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個別学習のプロデュース②

 2016-04-25
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白ゆり教室を始めた頃は、1人90分のレッスンを、私1人で行っていました。

1日に2~3人の子のレッスンしかない日もめずらしくありませんでした。


ところが今では、個別レッスンだけで1日18人なんていう日もあり、当時のことが遠い昔のように感じられることがあります。


現在、小学生以上の子の個別指導の教室は、私を含めて3人の指導者でレッスンを行っています。


どんな時も、誰か1人は、その子にぴったりと寄り添ったレッスンをさせていただいているのですが、場合によっては、1人の子に3人の指導者が付くことがあります。

私以外の指導者が2人の子に付き、その2人の後ろに私がつくケースもあります。


当然、1人の子に私が直接付く時間は少なくなったのですが、その指導効果がマイナスになったかといえば、それははっきりとNOではないかと考えています。


個別指導の分野では、私はこれまで、ありとあらゆる修羅場をくぐり抜けてきました。

おそらくは、その経験量だけは日本一、

失敗の数が、他の誰よりも多いというのが、私の何よりの強みです。


他の指導員2人は、私のその経験と助言を、ちゃんと生かし、すぐに受け入れてくれるのです。

子どもの方も、Aちゃんががんばっている横では、Bちゃんもいつも以上にがんばります。


そうした流れの中からは、これまで予想だにしなかったプラスの効果が、次々と巻き起こっているのです。


もちろん、課題点がないわけではありません。

しかしながら、当初3人が限界だった1日あたりの指導人数を、9人まで広げることができたのは、何よりの収穫。


こうした形のレッスンが、4月に開けたとたんの予約完売、

それが何にも勝る、私たちの取り組みへの評価であると思っています。


もっともっと、白ゆりでレッスンを受けたい、

そういった皆様のニーズに応えていくために、私たちは、今後何をどう改善・工夫していけばよいのか?


その答えはきっと、こんなところにあるのです。








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個別学習とタブレット

 2015-10-16
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日によって、時間によって、いつもとは限りませんが、白ゆりのマンツーマンレッスンでは、一人の子どもに2人の先生がつく場面があります。

主にプリント学習は私が担当して、タブレットなどの教育機器を活用した学習は、別の職員が担当します。

実はこの先生、小さい時から私がレッスンをさせていただいていたお子さんのお母さんで、この春から白ゆりの職員として採用させてもらった方なのです。


この春、そのお子さんが見事第一志望の高校に合格しました。

自分の子どもとともに培ってきた内容を、これからは多くの子どもの学びに生かしていきたい、

採用面接のときに、目に熱いものを浮かべながら、私にそう伝えてくれました。


この先生は、私と同じことは出来ませんが、私には出来ないことが出来ます。

タブレットを使った文字や数の学習を、私のレッスン以上に楽しみにしている子も、だんだんと増えてきました。


何年も何年も、わが子の学び、わが子の育てに心血を注いで取り組んでくださった経験が、今ここに花開こうとしているわけです。

今の白ゆりの教育は、こうした思いの積み重ねの上に成り立っています。


これから、リーダーとしての私のすべき道は何なのか?

その一つの方向性を、このことが指示してくれているような気がしてならないのです。







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色は第2の言語

 2015-06-12
私は、多い日には12〜15人分の教材を作ります。

一人分の教材は、10枚平均ではききませんから、1日300枚のプリントアウトという日もまれではありません。

早朝から、複合機1台とプリンター3台を総動員して教材作成に取り掛かります。

もちろんレッスンの場面では、子どもとの応答的なやり取りが命なのですが、その日の成否は、一定レベルこの仕込みの出来ばえにかかっています。


インクジェットのインクは、おそらくは常時50本以上ストックしてあるはずです。

プリンターは3台ありますから、どれか1台の調子が悪くなっても、大丈夫なように日々のバックアップは万全です。


コピー用紙は、500枚×10の箱買いですが、あっという間になくなります。

インクも50本ストックして置こうと思えば、それだけで何万円もかかりますが、今は純正でなければ1本200円位で、ネットで購入することが出来ます。

このことで、これまで夢であり、不可能であったカラー印刷の教材作成が一気に実現しました。


今の私は、5歳位から中3位までの子の教材は、プリンターさえあれば、ほとんどすべての教科書会社に対応したリアルタイムのものを即座にプリントアウトすることができます。

教材作成にかかわるコピーやスキャナの読み込みなどは、ひと声かければ、専任のスタッフが、エクセルやワードを使い分けながら、素早く対応してくれます。

ちょっと気になる教材があれば、予算委員会など通さなくても、私の決済ですぐに購入することができます。


こんなことは、個人でできることではありません。

教材作成にかけては、まさに最強の機材と環境、

教員時代や、個人でやっていた頃には、やりたくても出来なかったことが、おかげさまで今ではすぐに出来るようになりました。

このことが、私のプロとしての専門性を著しく高めてくれました。


色は第2の言語、

カラー印刷というだけで、もうすでに子どもの表情には変化が見られます。

その子のために選りすぐった教材を、即座にカラーでプリントアウトできる、

それはただ単に見た目が美しいというだけではなく、認知特性に応じ、教育的な意図の込められた教材であることを意味しているのです。


国・市から、3.000万円以上の補助金をいただいて、この施設は建ちました。

それは一人でも多く子の育ちに生かしてこそ、意味のあること、

選ばれた者としての、社会的な責任は重いのです。

そのためにも、この環境をもっともっと活用していきたいと、心から願っているのです。






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質の高い失敗体験 そこから子どもは育つ

 2013-08-02
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今日、年中さんのある男の子のマンツーマンレッスンがありました。

学習プリントが終わった後で、楽しみにしていたキョウリュウの紙工作に取りかかりました。


ミシン目になった台紙から、それぞれのパーツを切り離していきます。

大人になれば、何のことはない作業に過ぎませんが、慣れていない子どもにとっては、どうしてこれがなかなか結構骨の折れる作業になります。

その子は、ちっちゃい指を一生懸命動かしながら、ちょっとずつパーツを切り離していましたが、ご覧の通り、肝心なステゴザウルスの顔の所が、まっぷたつに破れてしまいました。


私は、これと同じ紙工作を、おそらくは数回以上子どもと一緒に作ってきましたから、今のこの子の巧緻性のレベルからして、きっと似たようなことが起こると予測していました。


「あら、ステゴザウルスの顔が、やぶれちゃったね、でも、大丈夫、すぐに先生がセロテープで直してあげるよ」

「今度は、きっとうまく出来るから、続けてやってごらん」


いつだったか、子どもにエラーを体験させまいと、切りとる部分だけは、私の方でしてしまったことがあります。

そうすれば、当然完成度は高くなり、セロテープのつぎはぎ工作にはなりません。

でも、子どもはちっともうれしそうな顔をしません。

自分で作らないキョウリュウに、特別な魅力なんてあろうはずがありませんから、


エラー、とりわけ教育的な意図が明確なエラーこそが、子どもを大きく育てていく、

失敗の分だけ、エラーの分だけ、子どもは豊かに育っていく、

それこそが、私のゆるぎない教育的な信念の一つです。


セロテープでつぎはぎだらになったのキョウリュウを、その子は、大事そうにかかえて教室を後にしました。

ここなら、いくら失敗しても大丈夫、

いっぱいいっぱい失敗して、エラーをして、どんどんいい子になってほしいと願っています。


いつだって、君には先生がついています。

ステゴザウルスのセロテープは、君と先生との大切な勲章なんだからね、






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自尊心を育むレッスン

 2013-07-15
大阪から、月1回、定期的に通ってくれている男の子がいます。

もう、4年以上も通ってくださっています。

毎回、ご両親と一緒に、高速を使って通ってきてくれます。


ここに来るときは、子どもの表情が明らかに違う、

ここに来ることで、どれだけこの子の自尊心を高めているか、計り知れない、

前回のレッスンの時、お母さんはそう私にお伝えくださいました。


数年前、たくさんのお子様が通ってくれるようになり、大阪に、京都に、出張レッスンをさせていただくようにもなりました。

当時はまだ、今のように多くの臨床実践を積み上げてきたわけではありませんでしたから、1日のレッスンが終わると、口がきけないほど、疲労困憊したものでした。


既製品の教材が、そのまま使えないことを、一番良く知っているのも私でした。

足を引きずるようにして大阪に向かい、ホテルに着いてから、もうろうとした頭で、翌日の教材を考えた日もありました。

あの日々を積み重ねてきたからこそ、今の私がある。

子どもと共に積み重ねてきた一つ一つのレッスンそのものが、何にも代え難い、私の宝ものとなっているのです。


肯定的な自己理解力の育成、

教室を始めたその日から、微塵も変わらなかったのは、私の教育目標となるこの言葉です。


「子どもの自尊心を高める」

お母さんのこの言葉が、どれだけ私にとって、大切なものを示唆してくださったことでしょう、

日々のレッスンの積み重ねは、すべてここを目指して歩んでいく道のりなのです。


自分の苦手なことを受け入れた上で、自分のことを肯定的にとらえること、

それはまさに、自分の命の輝きを見つめることであり、自分が他者に貢献できる存在であることを知ることでもあります、

そして、そのことで、他者の存在とその命の尊さに気がつくことにもなるのです。


人は、他者に貢献できることによって、初めて自分の存在の意味を確かめることになります。

今の私が、前に向いて進んでいけるのも、私を待ってくださる子どもとそのご家族がいるからこそなのです。


そのことを、一人一人の子どもに伝え、その子らしさを発揮しながら、誰かのために貢献できる子に育てるためのサポートを、ご家族と共にさせていただくこと、

それが、私の仕事であり、生きがいなのです。


今日は、京都でのレッスンの日です。

この3連休で、30近いレッスン、


帰りの新幹線で飲む格別のビールの味、

他のどんなことよりも、それが、私の心を満たす瞬間なのです。




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戻ってくる意識をキャッチする

 2013-04-24
先日、ある中学生の男の子のレッスンをしました。

この子は、集中力の持続時間が短く、すぐに意識が課題から離れて、視線が定まらなくなってしまいます。


ですが、一定の時間が経過すると、また必ず意識が、その課題の所に戻ってきます。

その所要時間とタイミングをうまくキャッチできれば、課題を中止することなく、最後までやり遂げることができるのです。


このことは、別の子の実践から、私が体験的に学んできたことです。

私は医者ではありませんから、それが、脳波のサイクルと関係があるのかどうかを特定することはできませんが、課題から意識がそれた場合に、課題の内容やレベル、本人の気持ちといった直接的な内容だけでなく、どうやら別の次元で理解してあげる必要がある場合もあるようです。



今日は朝一番に、就学前の男の子のレッスンがありました。

コミュニケーションレベルが上がってきたので、その子は、色々と内容についての要求を私にしてくるようになりました。


「料理のあそびをしてみる?」

その子は、首を横に振り、「イヤイヤ」 と言語で伝えてきます。

「じゃあ、紙しばいを見ようか」

またしても、その子は、「イヤイヤ」と言い張ります。

「大好きな、あんぱんまんのパズルはどう?」

またまた、「イヤイヤ」です、

こういうことが何度か続きます。


ふと見ると、ちっちゃく指さしたその先に、DVDのプレーヤーが置いてありました。

どうやらこの子、このタイミングではDVDを使った手遊びがしたいようです。


時々、その指が、何もないあらぬ方向を指さしている場合があります。

自分の思いや根拠がうまく伝えられず、それを動作化しているうちに、見失ってしまう場合もあります。

そもそも本人の根拠となる思いが、さほど明確でない場合だってあります。

それが子どもであり、だからこそ理解し、育てていかなければならない内容があるわけです。


活動の終盤に、もう一度、その子に料理のセットを提示しました。

今度は、笑顔一杯で、料理のロールプレイに取り組み始めました。

さっきは、「イヤイヤ」 といっていたロールプレイに命が吹き込まれた瞬間です。


目指す方向や、育てたい力は、いつも明確に見据えておかなければならない、

だからこそ支援者ならば、時には子どもの移りゆく意識をキャッチし、それを捌いていけるだけの力量もあわせもっていたい、


「先生、この間の手遊び、とっても楽しかったね、今日一番に手遊びからやりたいな~」

この子の言語やコミュニケート、そして社会性や豊かな自己コントロールができるようになるその日まで、私はずっと、この子と共に歩んでいきたいと願っているのです。




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受容と要求の黄金バランス

 2012-11-05
ある中学生の女の子が、学校であまり望ましいとは言えない行動をしてしまいました。

担任の先生は、深い教育的な情熱をおもちの先生で、中学に入学して間もなく、わざわざ私のにまで足を運んでくださいました。

今回の対応にしても、教育者としてなすべきことをきちんとふまえた対応だったと思っています。


ところが、そのことがきっかけとなり、その子はずっと学校に行かなくなってしまいました。

行ってしまったことの反省より、そこに至るまでの背景を理解してもらえなかった、自分の気持ちを受け止めてもらえなかった、そういう思いだけが、爆発的に心の中で広がってしまったのです、

一度こうしたネガティブな思いが広がり始めると、そのことだけがぐるぐると広がり、収拾不能に陥ってしまいがちになる・・

実は、こうしたこと自体が、この子が背負っている重い課題そのものでもあったわけです。


そういう彼女ですが、私の教室には、かれこれもう数年通い続けています。

この子が休んだという記憶は、ほとんどありません、

今週の彼女は、さすがにいつもと比べると不安定な感じでしたが、事前にお母さんからの情報をいただいていますので、私の方はいつも以上に、事前にふところ深く構えているのです。

それが、支援者としての私の役割だと考えているからです。


要求度を上げると、どうしても一定の負荷が子どもにかかります、

かといって何も要求のない所に、教育の営みは成立しません。


私の所は、権威も強制力もない、まったく任意の事業所です、

もしも子どもが来なくなったなら、一番痛むのは、それはきっとその子自身であると思っています。


ならば、ここは胸元をえぐるようなストレートは温存して、とりあえずは緩いカーブを投げておきます。

大切な部分は、時間をかけ、気持ちが整理された段階で、別な方法でじんわりじんわり攻めていくのです。


先日、最近少し萎縮ぎみの小学生の男の子がいました。

どうやら、私のしごく国語がだんだん重荷になってきたようです。


その日、私はその子のために、マリオのラジコンをアマゾンで注文してやりました。

とたんにその子の表情は変わり、「がんばって先に勉強すませようね」と、すごい勢いで鉛筆を走らせました。


その過程で、たとえどんな手段を使おうが、プロとして結果を残さなければ、結局、選んでまでこの教室には来ていただけません。

けれども、遊んでばかりの教室に、高い費用を負担し、わざわざ送迎までして来ていただけるとも思っていません。

肯定的な自己理解力の育成を看板に掲げた教室を開設した以上、3年・5年と継続して来ていただかない限り、納得のいく結果が簡単に出るわけもありません。

ならば、私には、私なりのアプローチがあってもいいはずです。


受容と要求、

そして個と集団との関係は、教育における永遠のテーマであり課題であると思っています。

その1グラムのさじ加減で、その1秒のタイミングで、結果は大きく変わっていきます。


プロは結果がすべて、

いただいたレッスンの1コマ1コマに、これからも全力投球で立ち向かえる自分でありたいと、心から願っているのです。





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肯定的な自己理解力と 内発的な学習意欲との高い相関

 2012-11-02
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私は今、何人かの中学生に英語を教えています。

今回紹介する中一の男の子も、その一人です。

これまで、宿題を提出することが出来にくかったり、自分の意思を相手に伝えることがむずかしかったりして、知らない間に、ずぶずぶと閉塞感のただよう空間に入りかけてしまうような、そんなことも何度かありました。


この夏休みには、彼と一緒に学習計画を立てることにしました。

私のレッスンの時間には、勉強をするのではなく、1週間がんばった学習を、私が見て評価してやる時間にしたのです。

そして、その内容に応じて、次の1週間の学習計画を一緒に立てる、

そういう取り組みを、約2ヶ月にわたって続けてきました。


1学期の初めには、英語の学習が全くかみ合わなかったという感じですが、この頃少し様子が変わってきました。

標準化された問題集が、結構自力で解決できるようになってきたのです。

あらあらどうしちゃったの? すっかり勉強ができるように変身しちゃったの?

何だか、そんな感じです。


先日、お母さんがオープンスクールに出かけて、授業の様子をご覧になったそうです。

以前は、友達にいじわるされても、はっきりと拒否したり、自己主張したりすることが出来にくかった彼が、この頃は毅然とした態度で、そういうことをはねのけるようになってきたということも、ご相談の際に伺っていました。

そういう彼は、もうすでに昔の彼でなくなってしまったような、そんな印象をもちました。


中間考査の英語の成績は、かなり上がったようだとお聞きしています。

この調子なら、期末考査は、ホップ・ステップ・ジャンプと行くに違いありません。


この子はきっと、自分という存在を、肯定的に受け止め始めたに違いありません。

5年生の秋から打ち始めた、自己肯定のビタミン注射が、ここに来て効き始めてきましたね、

このまま青年期の間に、自分の苦手なことを受け入れながらも、自分の存在を肯定的に理解し、長所を生かしながら、現実的にうまくコントロールしていく力が身について行ったなら、きっとこの子は、社会に役立つ人に成長できるに違いない、


これまで共にいくつもの課題に向き合ってきました、

まだまだ決して安心したり、楽観できるとは思っていません、

そうおっしゃりながらも、そのお母さんの横顔は、いつになく晴れやかでした。


支援とは、主体者に成り代わって何かをするというのではなくて、主体者が主体者らしく前に進んでいくことを支えていくこと、

こういう育ちの最前線に共にいられることこそ、支援者としての何よりの喜びに感じている私なのです。







この記事は、「特別支援教育人気記事ランキング1位」に選ばれました。 (2012-11-03)






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個別学習サポートの専門性

 2012-09-08
小学校に入学した時は通常学級在籍で、中学年以降に支援級在籍に変わるケースも、決して珍しいことではありません。

私の教室に通ってくれている子の中にも、何人もそんな子がいます。

支援級で学ぶ機会が増えた分、みんなと一緒に学習する機会が少なくなるのは、ある意味仕方がないことなのかも知れません。


今月から、試験的に、「個別学習サポート」 というサービスをさせていただくことにしました。

直接、SHINOBU先生のレッスンを受けるということにはなりませんが、私の指導と責任のもとで、それぞれの先生の持ち味を、個別のレッスンで発揮してもらおうというコンセプトです。


ある5年生の女の子のお母さんから、「理科や社会の個別指導はお願いできませんか?」 という依頼を受けました。

私は早速、ある先生に、教材づくりのポイントを指示しました。

学校と同じ事は決してできませんが、オーダーメイドの個別指導には、それなりのポイントというものがあるのです。


この先生は、これまで1を伝えれば、すぐさま10の結果を出して来ました。

この指示を、どう具体化していくか、

何だか、私の方が楽しみになってきました。


週に60時間のレッスンを行っている私、

いくらがんばっても、あと10のレッスンを、ここに積み上げることはできません。

ですが、志のある若手を育てていけば、それが100にも1,000にもなる可能性があるわけです。


この取り組みは、いわばその試金石です。

これからのレッスンを、私は若い先生方と、そして未来の多くの実践者と、一緒に作り上げてみたいと願っているのです。



この記事は、「特別支援教育人気記事ランキング1位」に選ばれました。 (2012-09-09)



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個別学習のニーズを具現化する

 2012-09-06
私は、多い週では、1週間に60を超える個別レッスンを担当させていただいています。

お休みの日は、多くて年に数回、

土曜も、日曜も、祝日も返上し、大阪や京都にも出かけていって、レッスンをさせていただく日もあります。


1日10時間のレッスンをしようとすれば、事前の準備に2時間はかかります。

毎日、9時からレッスンがありますから、そういう日は、7時前に教室に入らないと間に合いません。

この頃はスタッフが、教材作成をサポートしてくれるので、そういう面では随分楽になりました。


それでも、とてもではありませんが、マンツーマンレッスンの、すべてのニーズにお応えできているとは言えません。

このままでは、来年度就学を迎える子どものレッスンが、たちまちパンクしてしまいます。

一人で行えるレッスンの限界を、もうとっくに超えていますから、来年度に向けては、それに合った内容を提供させていただかなければなりません。


今週から新たに、「個別学習サポート」 というコンセプトのレッスンを試行させていただくことにしました。

担当は、大学4年生の 「あやか先生」 です。


音楽療法士のりえ先生は、今、博士論文の最終段階に差し掛かっています。

大学の研究室でも勤務されていますので、「個別学習サポートができる人材を探してください」 と、かなり前からお願いをしていました。

機が熟して、今回からしばらくの間、「個別学習サポート」 を、担当してもらうことにしました。


私のいる教室に、指導者が、私とは別に3人、

そして、勉強する子どもも3人、


これなら、もっと多くの人に、個別学習の機会をたくさん提供できる、

ゆくゆくは、こんな形の教室運営を考えています。


あやか先生は、私の期待通り、まちがいなく優秀な素材です。

いきなりの実践場面も、すぐに合格点をたたき出してくれました。


まずは、そのモデルとなる実践を、あやか先生といっしょに作り上げて行きたい、

そして、子どもの力を引き出し、熱い志の集い合う、豊かな学びの場を構成していきたい、


私の夢は、広がります。

その具現化のための大切な一歩が、この日から、またスタートしたのです。




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内発的な学びの意欲に寄り添う支援

 2012-08-30
私の教室には、就学前で、まだ言語でうまく自分の気持ちを伝えることができにくいタイプお子さんも、たくさんいます。


就学前のお子さんのレッスンの内容を構成する時には、


①手作業系パズル ②ストーリー系の絵本・紙芝居 ③見立て遊び 

④手遊び・音楽遊び ⑤感覚系タッチボード ⑥映像・カード系の言語教材 

⑦ロールプレイ(お料理な・ごっこ遊びなど) ⑧数量遊び(すごろく・お買い物) 

⑨教科学習に向けてプリント教材(書字・数感覚など) 


を、それぞれのお子さんの発達レベルや、興味・関心、そして食いつき具合を見ながら、オーダーメイドで組み合わせ、構成していきます。


お客様の注文を受けて、新鮮な魚をさばき、好みの料理法と味付けで細工のできる、すし職人のようででありたいと、毎日願ってレッスンを続けています。


もう1貫だけまぐろを食べたいとか、そろそろ茶碗蒸しが食べたいとか、何も言わなくても、だんだんとその子の顔を見ればわかるようになってきました。

あぶらも乗ったトロを堪能させるために、あえてさっぱりした光物を先に出したりすることも、できるようになりました。


どの教材が、今のその子の口にはあうとか、あわないとかも、おおよそわかるようになって来たし、あとどれくらいの期間いっしょに勉強したら、その教材の本当のおいしさが味わえるのかも、わかってきました。


基本的に、子どもはみんな学びたいし、向上したいのです。

そもそも、おすしが大好きでここに来ているのですから、新鮮な素材を、ていねいに提供すれば、結果は自ずからついてくるのです。


いつだったか、「SHINOBU先生は、いつも同じ教材ばかり使っている」 と、ご指摘を受けたことがあります。

なるほど、少し怠慢な面もあったと反省しました。

でも、あえて言わせていただければ、例えば、手作りの場面絵とそれに対応したひらがなのカードさえあれば、就学前の子どもの言語指導のバリエーションは、何十通りも構成することができます。

同じ魚であっても、お刺身であったり、煮物であったり、焼き物であったり、おなべであったり、幾通りでもバリエーションは構成できるのです。

おなじまぐろであっても、要は、素材と料理の腕次第だと、私は思っています。


子どもがおいしそうに教材に取り組んでくれると、次は、どんな味付けにしてやろうかと、とっても楽しみになってきます。


栄養のバランスを考えて、時には、口に合わないものも食べられる子にしなくてはいけません。

ですが、私の役割は、

「ぼくにもできる!」

勉強が大好きになって、どんどん前に進んでいく子どもを育てることです。


あなたの嫌いなくせのある魚を、どう調理すれば、おいしかったと言ってもらえるか?

ここまで来れば、探求心は深まるばかりです。


お母さんのくださった大切な時間を、あなたにとって意味のある時間にしてあげたい、

私は、あなたの笑顔が大好きです。





この記事は、「特別支援教育人気記事ランキング1位」に選ばれました。 (2012-09-1)




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オーガナイズドされた支援

 2012-08-02
先々週、久々にかれんちゃんのレッスンがありました。

ご両親が超多忙で、このところ6週間続けて、送迎などの都合でお休みとなってしまいました。

知育いすデスクでの学習状況や、研究データの収集などの打合せも必要なので、急遽、お母さんがビデオを回してのレッスンとなってしまいました。


6週間ぶり、

小学校に入って幾度もレッスンができていない、

事前の心の準備ができていない、

知育いすデスクでの学習の手順や見通しが、十分に共有化できていない、


お母さんが同席、

ビデオが回っているという心理的な特殊性・・

条件は、相当厳しいものがありました。


まあ、それでも状況的にやらなければならないと覚悟を決め、手探りながらもレッスンを開始しました。

やっぱり、どう考えても、舞い上がっているかれんちゃんと私、

正直、あぶら汗がダラダラと出るような感じでした。


レッスンそのものの出来は、30点ぐらいだったと思います。

せっかくの機会だったので、もっともっといい場面をお見せして、かれんちゃんとお母さんのモチベーションを高めてやりたかったと感じました。

この子のはまったときの、他の子にには決して真似のできないすばらしいパフォーマンスを、私は何度も体感してきましたから・・


でも、今後につながる収穫がまったくなかったわけではありません。

ここ数週間で、ずいぶん学びのフィールドに足を踏み入れてきたように思います。

もともとアウトプットは苦手でも、豊かな内言語が育っている子です。

聴覚性の言語指示で、内容を示した図柄をパーフェクトに選択し、学習の達成感を共有できたことなどは、これからの学習の組み立ての、大きな武器になっていくでしょう。


子どもの育ちや意欲の温度を感じ取り、内容的にも、環境的にも、周到な準備を構成して臨まなければ、個別指導は成立しません。

子どものまなざしの、ちょっとした変化をつかみ、その変化に対応できる教材を、自分の手に届く位置に準備しておかなければなりません。


「ちょっと待って」

3秒も空くと、その瞬間にその達成動機は、霧散してしまいます。


「はい、待ってました」

とばかりに、1秒以内に、笑顔で新教材を提示できる、

これこそが、オーガナイズドされた環境であり、支援であるのです。


この日のレッスンでは、ボロボロになりながらも、次につながる大切なネタをいくつか見つけることができました。


先週は、ご両親ではなく、別の先生が送迎をしてくださいました。

先々週と比べると、やっぱり、ずいぶんと安定してきました。

得意な所、やりたがっている内容も、かなり具体的につかめるようになってきました。

ならば、徐々にカレーににんじんを入れていく作戦にしようと、レッスンの方向性も何となく、明確に見えてくるようになりました。


しばらく経って、かれんちゃんのお母さんのブログを見ると、その日の様子が書かれていました。

いやはやお恥ずかしい・・


3歳くらいの頃から、何年もかけて育ててきたこの内言語の豊かさと、コミュニケートの楽しさを、このままで終わらせることがあってはなりません。


明日もまた、かれんちゃんのレッスンがあります。

かれんちゃん、そしてかれんちゃんのお母さんの後ろには、後に続くたくさんのご家族の願いが込められているのです。


微力ではあるけれど、何としても、すべてのご家族のお気持ちに、お応えできる力を身につけたい、

心からそう願うのでありました。



この記事は、「特別支援教育人気記事ランキング1位」に選ばれました。 (2012-08-04)



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フレームを同じにするという支援

 2012-07-25
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ご覧の通り、私の教室には、電車図鑑・乗り物図鑑、戦隊ヒーローや仮面ライダーの本がたくさんあります。

このテのキャラクターに、とっぷりとはまっているお子さんも、きっと多いのではないかと思いますが、それがどうしてだか、皆さんはお考えになったことがわかりますか?


私の教室に通ってくれている子で考えれば、こうした電車や戦隊ものにはまる子は、同時処理系優位の認知特性の子が圧倒的に多いのです。

では、どうして同時処理系の認知特性の子が、電車や戦隊ものにはまるかというと、フレームが同じでありながら、特徴がとらえやすいからだと私は考えています。


仮面ライダーの1号と2号、知らない人がみるとどちらがどちらかわかりません。

でも、「赤いこぶしは正義のしるし」 2号の手袋はしっかり赤くなっているのです。


赤・青・黄・緑・ピンク・・

ベーシックな戦隊ヒーローのカラーは同じでも、ゴーカイジャーの胸には、しっかりクロスした剣のマークが刻まれています。


上越新幹線、E1系には鮮やかな赤のライン、秋田新幹線E3系はさわやかなグリーンのライン、そういう目でみれば、形や色の特徴が明確にとらやすくなります。

AKB48のメンバーの顔が全員同じに見える、継次処理優位のSHINOBU先生のとらえ方と、この子たちの目に映るとらえ方が、全く同じであろうはずがありません。

彼らにとっては、この視覚性の同時刺激こそが、言語に代わる代替コミュニケーションツールの一部となっているのです。

だからはまるし、快刺激となるのです。


こうして、その子の目に映る事象が、どのようなものであるのかについてアンテナを張っていると、その方略や手だても自然に浮かんできす。


まずは、同じフレームでとらえさせてみる、

その安定したフレームで、ぐんぐん内容を積み上げていく、

そしてフレームが変化しても、認知できる力を培おうというのなら、そこに支援を入れてフェードアウトしていくか、育ちに応じて段階的にスモールステップを刻んでやる、

育ての道筋は、幾通りだってあるのです。


そこが鍛え伸ばす内容であるのか、理解し支援を入れる部分なのかの判断には、高度な専門性が必要です。

ただ、苦手なことの裏には、必ずその子の得意なことが隠されている、

そう信じられる者こそ、教育者の名に値するのだと、私は考えています。




この記事は、「特別支援教育人気記事ランキング1位」に選ばれました。 (2012-07-26)





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プロンプトフェーディング 共に歩んだ3年間

 2012-07-16
今日は大阪レッスンの日でした。


お申し込みの9人の方が、一人も休まずレッスンに来てくださいました。

あの時、年長さんだった子も、もう3年生になりました。


大阪でのレッスンが始まった頃は、前日は大阪に泊まり込み、次の日の準備を必死でしたものでした。

まだまだ駆け出しの頃で、個別指導の技術も経験も、十分なものではありませんでしたが、この日にかける意気込みだけは、今以上のものがありました。


9人のレッスンが終わって岡山に帰ると、いつも11時過ぎになっていました。

ヘトヘトになって、精も根も尽き果てて、沈むように眠っていた日々を思い出します。


レッスンが、パーフェクトに出来た事なんて、ほとんどありません。

でも、何度エラーをしようが、何回三振をしようが、毎回休まずお越しくださるご家族のまなざしはあたたかく、私に期待して託してくださるその信念と深い愛情は、いつも私を次へ次へと、、新しいステージに押し上げてくださるのでした。


子どもの学びや育てのアプローチは、百万通りあり、絶対的なものは存在しないと、私は考えています。

何かのアプローチが正しくて、すべての子の、すべてのケースに、その事がオールマイティに通用するなんてことも、あり得ないと思っています。


そんな中で、私は、応用行動分析のプロンプトフェーディング(支援除去法)を、その育て理念の中核に据え、これ1本で、様々な教材を生み出し、独自の支援方法を開発してきました。


岡山で、まもなく3歳になる男の子のお母さんから、先日、以下のような内容のメールをいただきました。


昨日は、SHINOBU先生のマンツーマンレッスンをありがとうございました!

前夜あまり睡眠が取れてなかったので、今回はちゃんとできないかも…と不安を抱えつつでしたが、楽しくレッスンさせていただいて、感謝でした!

行きと帰りの車の中では寝ていました。帰ってからも夕食前に寝てしまい…。本当にこんな状態で良くレッスンできたと思います!

毎週通っている言語療育では、ひとつの歌が終わると泣き、椅子から脱走しようとするのですが(汗)。

マンツーマンレッスンの回数も、年令が上がるごとに増やせていけたらいいなあと思っていますので、どうぞよろしくお願い いたします!



この日の大阪のレッスンで、「SHINOBU先生のレッスンの時だけ、この子は別人のように集中して取り組むのが、毎回不思議でたまりません」 とおっしゃってくださったお母さんがいます。


プロンプトフェーディングの神髄が何なのか?

ここ数年の10,000時間を超える個別指導の臨床場面から、それとなく自分なりのその後ろ姿が見えてきたように感じることがあります。


あの日、レッスンがうまく行かず、カーテンに丸まって出てこなかった女の子も、座って学習することができず、一緒にサッカーをして時間を過ごしていたもう男の子も、今では立派な小学生になり、今日のレッスンでは、教科学習だけで、十分に45分集中して学習に取り組むことができました。

何はなくても、私には、この子たちと過ごした個別指導の実践と、プロンプトフェーディングの技がある、


私にとっては、最大の財産となっているこの事は、むしろ、これからに生かすためにあるのだと思っています。


つきつめてしまえば、私には、この技1本

探求の道は、これからもずっと続いていくのです。



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個別指導 3年間の成果

 2011-01-14
あの時、1年生だった花子ちゃんも今は4年生。 この春には、高学年の仲間入りです。

あれから毎週、90分のレッスンを、ずっと楽しみにしてくれました。


「今日くらいは、休んだら?」

そうお母さんに言われた日でも、休むことはありませんでした。

少しくらい体調が悪くても、校外学習から帰ったその日でも、くたくたに疲れているはずの日であっても、必ず私の教室には来てくれました。


初年度から私の教室に来てくれた子は、今3年目のレッスンを受けてくれていることになります。

学校教育と違って、多くの子は、1週間にたった一度だけのレッスンです。

しかし、こうして継続的に3年、目標を明確に定めて、個別指導を積み上げると、それぞれの子にそれなりの成長の跡が伺えます。


もちろん子どもですから、成長するのは当たり前のことです。

その成長が、私だけの手柄であろうはずがありません。


この教室を開くとき、私はこの教室の教育目標を、「肯定的な自己理解力の育成」 と明確に定めました。

今、私が実感しているのは、そのことに対する手応えに他なりません。


先日、太郎君のお母さんから、うれしいメールをいただきました。

このところ、算数で大きな手応えを感じている太郎君、家庭や学校でも、その算数の学習に対する前向きな態度が見られ始めたという内容でした。

私自身は前に進んでいる自信はありましたが、なかなかそれが形として表れてにくかったですからね。

ここに来て、これまで2年にわたって培ってきた数感覚を、やっと形にして表現できるレベルに育ってきました。


こんなに時間がかかって済みません。

正直、そんな気持ちです。

よくぞ、これまで信頼し、辛抱して待ってくださいました。

感謝の気持ちで一杯です。


例えば、英会話にしても、ピアノにしても、1年・2年で完成できるものではありませんよね。

言語や、数量の分野だって、似たようなところがあります。


子どもにとって、オフィシャルな集団での学びは、命です。

と同時に、その子の特性に応じた、行き届いた個別の学びも大切です。

それをごちゃまぜに考えてはいけない。その双方が、重要なわけです。

せめて3年、ねらいを明確に定めて、継続してじっくり培っていけるような学びの場を、それを必要としている子には、最低限保障してやりたい。

1年単位では、出来ることと出来ないことがあります。


その大切さと実績を世に示していくことは、私に与えられた大切な役割の一つと思っています。

できるようなりたい、わかるようになりたい。

子どものその気持ちに応えてやることは、大人としての責務です。


教室を始めた時の、あの時の気持ちを、ずっと忘れないようにしたいと願っているのです。



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家庭でもできる個別支援の基本テクニック

 2010-03-02
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上の画像のような、色別のカラーボールをペグに差していく課題。

私、何度も何度も、あのカラーボールを、子どもに放り投げられてしまいました。(笑)

あなたなら、どうやって子どもがこの課題を達成できるよう支援していきますか?


私の個別支援のテクニックは、簡単に説明すると、スモールステップとプロンプトフェーディング、この2つの柱で集約されます。

スモールステップというのは、いっぺんにこの課題を済ませてしまうのではなく、細かな課題に小分けして、小さな階段を一歩ずつ登らせていくやり方です。

子どもの今のレベルと、活動の目的とが見えていれば、自然に課題は小分けすることができます。

まず、巧緻性が育ってない子どもには、穴の開いた部分を上に向けて一個ずつ手渡してやります。穴を上にして握ることができれば、たいていの子がスポッとペグに差し込むことができます。

15というボールの数が、集中力の限界を超えている子、心理的な負担感が強い子には、5個ずつ3回に分けて課題に取り組ます方法もあります。

また、色の識別や認知が不十分な子には、まず青色だけを事前に選んでトレイに入れ、青色のペグにだけ提示して、あとのペグには差し込まないようにさせます。

青 → 緑 → 黄 → 橙 → 赤 というように、順々にトレイを子どもに渡すのです。


最初は、支援100%の大人のやらせでいいのです。

専門用語では、これをフルプロントと言ったりします。

こうやって最初は厚い支援を施しながら、子どもに小さなステップを一歩ずつ登らせて、達成感をもたせ、モチベーションを高めるのです。

子どもによっては、何度かこれをやると、支援を必要としなくなります。 不必要な支援を、嫌がるようになります。

子どもは、基本的に一人でできるようになりたいと願っているのです。

このことを信じているからこそ、最初はフルプロンプトで構わないと思っています。


子どもが自分でやりたくなったら、余計な支援を少しずつ除去していきます。

この手法を、プロンプトフェーディング法といいます。

支援をしてうまくいくのと、下手くそだけど自分でやるのとでは、圧倒的に下手でも自分でやるこの子の方がレベルが高いのです。

ノープロンプト (支援なし) で、子どもが取り組むようになったら、そりゃあしめたものです。 それなら、できたも同然です。

一度間違えても、再試行できるようになったら、子どもははっきりとその課題をクリアできるレベルまで育ったということになります。

こうなることを見通して、簡単なことからスタートさせる。

これが私の個別支援の基本テクニックなのです。


どんなに困難で遠い目標であっても、子どもの特性を理解し、課題分析が正しくできていたなら、時間はかかっても、いつかは必ず達成可能です。

夢のある手法だと、思いませんか?


時には、ハードな課題にチャレンジしていくことは、とても大切な事だと考えています。

ボールを放り投げたら、ちゃんと 「それはいけないことだ」 と教えてやることも大事です。

しかし、個別の指導場面では、なぜボールを放り投げずにいられなかったか? その行動の読み解きは、とても重要な要素となるのです。


個別指導場面において、たとえ小さな一歩であっても、それは未来へ、希望へとつながる大切な一歩、そう信じて取り組む指導者と、ろくな手立てもしないで丸投げしてしまう指導者。

10年後、子どもが実際に育っているのは、一体どちらなのでしょう?




昨日4年生の男の子の指導を行いました。

私の関わっている子の中では、字をていねいに書くことができる子は、同時処理優位タイプの子が多いのです。

この子は、漢字をとてもきれいに書くことができます。

しかし、一歩順序性のステップを踏み外すと、理解はそこで中断します。

算数や社会など、図式で解説すると、余計に混乱します。

言語で、ていねいに、順序立てて教えてやる方が、理解度は格段に高くなります。

完全な継次処理優位の認知処理様式です。

わかってない訳じゃなくて、知識を結びつけるのが苦手なだけです。

こういう子には、「何々の△△」 というように呼び水となるキーワードと、関連づけさせるプライミングの手法が効果的です。

漢字がきれいにかけるという事実が、逆に私に勝手な思いこみをさせ、細かい部分での理解が不十分であったと、深く反省しています。

とてもではありませんが、「何々症には絵カードが有効」 というようなレベルでは、こうした具体的な個別指導場面に太刀打ちできません。

特性理解と言いながら、むしろ、一般的な特性に対する勝手な思いこみが、その子への正しい理解を妨げる場合だってあるのです。



深い子どもの特性理解と、スモールステップ。

言ってしまえばしれだけのことですが、なかなかどうして奥は深い。

奥が深いからこそ、探求心が煽られるし、子ども自信が自らの力で、私の支援から巣立ったときの感動はひとしおです。


「お母さん、このおかしの袋、あけてちょうだい~」

「そう、じゃあ、お母さんが袋の開け方、教えてあげるね~」

お母さんは、ポテトチップの袋をちょっとだけ開けて、そのお子さんに差し出しました。

子どもは、しっかりとお母さんのやり方を見ていて、自分で上手に袋を開けることができました。

「すごいね。一人でできたのね。」

次からはもう、お母さんの支援は必要でなくなりました。


原理は単純です。

専門知識も、むずかしい言葉もいりません。

必要なのは、深い子どもへの愛情と理解、そしてちょっとした工夫だけです。


家庭には、家庭にしかできない味があります。

私には、ご家庭の味は出せません。

お子様の大好きなすてきなカレーを、是非おうちでも作っていただきたいと願っています。


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「すべての子どもに 集団での学びと 特性に応じた適切な個別指導の場を」

長所活用型指導の具体的な実践事例 (4年・男子)

 2010-01-21
長所活用型指導というものがあります。

私の教室では、ほとんどの場合、このスタイルをとっています。

これは、「4年生だから、これをしましょう」 ではなくて、その子の深い特性理解に基づいて、その子の良いところを伸ばし、それを活用していくことによって、学びへのモチベーションを高め、苦手なことをも克服してしまおうという試みです。


この日、私は一つの決心をもって、この子に向き合いました。

それは、たとえ遠回りになったとしても、この子が今わかっている学習内容をていねいに読み解き、小さなステップを無理なく登らせていこう、という決心でした。

いつも心がけているつもりであっても、指導の前に、お母さんから情報やら、学びの願いについてお知らせしていただいていましたから、いつの間にか結果を焦りすぎてしまっていたようです。

私、そんな自分に気がつき、大いに反省をさせられました。


指導には、気合いが不可欠です。

でも、是非とも理解させたいと願うなら、強い語気で子どもに迫るのではなく、そのエネルギーは、指導の工夫に費やし、笑顔で子どもに向き合うべきです。

周到な準備をし、指導に自身があるのなら、語気は穏やかになり、たとえつまずきがあっても、待ってましたとばかりに、余裕で、笑顔で対応できるはずです。

指導する側に、あせる気持ちが強かったり、自信がない時に限って、語気だけが強くなり、子どもの気持ちを痛めることになるのです。

挙げ句の果てに、「何でこんな事も分からないの?」 そんな禁句が飛び出したりします。

子どもはやる気をなくし、思考のシャッターをガラガラと降ろし、ジ・エンド・・

最悪です。


私でさえ、そんなことになってしまう可能性があります。

私、ここ何回かの指導を振り返り、この子の学びの温度が、少し低下しかけているのを感じてしまったのです。

これは、死活問題です。


この日は、漢字の読み書き、算数(概数の計算)、文章読解プリント、の3つの学習内容を構成しました。

気合いを入れて、今回はいつも以上に周到準備をして置きました。


この子の認知特性と、これまでの学習の経過から、もしかしたらつまずくかも知れないと思われる場面を、事前にていねいに予測し、対応策を十分検討し、これなら必ずできるというイメージをこしらえて指導に臨みました。

決して声は荒げません。

が、最初少し学習から逃げ腰の彼を、しっかりとつなぎとめる所から、この日の学習はスタートしました。


既習学習の漢字の読みからスタートし、情報を与えておいた上で、漢字の書き取りをさせました。 苦手な文字が出た場合は、自分で調べさせました。 資料は待ってましたとばかりに、事前に準備しています。

再テストをし、この日の課題がパーフェクトに出来たことを示し、達成感をもたせ、学習にリズムを付けます。

この辺りから、彼のモチベーションは、一気に高まってきました。


算数の概数の学習では、彼が混乱しような問題は、小さなステップを提示し、既習事項を使えば、クリアできるように配慮しました。

例えば、5151を一万の位の概数にすると、10000になりますが、これは意外と分かりにくい。

なぜなら、ただの5000を、10000と見る機会が少ないからです。

でも25151なら、意外とすぐに30000と答えが出せる。 これまで、似たような問題を、何回か自力で解いてきた経験があるからです。

ならば、
25151 → 30000
15151 → 20000
 5151 →   ?

と、提示しれやれば、「あっ、そうか!」 となるわけです。


「じゃあ、8151は?」

「9151は?」

もう大楽勝です。 ここでたっぷりとほめると、モチベーションはさらに高まります。


国語の読解問題では、この子の場合、ひとつの言葉が多義的に使われると、混乱するタイプです。

また、一つでもわかりにくい言葉があると、文脈を見失いがちです。

中心となる内容をはっきりと図示し、それに細かい内容を関連させて、視覚的にとらえさせると理解が進みます。

先日紹介した友里ちゃんみたいな読解指導が有効なタイプです。

この日は、残り時間が少なくなり、読解プリントは1枚ちょっとしか出来ませんでしたが、それで十分です。

学習の手応えは、決して枚数に比例するわけではありませんから・・


この日、早速お母さんから、以下のようなメールをいただきました。





今日もご指導ありがとうございました。

今日はどうだった?と聞くと
楽しかったで!意外と! との返事でした (*^^)v

最近はこの質問に、頑張ったで! と答えていたように思います。

先生同様、とても充実した時間だったようです。

私が何となく感じていたことを、先生が話され始めた時は、ちょっと驚きましたが、やっぱりそうだよな~と大きく大きく心の中でうなづいていました。

これからも先生のところで学ぶ楽しさ、喜びをたくさん味わって自信をつけて行ってくれたらと思います。

教室を出る前から、次はいつ!?って聞いたの、初めてじゃないですかね (^^♪

次回もよろしくお願いします。可能な限り“情報”をメールしますので…!





やっぱりね。 やりました。

結果としては、学習内容も、理解度も、達成感も、前回までのものとは比較にならない程、向上していました。

私も、彼も、次回のレッスンに大きなはずみがつきました。


長所活用型指導と言えば聞こえがいいですが、それは決して万能薬ではありません。

特に、学校・園では、基本は短所矯正指導でなければならないと思います。


短所矯正と言ってしまえば、聞こえは悪いですが、言い換えればそれは、「子どもの可能性を信じて、チャレンジさせる」 最もベーシックで大切な教育の営みです。

学校・園での、こうした営みがあればこそ、私の長所活用型指導が生きるのです。

学校・園には、学校・園でしかできない、専門性と役割があるのです。

それは、家庭にも同じ事が言えます。


子どもの特性理解は重要ですが、にわか勉強の、安直・丸かじりは禁物です。

個別指導教室と、療育と、学校・園とでは、果たす役割も専門性も大きく異なります。

それぞれが同じ事をするのではなく、同じ目標に向かって、それぞれが最も専門性の生きる指導を行うことが重要なのだと思っています。

特に、学校・園においては、集団の中に、その子のしっかりとした居場所がありうことが不可欠だと思います。

それがあってこそ、個別指導が生きてくるのです。

その形も、様々です。


熱い気持ちと共に必要なのは、冷静で深い判断と、努力と工夫の積み重ねだと思います。

それぞれが機関が持ち味を発揮し、子どもが生き生きと学び育つ環境を・・

私も、自分の役割をしっかりと見つめていきたいと思っています。


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子どもの視線で物が見えるということ  (AD/HDの疑似体験から)

 2008-12-23
先日ニュースを見ていると、ある特殊なめがねをかけると、AD/HDの方が、どんな風に世界と接しているかがバーチャルに体験できる装置が開発されたことが伝えられていました。

途中で、えじそんクラブの高山恵子さんが登場して、コメントを添えられていて、さすがにいろいろなことにチャレンジする高山さんらしいな、と感心しました。

個別指導をしているときに感じることですが、勉強、できるようになりたくない、と思っている子は一人もいません。

むしろ、人よりも何倍も勉強したいのに、それがうまく行かないから苦しんでいる・・ そんな場合がほとんどです。

ところが、どうしてその子がたし算ができないか? どうして 「大」 という字が書けないのか? どうして、四則計算の判断ができないのか? どうして逐次読みから抜け出せないのか? そのメカニズムが理解できないときには、なかなかリズムに乗った指導ができません。

私の指導の大半は、活動を通してそのメカニズムを解明する営みであるような気がします。

サイコロの目の6を見て、なぜそれが 「6」 と瞬時に判断できないのか? 私には理解できませんでした。 でも、そのことが数の認知の大きな妨げになっていることは、すぐにわかりました。

たったら、そこだけアシストすれば、計算ができるようになるのでは? というのが、私の思いでした。

こうやってつまずきの部分を補助してやると、それまで固まっていた流れが動き出すようになります。

プラグの接触が悪くて動かなかった車に、エンジンがかかったような感じです。

こうして車が動き出すと、不思議な物ですね、3ヶ月も過ぎると、サイコロの目が 「6」 と読めるようになっているのです。

いわゆる多感覚同時刺激(=マルチセンソリー)により、それを 「6」 と、とらえることができるようになったのではないかと考えています。


私は、教材探しに、 「100円ショップ」 「書店」 「トイザらス」 などに毎週出かけます。

最初の頃は、これ良いかも、と思って買った商品が全く役に立たず、ゴミの山を作っていましたが、最近は、これは太郎君とイチロー君にはピッタリだ、とか、花子ちゃんにはこれ、友里ちゃんにはこれ、というようにかなり打率が上がってきたように思います。

日々成長してますからね、どれだけ子どもの今をとらえられるか? そのアセスメント力が、プロとしての力量だと思っています。

バーチャル眼鏡、どこにも売っていませんからね~

定番プログラムでマニュアル通りに教えられたら、どんなに楽なことか知れません。

でも、そんなものにをしようとは、ちっとも思わないのです。 

発達の最近接領域の構成、これこそが教育者としての誇りであり、魅力ではありませんか? ここは医療でもなく、関係機関でもなく、教育者の仕事です。

SHINOBU先生と勉強して楽しい、の中身はぜひこれであって欲しいと願っています。


発達のテクニカルなこともしっかりと勉強しながら、本業である教育のプロとしての専門性を発揮してこそ、真の連携と言えるのかも知れません。

しかし、学校には個別指導の文化はありません。

ならば、集団の特性を生かした学習の再構成を行うか、個別指導の場と文化を新たに構成するか、どちらかになるのではないかと思います。

私は、どちらも工夫の余地がある楽しい仕事だと思います。

これも形や枠で決めるのではなく、太郎君、花子ちゃん、という目線で見ることが大切なんだと思っています。

売ってはいないけれど、心の中にバーチャル眼鏡をもっているかどうか、そこが大事なことであり、すばらしい先生というのは、いつもそういうことをされている先生なんだと思っています。

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「あっ そうか!」 子どもの認知力がアップする決定的瞬間 (学習場面におけるAHA体験)

 2008-12-07
まずは、下の指の写真をご覧ください。 これは、4月ごろに花子ちゃんの算数指導で使用したものです。


DSC00633.jpg
↑ 名刺判のカードに印刷しました。


DSC00632.jpg
↑ 指はうちの奥さんの指 ブログ初登場です(笑)


花子ちゃんは4月頃には、指で 「7」 と示しても、それを ぱっと見て 「7」 と認識することが、苦手でした。 カードを示しても、初めはやっぱり写真の指を1本ずつ数えていました。

私たちは、それが当たり前であるかのように、指を見て 「7」 と判断していますが、当の子どもはこうした状態であることもあるわけです。

4月の頃、花子ちゃんとこのカードを使って、「これはいくつ?」 「3!」 「やったー 大正解!」なんて学習をかなりやりました。

でもね、この頃は、繰り上がりの計算も速くて正確になりましたよ。 もう 「7」 でも何でも、瞬時に認知できるようになりました。 サイコロの目もマスターし、数え棒ゲーム・すごろくゲームなどで、十進位取り記数法や数認知のスキルも格段に向上しました。 目をみはる進歩です。


この下の映像も、花子ちゃんといっしょに取り組んだ形の認知学習です。 (ソフトは 「がくげい・ランドセル 小学1年生」 です。


DSC00628.jpg
↑ これだとごちゃごちゃしてわかりにくい形も 


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↑ こうすれば、形の認知がしっかりできます



ひとつだけ違った形を選ぶ問題ですが、ボーリングのボールの穴とサイコロの目がじゃまをして、「球」 と 「立方体」 との識別の方に意識が向きません。 こうした余計な情報が、形の認知を妨げていたのです。

花子ちゃんは、これまで何度もこのテの問題でつまずいていました。

ところが、こうした余計な情報を消去した下の緑色の立体を目にした花子ちゃんは、 「あっ、そうか、わかった!」 と力強くつぶやきました。

 ついに来ましたね、脳内のネットワークが、瞬時につながるAHA(アハ)体験です。 (こうした場に遭遇するのは、指導にたずさわる者としての最高の瞬間です)

いわゆるカクテルパーティー効果と言って、余計の情報の中から、ポイントのなる情報のみを選択して取り入れることができるようになり、これまで学習してきた、形の認知の様々の情報が、一気に集約されたわけです。

私は、「やった」 と心の中で叫んでいました。 大げさに言えば、この日のために半年間、様々な算数的な活動に時間を費やし、工夫を重ねてきたわけです。

ご家族の方には、この算数ゲームに、合計で言えば何万円という私の指導料をご負担いただいたことになります。私を信頼して応援してくださったご家族に、やっとひとつ恩返しをさせていただくことができました。


三角カードの敷き詰め学習も、そりゃあ たっぷり時間を書けました。 花子ちゃんは、書字の時、まっすぐの 「田」 はちゃんと書けるのに カーブの入った 「大」 という字を書くのは苦手です。 斜めの形の視覚認知が、あまり得意ではないようです。

花子ちゃんは、以前は私の支援なしでは全くクリアできなかった、三角系の形のマッチング課題に自分から挑戦し始めました。 4月には、支援つきでも途中で投げ出して、涙を浮かべていた課題に、今回は自分から選んで挑戦です。

そりゃできますよ。 書字能力自体もあれだけ向上しているのですから・・  と思っていた私にも、内心はドキドキして注目していました。


DSC00631.jpg
↑ 4月頃は、支援なしではとてもクリアできなった
  マッチング課題も


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↑ この日は、見事にノープロンプトで1発クリア 
  (感動じゃ~)


結果は → お見事、花子ちゃん大成功! でした。 つまづきは、一切なし。 何と晴れやかな笑顔でなのしょう。 新しい世界への重い扉を、自分の力でこじ開けたのです。

指導時間は90分のお約束なのですが、気がついたらもうとっくに120分を超えていました。 実は、今お知らせした内容は、この日の指導プログラムのおまけの部分で、花子ちゃんへのこの日の勉強のごほうびとして、与えた時間の出来事なのです。

こういう所に、実は大切なことが潜んでいるのは、よくあることです。 これも、子どもの可能性を信じて寄り添う指導者と、ご家族とのゆるぎない信頼感があればこそできる話です。

この日の岡山はかなり冷え込みました。 でも花子ちゃんは薄着のまま外に出て、ちぎれるように手を振りながら、私の車を見送ってくれました。

4月に使った指カードを見ると、私は思わず、涙がこぼれそうになったじゃありませんんか・・・

一足早い、クリスマスプレゼント!

この子は、次にどんな感動を、私にプレゼントしてくれるのでしょうか?

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大切なのは特徴を知ること それに合ったものを用意すること そしてほめること (SHINOBU流 長所活用型指導)

 2008-09-02
このブログは始めて半年余りになりますが、多くの方の貴重なのお取り組みや事例にふれることができ、発達面で課題のあるお子さんの読み・書き・計算など基礎学力を育てていくために大切なことを、吸収させていただくことができました。

教育の仕事は、奥が深いですね。 これですべて、というものは存在しない。

Aちゃんに良いからと言って、Bちゃんにも良いとは限らない。

1年生ときの指導法が、3年生でもそっくりそのまま有効であるとは限らない。

定番や既製品が合う場合もありますが、やっぱり基本はオリジナルなんだと思います。

そういった意味で、たとえつまずきがあったとしても、お子さんの特徴を見つめ、それにあった教材を準備できるかどうかということが、命なんだと感じています。

花子ちゃんの書字については、昨日のコメントでseiさんからアドバイスをいただいたり、これまでの取り組みを振り返ったり、新しく買った本を読んでみたりして、少しイメージが広がってきました。

花子ちゃんの苦手な文字は、例えば「色」であったり「教」であったり「友」であったりします。

逆に得意な文字は、「同」であったり「書」であったり「生」であったりします。

画数多い字はだめですね。 でも、これはへんやつくりを分解してとらえさせることで、サポートできます。

次は、曲がったり斜めだったり、縦横まっすぐでない特殊な形はむずかしいですね。「色」の長い曲がった部分書くの、大変そうです。先生の「先」という字のカーブも苦手です。

花子ちゃんは、ストレートには強いが、カーブに弱いバッターです。

そうとわかれば、方法はあります。 まず、得意な漢字・わかりやすい漢字・そして「木」や言」などへんやつくりで今後使えそうな字を選んで、自信をつけさせます。 

今度は、それを組み合わせていくと、かなりの数の字をマスターすることができます。

それから、今度はにがてなカーブ文字を、段階的にスモールステップでとらえさせれば良いわけです。

この辺は、これまでやってきた数量指導と同じ手順で進められるので、見通しはもてます。

ここまでイメージが浮かんでくると、教材作りは楽しいものです。 こちらが楽しいと思えているうちは、花子ちゃんもきっと楽しいはずです。

家庭学習で一番むずかしいのは、「我が子をほめる」ということです。私は自分の娘の勉強を教えた経験がありますが、「何でこんなこともわかなないのか」と、何度人格を踏みにじるような発言をしたかわかりません。

「おこる」には、即効性がありますが、持続性はありません。 私の経験からすれば、結局、「おこる」主体の指導・支援は長続きしないと考えた方が、正解だと思います。

わかってしまえば、単純なことです。 単純に整理できてこそ、それが本物に近い証拠なのかも知れません。

現実場面は、いろいろな要素が複雑に絡み合っており、それを整理するにも、観点が必要になってきます。

その観点は、子どもの良いところを見つけ、そこからできないことへのステップ・道筋をつけると言うことだと思います。

その一例が、花子ちゃんの書字です。 

これが、SHINOBU流の長所活用型指導のスタイルです。

私だって、10回バット振って、何個ヒットするかわかりませんよ。

百発百中なんて、ありえません。

打率、かなり低いかも知れませんが、バット振らなきゃボールに当たりません。

その分、うまく言ったときの気分は、最高です。花子ちゃんの指導場面でも、何度も「よっしゃー」と言って喜び分かち合いました。

これがあるから、止められません。

どうかみなさん、いろいろなご苦労もあろうとは思いますが、これからもお子さんにしっかりと寄り添いながら、歩んでいってほしいと願っております。

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学習したバラバラのことをつなげる営み (SHINOBU流・個別教育計画)

 2008-07-24
今日は友里ちゃんの2回目の個別学習。

友里ちゃんは、割算の筆算も楽々出来ます。勉強が大好きな女の子です。

しかし、数図ブロックの9を見て、ぱっと「9」と答えるのではなく、いちいち「1・2・3・4・・・・・」と9まで数えます。

これは、具体物の「9」と数図ブロックのような半具体物の「9」と数詞の「9」と数字の「9」とが、まだしっかりとつながってきない証拠です。

おもしろいことに、数図ブロックを印刷したカードは、ぱっと見て「9」というのに、本物の数図ブロックとなると、また「1・2・3・4・・・・」と数えちゃいます。

印刷したカードと、本物の数図ブロックを横に並べて、これは同じだから、いちいち数えなくても「9」だとわかるよね? と言ったら、キツネにつままれたような顔をしました。

私は、心の中で「ふむふむ、もうつながる日は近い」と確信しました。

こうした学習したバラバラな知識は、じわりじわりつながるのではなく、その日その時、お風呂の中や、いかフライを食べているときに、突然つながります。

まさに脳内でニューロン&シナップスが、ネットワークを形成した瞬間です。

私は、何度もこうした瞬間に出会いました。

ある日、1年生の自閉症の男の子が、十の位の意味がわかったときに、「わかったー」と突然大きな声でさけんだことがあります。

その時の高揚した表情は、今でも目に焼き付いて離れません。

しかし、ただ口を開けて、饅頭が落ちて来るのを待っていても、なかなか思うようには行きません

あの手・この手で、周辺の刺激を送り続けておくことが重要です。

いくつかポイントをあげると

① 一日目は予備刺激(あせってはいけません。まずは予告編(呼び水くらい)で。

② 最低でも3回は、日にちを空けて、同じ刺激を繰り返す

③ もろに苦手なことだけに焦点を当てず、最初は得意なことに付け足す形で(絵+言葉=二系統同時刺激)を

④ つまずいたことを見通して、ふところに「必殺ヒントカード」の準備を

⑤ 小なるべくさなステップで一歩ずつ、できたら表やカードによる形成的評価で達成感を

と、いうところでしょうか?

発想としては、今その子のもっている学習のレパートリーを、広げ、体系づけてやる作業と言えるのかも知れません。

これを、就労とか、社会的自立とか、その子の成長と幸せという観点から優先順位をつけて、整理したら、それが現在のSHINOBU流の教育計画となるわけです。

まだまだ勉強して、改善していきたいとは思いますが、とにかく2回目の学習は、1回目よりいろいろなことが見えた収穫の多い学習になりました。

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文字を読んで 状況や感情を理解していくというプロセス

 2008-07-23
花子ちゃんは、文字を書くのは苦手ですが、本読みはとても上手です。

今は、「マリと子犬のものがたり」という本を指導の後で読んでくれます。2年生の花子ちゃんには、ちょっと難しい、中学年以上~の対象の本ですが、いつも楽しそうに読んでくれます。

まだ習っていない新しい漢字が出た場合は、私がそっと小さい声で「読み方」を教えます。花子ちゃんは、こうした文字情報に聴覚性の支援を加える(二系統同時刺激)方法が有効です。文脈の中で、次々に読み方を習得していきます。20分でも30分でも、本読みなら、ずっと継続して取り組めます。

私は、花子ちゃんをいつも「本読みの天才」といって褒め称えています。

一方、友里ちゃんは、コツコツする努力家です。第1回目の指導で、すっかりSHINOBU先生のファンになったそうです。

お母さんのメールによると、「友里は、土曜日以来、ほぼ一日勉強机に向かっています。「休みなよ」、とか「ゲームしたら」とか「遊ぼうよ」とか言ってみるのですが、「勉強がすごく楽しんよ!SHINOBU先生の所に行ってから勉強するのが楽しくなったんよ!」・・・らしいです。口を開けば、「勉強していい?」ってこれもいつものこだわりの一つでしょうか・・・すごく次に行くのを楽しみにしています。一度行っただけなのに、一度会っただけなのに驚きです。」とのことです。

こういうお子さんですから、計算も漢字もよくできます。

でも、読みの流暢性・意味理解・文脈の理解・相手の気持ちの理解といった分野は苦手です。お母さんは、単なる点数稼ぎではなく、こうした意味理解の力が付くことを期待されています。

この方も、すばらしいお母さんだと、私は思っています。

一般に、文章を読んで理解していくためには、

① 音と文字との対応

② 語彙数の増加

③ 逐次読みから、まとまり読みへ

④ 文脈の理解「5W1H」

⑤ 感情の理解

という手順がとられます。

どうしても、文字から絵を想像しにくいタイプのお子さんもいらっしゃいますから、まず「絵」を見せ、それに対応する言葉を教え、そして、最終的には、文字だけで状況が想像できるようになるまで、学習を積み重ねていきます。

そして少しずつではあっても、意味理解や社会性についても、着実に向上し、達成感をもちながら、その大切さや心地よさを体験させてやりたいと思います。

私が、そのモデルであり、社会の窓口になるべきだと考えているのです。

友里ちゃんの場合は、勉強が趣味なので、プログラムさえ準備してやれば、機械的な学習は前へ進みます。

しかし、この子の将来を考えると、漢字テストの点数もさることながら、コミュニケーション能力や社会性の育成が重要です。自分の特性を受け入れ、認知した上で、自分の良さを社会の中で発揮していくための力が大切になってきます。

友里ちゃんは、きっと計算ドリルや漢字ドリルを、次々とこなしていきたいのだと思っています。その方が落ち着くし、達成感もあるのだと思います。(ある意味うらやましいお子さんですよね)

まずは、ここを受け入れながら、苦手な部分の刺激を同時にミックスしていこうと考えています。

すごろくなどの算数ゲーム(算数的活動)や、場面状況の絵カードを組み入れていきます。

こうした活動は、きっと友里ちゃんは苦手なはずなので、絶対にこけさせない、SHINOBU流・必殺完全習得エラーレス学習(おせっっかいヒントつき)で、必ず攻略させます。

花子ちゃんと友里ちゃんのいいとこだけを取り出して、それを2倍にして、苦手なところと交換できればいいような気にもなりますが、やっぱりそれは違います。

野球でも、守備のうまい人もいれば、打つのが得意な人がいる、そういうチームの方が魅力的だし、強いのだと思います。

得意な打つ練習もするけど、守備の練習もする、そして社会というチームの中で、自分の持ち味を生かして貢献する、これが正解なのではないでしょうか?

いろいろな個性や特徴をもった者を、大切な戦力としてうまく生かす。

社会というチームが真にこうした戦略を実行できるようになってこそ、すべての人にとって魅力的で、輝いた世の中にになっていく。

よく言われるユニバーサルデザインとは、こういう方向性を示した概念だと、私は考えているのです。

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二回目以降にこそ 学習の真価が問われる! (認知面に課題のあるお子さんの理解の仕方について)

 2008-06-10
私は現在、同時処理(視覚的な入力)が得意なお子さんと、継次処理(言葉で順序立てて理解する)のがお得意なお子さんの、両方の指導を行っていますが、どちらにも共通する大切なポイントがあります。

それは、「新しい指導の1回目の指導は、イントロだけで結構。無理して結果を求めるより、来週にどうつなげるかを優先しよう。」という感覚です。

これは、理論的なベースというより、私自身の経験則から来ています。

でも、自分なりの根拠は持っています。

一つは、脳の構造的な観点からです。

こうした知的学習は、脳の連合前野が中心となって働きます。そして、パソコンでデジタル化するのも難しいような、膨大で曖昧な情報を脳内で処理をしていくわけです。

発達面で課題のあるお子さんの場合、どこか一部に苦手なところがあるわけですから、その処理には時間がかかります。時には、余計な何かの情報が強烈にそれをブロックして、物事を前へ進ませないことだってあります。

しかし、一定の時間的な経過があると、しょうもない情報から順に整理され、必要な情報のみが生き残ります。こうした段階で、送り手の側も、実態を見てより精選した、より効果的な方法で情報発信をします。

1回目より、いろいろな面で好条件です。

勉強が好きでないお子さんの場合、1回目でマイナスイメージが先行すると、後々の展開がますます苦しくなります。ですから、1回目はイントロ~の感覚の方が、うまくいく場合が多いように思います。


もうひとつは、きわめて感覚的なことですが、2回目には、子どもがある程度の見通しをもつことができるために、情緒的な不安から解消されるのではないか?という推察です。

例として、適切かどうかはわかりませんが、このことを私の日常的な体験から説明させていただこうと思います。


この3月に私は、初めてパシフィコ横浜というコンベンションホールに出かけることとなりました。

私は、横浜ベイスターズのファンですから、これまで何十回もこの付近におじゃましているので、楽勝の気分で、桜木町駅からパシフィコ横浜に向かいました。

動く歩道を抜けて、ランドマークタワーへ、とここまでは順調でした。ところが、ランドマークタワーに入った瞬間、出口がいろいろあって、どこをどう行けばパシフィコ横浜に通じるか、さっぱりわからない。

迷路のようにぐるぐる回りながら、やっとの思いでそれらしき通路を見つけると、私の感覚では5分も経たない間に到着するはずが、行けども行けども、ショッピングセンターみたいなところばかりで、それらしい物は何もありません。

開始の時間は、刻々と迫ってきます。だんだん脂汗が出てきました。案内表示も何もありません。もしかしたら、道を間違えたか?引き返して、誰かにもう一度尋ねるか?

いろいろな不安な思いが、次から次へと駆けめぐってきます。

方向はあっているはずだ、と無理に自分に言い聞かせて、さらに5分くらい(心理的には30分?)歩くと、ありました。ちっちゃい紙で、それとわかる案内が。(小心者なので、ホント胸をなでおろしました)

今から考えると、何てことはない笑い話ですが、そのときはきっと顔、ひきつっていたことだと思います。(笑)

そして6月。再びアネックス横浜へ。今度は、時間的な見通しも、確信もありますから、楽々です。途中で帆船や観覧車の写真を撮る余裕もあります。

それに、まわりのショッピングセンターや小粋な土産物屋、さらには昼のランチをどこで食べるかのチェックまでしています。

それでいて、前回はあんなに果てしなく長く感じた通行時間が、心理的には、半分以下、いや、大げさに言えば1/4位の感覚です。それより何より、今度は楽しいし・・

この時私は、「子どもにとっては、学習は、すべてが初めて習うこと。もうすでに、脳内のネットワークが形成されている大人とは、見え方が違う。不安も多い。ましてや勉強が苦手と感じている子どもにとっては、きっと1回目に私が感じていたようなことが、子どもの中で起こっているんだろうなあ」と思いました。

ならば、1回目は通るだけでよい。そして、小さくてもいいから、「アネックスホールはこちら」みたいな道案内(つまりは形成的な評価です。「いいよ、いいよ、できてる、できてる、すごい。すごい」です。)を適当な所へ貼っておいてやることが、大切なのではないでしょうか?

無意味な挫折感は、子どもに必要ありません。見通しがあればこそ、子どもは楽しんで通っていきます。そして、その過程で様々なことを吸収していきます。

1回目の結果だけで、それがすべてだと考えるのは誤りです。

一歩のでかい階段は上れなくても、100歩の小さい階段なら上がれる子、いますから。

要は、その子に合った学習方法があるわけで、人と、必要以上に比べることはないのだと、私は考えているのです。



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発達課題のあるお子さんが 「わかる」ために必要な時間的な経過

 2008-05-28
今日は、今、実践から感じているわかり方の気づきについてのお話です。

先日(5/25)にふれた「継次処理」と「同時処理」にも関係しますが、同時処理の苦手な(ぱっと見て視覚的にとらえることが苦手な)タイプのお子さんには、キモの部分については、継次処理(言葉を中心に順序立てて提示する方法)を取り入れて指導をしています。むずかしい課題に関しては、その子の得意技で勝負するのが効果的です。

でも、かと言って、同時処理の力もつけていかないと、数概念の形成などには、どうしてもそのスキルが必要となってきます。

この同時処理の力をつけていくためには、楽しんでそのことにふれる、ゲームが一番だと考えました。

そこで取り入れたのは、パソコンソフトの導入です。

私が使っているのはGAKUGEIの学習ソフト「ランドセル小学1年生・2年生」です。ネットですぐにダウンロードできるので、とても便利でした。(ダウンロード価格各3984円)

(ただ、例えば3年生のお子さんの指導に1年生のソフトを使うことには、ちょっとためらいがありました。プライドを傷つけないような配慮=「1年から順番にクリアして、早く3年や4年のソフトに挑戦しようね!」というような配慮が必要だと思います)

同時処理は苦手ですから、結構でこずる場面もありました。でも、わかりにくい場面では、言語によるプロンプト(ヒント・支援)を与えて、クリアさせます。

先日も「十のくらい・一のくらい」のところで切れそうになりましたが、ちょっと例を示してやると、何かがつながったのか、表情が変わり、あとはスイスイとそのコーナーをクリアすることができました。

(きっとこの子は、このとき初めて位の意味に気がついたのだと思います)

もう一つの工夫は、一つのパソコンにマウスを2つつけることです。ご家庭であれば、当然一つはお子さん、もう一つはお母さんです。

苦手なことをさせているわけですから、投げ出しそうなときやマウスの操作がうまくいかないときには、ちょっと代わりにアシストした方がいいでしょう。(スポーツクラブのエクササイズといっしょで、とにかくやって続けなければ、投げ出してしまえば無意味です。)

同時処理が苦手なこの場合、苦手な上に、その経験の絶対量が不足しています。苦手だからしない、の悪循環にならないような配慮が大切です。

でも、中には継次処理より同時処理の方が楽な場合だってあります。こんなことに気がつくと、「なあんだ。簡単なんだ」てなことになります。

私の指導の経験からすると、そのことは1週間先の方が、効果がはっきりと目に見えてきます。1週間熟成した方が、いろいろなことが整理されて、しっかりと定着します。

エビングハウスの忘却曲線というのがありますが、時間の経過とともに、よけいな情報は消えて、本質的な情報のみが残ります。一定の時間が経過したのちに、もう一度エキスとなる情報を入力すると、その定着率は格段に進歩します。

脳内のネットワークが、一定の時間の経過により、整理して形成されていくということなのでしょうか?

この子は、パソコンの学習が終わった後に、「すごろく遊びをしよう」と言ってきました。こうなるとシメシメです。案の定、数のスキルも、数の認知も、ルールや順番などの社会性も、前回と比べるとわずかではありますが、しっかりと向上していました。

もちろん、この時を見逃さず、たっぷりとほめてモチベーションを高めます。

大切なことは、すぐに出来ないからといってあせならいことです。あきらめないことです。「わかる」「できる」に必要な時間的な経過が必要な時もあることを、知っておくべきです。

お子さんをよく見て、そのつまづきが何を意味しているのかしっかりとらえて、ネットなどで似たような事例がないか調べて、いいなと思うような方法をチャレンジして、手応えがあれば続ける、こういった姿勢が大切なのではないでしょうか?

パソコン1台あれば、ほとんどお金をかけなくても、チャレンジはできます。たとえ、そのことがすぐには効果がでなかったとしても、学んだこと・トライしたことは決して無意味ではなく、その分だけは確実に自分のスキルアップにつながっています。楽しんでやれば、絶対損をしないギャンブルのようなものです。

小学校の現場にいたとき、大学の先生に「このテの打率どのくらいですか?」と尋ねたら、「イチローの打率にも満たない・・」とおっしゃっていました。

大学の先生でも、これくらいです。私の打率はその半分かも知れませんが、こんな私でも、たまにはクリーン・ヒットを飛ばします。この時の、快感と言ったら最高です。

バット振らなきゃ、絶対当たりませんよ。

99回空振りしても、その間に、スイングはきっと向上しています。100回目に大ホームランなんてのは、よくある話です。

お母さん方は、大学の先生ではありませんが、お子さんにとっては、生涯にわたってかけがえのない大切な存在です。

あせらず、楽しみながら、少しだけ長いスパンで、バッティング練習続けてみませんか?



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LD状態は改善できる「ディスレクシアの素顔」より

 2008-04-15
今日は、教育・心理カウンセラーの玉永公子さんの著者(表題)より内容を一部引用させていただいています。

ディスレクシア(Dyslexia)とは、知的な遅れはないのに、易しい単語の発音ができない、文章表現がぎこちない、左右反対の文字を書くなどの子どもを観察した医者が、そういう状態を呼ぶのに用いた言葉です。定義の歴史的な変遷はありますが、今は、LD(学習障害)の中で特に読み書きの苦手な場合をさすことが多いようです。

エジソン、アインシュタイン、ロックフェラー、アンデルセンなど、多くの著名人もディスレクシアだったと言われています。

つまり、障害というとらえではなく、むしろ学び方・わかりかたの個性といった視点でとらえようとするものです。

学芸大の上野一彦先生も、このことについて、それを『子どもたちの「学び」と「個性」』と表現されています。

当時、私の指導していた特別支援学級のお子さんは、通常学級のだれよりも早く「九九はかせ」になって、友達から尊敬されていたし、ご両親だってとても喜んでくださいました。

私だって、歌がへたくそで、教え子の女の子から「たのむから歌わないで」って涙声で言われたことがあります。これを、歌障害なんて名付けられたら、相当傷つきます。

でも、ある日突然、診断書→障害児なんてことが、今あちらこちらで平気で起こっています。

エジソンやアンデルセンにも苦手なことがあったのですから、誰だって苦手なことぐらいあって当然です。

上野先生は著書の中で、小学校で毎日一時間特別な指導をすれば、中学に行く頃には週1時間ですんだという英国の事例を紹介されています。それだけ、個性に応じた学習法は、大切な役割を果たすのだと思います。



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メタ認知能力で学力アップを!

 2008-04-09
メタ認知という言葉は、お母さん方にとっては聞き慣れない言葉かも知れませんね。広辞苑で調べてみても載っていませんでしたから、心理学の専門用語なのでしょう。

きちんとした定義についての自信ありませんが、私はメタ認知を、「客観的に自分をみつめる力」みたいにとらえています。

自分の得意なところで、苦手なところを克服するための、大切な力といったことろでしょうか?

私の指導しているお子さんは、本読みがとても上手です。ほれぼれするほどです。あまりり上手なので、時々こっちが感動して涙ぐむくらいです。

でも、それに比べると、計算は苦手です。数を量的にとらえたり、操作活動をしたりする時も時間がかかり、不正確になることも多いようです。

「8+1」=9というのは、かなりできるようになってきました。でも「1+8」となると、かなり抵抗感があるようです。

この子は「たぬきの糸車」を読むときは、半分以上記憶していて、本がなくてもある程度正確にお話することができます。すばらしい記憶力です。この記憶力を生かさないてはありません。

だったら「1+8」と「8+1」がお友達であることを教えてやれば、とりあえず答えが「9」と言えるようになります。これでとりあえず、第一ステップはクリアです。計算カードをうまくつかって、トランプの神経衰弱のようなゲームで遊ぶと、きっと真剣にやっても、私は負けると思います。

とにかくまず、得意なものを作っちゃいます。ゴルフでいえば、とりあえず7番アイアンが正確に打てれば、結構なスコアメイクができるって感じです。

第一ステップがきちんと定着すると、どうして「1+8」と「8+1」がお友達なのか、なんとなく感覚的にわかるようになってきます。

そこで、もういちど操作活動を入れて、量的な数感覚をトライします。こうしたことを繰り返す中で、脳のシナプスがネットワークを次第に確かなものへと構成していき、ある日突然「わかったー」と叫ぶ日がやってきます。

得意なことを使って苦手なことを攻略できるとなれば、自己肯定感や学習のモティべーションも高まります。

苦手な分野があるお子さんは、多くの場合、それを補うかのように、ある部分がすばらしく発達するという場合が多いようです。

ドライバーが打てなくても、7番アイアンだけでも、100切ったりできるはずです。大きな可能性があります。決して夢を失ってはいけません。



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学びのバイパスモデル

 2008-03-17
誰でも得意なことと苦手なことがありますよね。
オールマイティーな人もいますけど,別な見方をすれば,1本,柱がないと言うこともできます。

計算速いけど,字を書かすとめちゃくちゃのお子さんもいました。

計算は苦手だけど,本読み抜群にうまいお子さんもいます。

苦手な部分,努力でカバーできるなら,
能力開発の面からも,適度な刺激によって発達の促進が期待できます。

ただ,機能的な面から,努力を重ねても,思ったほど効果が期待できない場合もあります。
こうした場合は,ある程度指導の在り方の検討が必要になるかもしれません。

能力開発を主眼に置くか,社会生活に必要なスキルを身につけることに主眼を置くか。
この部分の選択や決断も重要になってきます。

多くの場合,ある部分に苦手な面があるお子さんは,そのことを補うように
別な部分,比較的得意なところが,思った以上に発達することはよくあることです。

1年生の子どもで,漢字はさっぱり書けないけれども,
トランプで神経衰弱したら,私にいつも楽勝で勝つ子どもがいました。

なら,トランプのように,カードで漢字遊びをすれば??というアイデアで,
勉強に取り組んだことがあります。

要は,渋滞していれば,よく通るバイパスの利用も考えよう,ということです。

そこで大切なのは,その子にとって,何が大切なことなのか
ビジョンをもって,計画的に取り組んでいくことだと考えています。



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個別学習に生かす単純で大切な原理

 2008-03-07
特別支援教育にかかわる先生なら,TEACCH(ティーチ)構造化理論と応用行動分析の理論は,必ず勉強されています。アメリカなどで,一定の条件や環境が満たされたときに,大きな成果をあげており,日本の教育現場にも強い影響を与えています。度合いは違っても,知らない先生は,まずいないと思ってよいと思います。書店に行けば,山ほど関連書があります。

私も,信者というほどではありませんが,論理のベースとして大切にしています。

簡単に言えば,「きちんと整理して」「わかりやすく」「順序立てて」「ちゃんと評価する」ということです。こんなこと,何も特別なことでも何でもありませんね。でも,とても大切なことです。それは,それぞれのお子さんの特性に合わせて,「学ぶ」という原理を見つめると,要はこうなるということです。

だからと言って,この原理だけてすべての学習を構成できるかというと,そう単純なものでもないようです。臨床場面では,個々の要素が複雑に絡み合っており,アセスメント(調査)や分析力がなければ,原理・原則の適用そのものがむずかしいからです。

でも,家庭学習では生かせますよ。お子さんのこと,お母さんが一番よく知っているわけですから。

まず,お子さんの机の周りを勉強しやすいようきちんと整理しましょう。次に,学習の約束や予定をお子さんといっしょに決めて,おこさんがわかりやすいようにシンプルにまとめてどこかに貼っておきましょう。で,できたら必ずほめて,しるしやシールなど内容的なごほうびを与えましょう。決めたことは,なるべく,親の都合だけで変えないようにしましょう。短期の目標やゴールを決めて,できたら達成感をもたせて,次のステップに進みましょう。

とまあ,こんな感じです。でも,私もそうでしたが,我が子に対してはどうして感情的になって,むずかしいですよね。「何でこんなことも,わからないの」「学校で何聞いてきたの?」「もうだめだ」子どもの心を傷つけること,私は山ほど言ってしまいました。(反省=でも,それが親というものですよね)

特別支援学級でも,実際に1対1で指導を受けられる時間は,そうあるものではありません。子どもに学習の習慣が定着して,積み上げが可能な礎ができるためのシステム作り。それが自分に与えられた使命なんだと思っています。
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