩みは、とても大切であると考えています。ならば、マドンナさんのように、しっかりと担任の先生に向き合うことは、とても重要なことだと私は考えます。

私の教えたお子さんのご家族は、タイプは違うかも知れませんが、「岡山のマドンナ」と呼んでも差し支えないほど、すばらしいお母さん・そしてご家族でした。

このご家族のご期待に応えたい。私のモチベーションは、ほっておいてもいつも自然にMAXでした。そして、例えば九九ひとつ学習する時にも、ご家族の反応や家庭での学習状況がいつもモニタリングされていました。

私の教育実践は、このご家族とのパートナーシップを抜きには、成立し得ませんでした。

昨日、太郎君のお母さんからメールをいただきました。

太郎君は、最近算数の宿題が少しハードになってきて、お母さんにもかなりのご負担がかかっているようです。でも、ランドセルの中をみると、提出されたプリントにご努力の跡が伺えます。家庭でできなかった宿題は、通常学級の先生が次の日に、個別に教えてくださっているようです。その様子を見たら、私も何とか力になりたいと思うじゃありませんか?

すばらしいお子さんと先生です。このことを、太郎君が感じないわけはありません。

昨日のお迎えの時に、別な保育園の保護者の方から、「先生、太郎君、先生のことすきなんじゃなあ、見ててわかるわ、すごいね、先生」と言ってくださいました。

私は、保育園の保護者の方に、取り立てて太郎君の指導のことについてお知らせしたことは一度もありません。でも、こんなふうに大切なことは、ちゃんと伝わっていくのです。

友里ちゃんのお母さんからは、「もし可能であれば、夏休み中に週4時間の個別指導は可能でしょうか?」 というお問い合わせをいただきました。

学校のテストの点数ではなく、言葉やコミュニケーション能力そのものを育てて欲しい、という切なる願いや思いが伝わってきます。


ここまでは、先生と連携したり、先生と一緒に育っていくことが可能なケースの話です。

もし、先生とパイプをつなげることが可能なら、家庭と学校とが連携すれば教育の効果は、さらに増幅されるのはまちがいのないことです。

このブログにリンクさせていただいているお母さん方は、すべてその実践者ですので、ぜひとも参考にされたらよいのではないかと思っています。


言っても無駄、逆効果の場合があるということが、私には悲しく、信じられない思いです。

不幸にして最悪の環境だと判断されても、泣いてなんかいられませんよ。時間は止まってくれませんし。

ならば、その環境を少しでも良い方向に変えていく営みをするしかありません。今年ダメなら、せめて来年とか、何らかの動きは必要です。

友里ちゃんのお母さんのように、ネットでこのブログを発見して、速攻でご相談に見えたケースもあります。

岡山の場合、IQ値が低いと、通級指導教室の対象から、実質的にははずされてしまいます。

太郎君の担任の先生にすばらしい先生がついたのも、私は、就学前の、強烈な学校へのアプローチが効いたのだと思っています。結果的に、私がイメージしていた通りの先生をつけていただきましたから。あの根性と努力(とちょっとのあつかましさ)がなかったら、今は悲惨な状況になっていたかも知れません。Drから無理と言われた通常学級で、ここまでできるようになったのですから。

この辺の学校の担任決定のしくみについては、小学校での学級担任の決め方(3/12)に書いていますので、よろしければ参考になさってください。

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家庭での宿題支援の基本テクニック (プロンプトフェイディング法)

 2008-06-27
宿題は、学校と家庭を結ぶ学びの架け橋です。

以前にもお伝えしましたが、学校では、小集団指導は行えますが、個別指導はほとんど不可能です。学校は基本的に集団の良さや特性を生かして、教育を行う機関です、それは特別支援学級でも同じ事です。もし特別支援学級=個別指導と考えられている方がいらしゃったら、少し認識を再点検された方がよいのでは、と私は考えています。

学校には、学校でしかできない集団のダイナミズムがあります。一人でできないことが、みんななといっしょだったら出来るということは、日常的に起こっています。集団で学ぶ意義や値打ちがそこにあります。私は、まずこのベースが大切だと思っています。

しかし、個別指導には個別指導でしかできない良さがあります。特に、発達に課題のあるお子さんの場合、家庭学習は、個別学習の大切な機会となるはずです。家庭でお子さんといっしょに楽しく勉強することができれば、それは大きなパワーとなって子どもに作用することとと思います。

ポイントはいくつかあります。

まずは、勉強を嫌にさせない配慮とテクニックです。私も、自分の娘を教えた経験がありますが、親はすぐに頭に来て「何でこんなことができないの」と言ってしまいがちです。

これでは、その時はいいかも知れませんが、きっと長続きはしないと思います。

私は今、お金をいただき、プロとして何人かのお子さんの個別指導をさせていただいています。

そのプロとしての技を、皆さんに、無料で教えちゃいますので、よければ参考にしていただければと思います。(ちなみに理論のバックは応用行動分析です)

まず、子どもに個別指導をするときには、この課題(例えばひらがなを書く)をさせたら、どこでつまずくかを事前に予想しておきます。うまくいけば、その日の課題をクリアさせ、強化(ほめる)しますが、そうでない場合は、つまづきの手だてを先に考えておきます。ありとあらゆる可能性を考えて、できなかった場合の対応を先に考え、その場合の支援法を必ず用意しておきます。

それが出来ないなら、その日の指導は失敗で、いただくお金は返金させていただく覚悟で、毎回指導に当たっています。

例えば「あ」という字を見て、ノートに正しく書けないのであれば、あえてその1枚のプリントはスルーします。ちょっとした言葉かけで、直るものなら直させてほめますが、たとえできなくてもマイナスのダメージが子どもにできないように配慮します。

次には、こういうこともあろうと用意した、点線なぞり書きのプリントをすかさず提示します。これならさすがに出来ます。(ここでたっっぷりほめます)

このなぞり書きによって、目と手の協応性を鍛えます。

一定の経験を積んだら、必ずスキルアップしますから、今度は上に紙を重ねるなどして、少し点線が見えにくい状態でトライさせます。

次は、少しでも視線の移動を少なくするために、書かせる文字のすぐ左側にお手本の文字を書いて、それを見て写させる(視写)の学習に移ります。今度は、教科書を見て、ノートに写させるもの、その次は、聞いて書く(聴写)の活動と次々にステップアップしていきます。

このように先生の手助けを段階的に少なくしていく方法をプロンプトフェイディング(プロンプト=支援、フェイディング=少しずつ小さくしていく)法と言います。

聞いてみれば単純な、何てことはない方法でしょ。

でも、こうすれば子どもはほとんどダメージを受けずに達成感をもって学習に取り組めます。ツボにはまれば、面白いように、まるで真綿に水が吸収されていくかのように、学習が進展します。

こうなると、「先生が来る日が待ち遠しい」と言ってくれるようになります。

でも、なかなか自分の子どもに勉強を教えるのはむずかしい事でしょう。

家庭は、基本的には安らぎの場であってほしいと考えていますから、過度な取り組みは、別な問題を引き起こす場合もあるでしょう。

でしたら、宿題なんかで、このままではこの子は出来にくいと思われるような場合には、こうしたプロンプトフェイディング法の考えを導入されてはいかがでしょう。

個々のすべてのケースにいとも簡単に適応できるほど甘くはありませんが、要は、できなきゃヒントを作って、何とか自力で出来た達成感をもたせる。そして、少しずつそのヒントをフェードアウトしていくという発想で取り組んだらいいんじゃないのと、そういう話です。

私は、本来なら、宿題を出す先生に、このような配慮が欲しいと思います。

出来ないことを、宿題だからと言って何が何でもやらようと取り組んで、返って子ども痛めたこと、結果的に劣等感を子どもに持たせてしまい、宿題そのものが形式的に出来たとしても、そのことでマイナスの負荷を子どもに与えてしまったこと、そんな経験はありませんか?

先ほどネットで調べたら、「プロンプトフェイディング法」で検索したら、いっぱい参考になるサイトが見つかりましたよ。

先生と協力関係ができているなら、「この子にはこんな方法が合っているかも知れない」と伝えてみるのもいいかも知れません。

そうでなければ、お母さん自身が技を磨いて、宿題を利用して、上手に子どもを育て自分自身もスキルアップしていきましょう。

熱意や努力は、お子さんを育てる必要条件ですが、それだけでは十分ではありません。知識や技術も必要です。でも、今は、勉強すればその子に合った方法は、必ず見つかります。希望を捨てないでくださいよ。

道はあります。でも、努力と勉強は必要です。

それさえあれば、希望を捨てずに、お子さんとともに、これからの人生を楽しく豊かにいくことができます。

どうか、これからも、希望をもって、夢をもって、いっしょに歩んでいきましょうね!

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知っておきたい我が子の認知特性 (夫婦でも兄弟でも ルートは違う)

 2008-06-23
お子さんの物のわかり方には2つのタイプがあることは、先日の記事でお伝えしました。(ちょっと知っているだけでかなり差が出る 家庭での学習支援 5/25

先日、3年生の女の子とトランプの神経衰弱をして、遊んでいました。

私は、この神経衰弱が苦手で仕方ありません。トランプの数字が、カードを裏返した瞬間、何が何だかわからなくなってしまいます。

何回やっても、この子に神経衰弱で勝つことはできません。女の子の半分も取れれば良い方です。

土曜日に、ある保護者の方とお話をさせていただきました。

その方は、「物を覚えるときは、映像で覚える」「あの事は、あの本の この辺に書いてあった」「そのページが映像で思い浮かぶ」とおっしゃっていました。

でも、「本を読むのは、大嫌い」「SHINOBU先生が、毎日あれだけの文章を更新するのが、信じられない。」「毎週10冊、本を読む? そんなこと絶対できない」ともおっしゃっていました。

この方は、医療関係のお仕事をされ、相当知的水準の高い方ですが、文字情報の入力はかなり苦手なようです。

私は、小学校1年生の時に、枕元にいつも文学全集を置いているような子でした。ですから、情報入力のインプットは、ほとんど言語で行います。

神経衰弱の時は、カートを見て、それを言葉に置き換えて、「に」「ろく」「さん」「なな」・・・・と言うように頭の中でつぶやいています。

「そんな覚え方したこと、一度もありませんよ」と、その方はおっしゃっていました。

でも、私の場合、頭の中に映像なんて、全然浮かんできません。

話を続けていると、我が家では、私は文字タイプ、家内は映像タイプ。その方のご家庭では、ご主人が映像タイプ、奥様は文字タイプなようです。

と、言うことは、同じ兄弟でも、認知特性はどちらかまったくわからない、と言うことです。

「ごちゃごちゃ言わずに映像でとらえさせるか、それとも、言葉に置き換えて、ひとつずつ整理してとらえさせるか」

同じ子どもでも、両方できる子もいれば、どちらか一方でしかできにくい子もいます。

宿題とか、家庭での学習支援を行う場合に、自分と違うタイプのお子さんの場合は、少しこのことに目を向ければ、案外うまくいくことがあります。

我が子であっても、情報のインプットの方法、違う場合があることも知っておいてほしいと思います。
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苦しい中から光が見える (母の願いが子どもに届くとき)

 2008-06-21
昨日は、私が指導をさせていただいているお子さんの、8歳の誕生日でした。

1週間に一度の指導ですが、この日、その女の子は、私が先週出した14枚の宿題プリントを、誇らしげに、はにかみながらも自信満々に提出してくれました。

中には、先週、おそらく人生の中で初めて出来るようになった、繰り上がりの足し算の問題も含まれています。

「わずか4ヶ月の指導で、こんなに早く結果を出していただけるなんて、夢にも思っていませんでした・・」

そのお母さんは、おっしゃってくださいました。

昨年7月の、学校での懇談会で、そのお母さんは、突如学校から、

「発達に遅れがあるかも知れません。特別な支援を受けられる学級に行くことも必要かも知れません。」

と言われ、地獄の底に突き落とされたような状況になってしまいました。

それから、ありとあらゆる方に相談に行かれ、「絶対にあきらめない、親としてできることはすべて行う」というような強い決心をされて、懸命に努力をされてきました。

正直言うと、私は、このお母さんの強いご希望により、この活動を始めさせていただきました。そういう意味では、運命の出会いだったのかも知れません。

これまでの取り組みについては、このブログの随所で紹介をさせていただいています。

今から振り返ってみると、その指導のポイントは、① この子の苦手な所を得意な所で補うこと ② 学ぶ楽しさと自己肯定感をはぐくむこと ③ 問題点を整理して小さいところ、出来そうなところからまず解決する といったところでしょうか。

もちろん、指導は始まったばかりで、まだまだこれからの所が多いのですが、何時間も泣きながら宿題をしていたころから比べると、かなり見通しが開けてきたのは事実です。

当面、向かう先や目標としているポジション、もう手の届きそうなところにあって、今からワクワクしています。

今、主に取り組んでいるのは、継次処理の優位性を生かした(この子に合った方法での)計算のスキルアップ、視覚認知を段階的に支援することによって、字をより正確に美しく書かせる取り組み、ゲームや遊びを通して、苦手な空間認知に対する刺激を送り続け、新たな脳内ネットワークを創造する取り組みです。

どこまでできるかは未知数ですが、手応えも、希望も大きいです。毎日でもやりたいくらい、正直、楽しいです。そういう意味でも、よくここまで来たと思います。

昨日、お母さんが、卓上カレンダーに、がんばったことをポイントにして評価していることを教えてくれました。見ると、△は一つついていましたが、ほとんどすべては○、中には花丸もついていました。

何て幸せな営みでしょう。

「弱小チームには、甲子園は無理!」

そうかも知れません。でも、私たちは、誰からどんなに笑われようとも、可能性を信じて、今日もバットを振ったり、キャッチボールをしたり、ランニングを続けたりします。

たとえ結果として甲子園に出られなくても、1回戦でコールド負けになろうとも、試合にだけは出場しますから。

せめて1勝はしたい。そんな希望も湧いてきました。

夢があるから、がんばれる。

カレンダーについた花丸から、お母さんの目に映る、希望の光がこぼれているように伺えました。

指導が終わると、いつも、本人と妹とお母さんと、時にはお父さんもいっしょに車が見えなくなるまで見送ってくれます。

人間ですから、当然、この期待に応えたいと思います。

バックミラーに映るご家族の姿を目で追いながら、今日のこの日の誕生日が、これまでとひと味違った、すばらしい誕生日の一日となったことを、願わずにはいられないのでありました・・・



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発達課題のあるお子さんの場合、小学校の宿題と どう向き合うか?

 2008-05-26
学校は勉強するところ、そして家庭は、やすらぎとあたたかさで子どもを育む場所です。

しかし、学校での宿題がありますから、通常学級で何らかの発達課題のあるお子さんのご家庭では、結構この宿題に、四苦八苦することもあるかも知れません。

学校の先生も、宿題については、それぞれの先生でいろいろな考え方をおもちのことだと思います。一昔前は、かなりハードな量の宿題を出して、子どもを鍛えるという考えの先生もかなりいらっしゃいましたが、今では、あまり見かけなくなったのではないでしょうか?

「最低限宿題だけは・・」と、親なら誰しも思うことです。

もし、トライして達成可能な程度の課題なら、なんとか支えながらもがんばらせてみたいものです。子どもにとっても、宿題はスペシャルなものですから、上手に宿題を利用できればそれにこしたことはありません。

ところが、内容によっては、自力で解決することが不可能になってしまうものが出されてしまう場合もあるかも知れません。

こうした場合、もし予め困難が予想できる場合には、事前に親が少しサポートして取り組ませたら、それでいいと思います。それでもだめなら、できるところまでやって提出すればそれでいいのではないでしょうか?

問題は、担任の先生がそのことを十分把握しているかどうか?ということです。特に、LD系のお子さんの場合、そのことが先生が全く意識していない時期があったら、その期間は結構な負荷がお子さんとご家庭にかかることになります。

努力して乗り越えられることと、そうでないこととがあります。いくらがんばってもできないことを、小さい年齢のお子さんに強いることで、学習への意欲を低下させ、劣等感や自分に対するマイナスイメージを増幅させることにつながるとしたら、それは何のための宿題かわかりません。

こうした場合は、なるべく早めに電話などで担任の先生に相談されることをお勧めします。

特別支援学級であっても、それは小集団学習であって、完全な個別学習ではないので、お子さんの細かい認知特性まで把握できていないことがあっても決して不思議ではありません。

宿題も、学力をつけるための手段であって、目的ではありません。

逆に、お子さんのことをより深く先生に理解してもらうための、ツールの一つとして利用するくらいのふところの深さがあってもいいと、私は考えています。

発達に課題のあるお子さんの場合、宿題のもつ意義は、ある意味、とても大きいと思います。

宿題は、学校での教科学習を映し出す鏡の役割をもっています。

宿題という共通の舞台があることによって、お子さんのことをより正しくそして深く理解できる機会となります。

また、宿題があることによって、お子さんの学習について、あるいはお子さんの将来や自立に向けて、学校の先生と同じスタンスで向き合えるようになります。

宿題の内容もさることながら、保護者としては、こうした観点をもつことこそが大切なのではないかと、私は考えています。



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ちょっと知ってるだけでかなり差が出る 家庭での学習支援 (継次処理と同時処理)

 2008-05-25
今私が学習指導させていただいているお子さんに、まったくわかり方の違うタイプのお子さんがいらっしゃいます。

まるで絵に描いたように違うわかり方をしているので、指導法は、それぞれ全然違います。発達に課題のあるお子さんの場合、どちらかのタイプに近い場合が多いと思いますので、参考になることも多いのではないかと思います。

その一人は、継時処理の得意なタイプのお子さんです。

得意教科は、国語です。本読みが大好きで「ずっとずっと大好きだよ」を読んでくれたときには、私は感動して涙がでそうになりました。漢字も学年相応の漢字をちゃんと読むことができます。

でも、苦手なことがあります。すごろく遊びをしていて、さいころの「3」までならすぐに見て「3」と反応できますが、「4」となると目を「1・2・3・4」と数えないと、わかりにくい傾向があります。

また、あれだけすばらしい音読ができるのに、文字を書くのは苦手です。えどるのは、それほど抵抗感はありませんが、教科書の漢字をノートに写すとなると、涙が出そうになります。

このお子さんは、「継次処理」の得意なお子さんで、感覚ではなく、ひとつひとつを言葉に置き換えて、順番に理解していくタイプのお子さんです。

ですから、例えば、漢字の書き順を指導していくときには、ドリルの書き順の所を調べさせるのではなく。「かぎ・横・横・横・横・縦、日」と言葉で置き換えて「書」という字の書き順を、まず空書するところから入ります。

さいころの4でさえわかりにくいこの子にとって、「書」という文字の書き順の複雑さは、まるで私がドイツ語の論文を教授の前で訳せ、と指示されたことにも等しいでしょう。

しかし、文脈で理解するのは、得意中の得意です。その能力は大人以上。少なくとも、もうすぐ50を迎えようとする私の脳のメモリーと比べると、桁数が違います。そりゃすごいもんです。漢字も、できるだけ文脈の中でとらえるようにすれば、効果的です。

この入力方法がヒットすると、面白いように、たくさんのことを吸収してくれます。なので「SHINOBU先生の勉強は楽しい」と言ってくれるようになります。


もう一人は、「同時処理」の得意なタイプのお子さんです。

得意教科は、算数です。物事を画像でとらえるタイプ、いわゆる視覚優位のタイプのお子さんです。

この前、名古屋へ行った時、JR東海の新幹線シールブックをおみやげで買ってきたら、昨日の学習指導のあと、30分くらいものも言わずに集中して取り組んでいました。

この子は1年生なので、今はひらがなの勉強をしています。この子の場合は、言語系の指示は苦手なので、先ほどのように{よこ・たて・ひだり・みぎ」と言葉を添えるより、市販の学習パソコンソフトの書き順コーナーは、きわめて有効です。

絵カードを使ったひらがな学習も、喜んで取り組みます。

言葉でごちゃごちゃ説明するのではなく、紙芝居のように、次々と視覚的に提示する方法が、この子の場合には効果的です。

とまあ、原理はここまでですが、要は日常場面での適用です。

継次処理の子の場合は、書字にとまどうことも多いでしょうから、まずは、点線えどりがき、つぎに、ます目のすぐ左側にお手本を書いてやって、視覚的な保持時間を0.1秒でも縮めてやるような工夫も有効だと思われます。

これで、まずは学習の2次障害を取り除くことができ、さらには、自分の得意技に磨きをかけていけば、結構その子の持ち味はいかせるのではないでしょうか?

今は、ネットでこんな情報は簡単に手に入ります。

保護者の方が、実際に生かせるレベルまでいくには多少の工夫も必要かとは思いますが、やってできないことではありおません。ちょっとしたことから、視野がうんと開けることだってあると思いますよ。

夢を希望と努力は大切です。

楽しんで、お子さんの学びを育てていけるようになれば、すばらしいですね。



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